陽だまりのねごと

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男の介護 罪と罰   大箸幸弘著

2007-05-14 06:21:57 | 
男の介護 罪と罰

東洋出版

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1999年 老健での82歳の誕生日回想の序があり
1995年 迷子で警察からの保護通報で始まる介護記録

自宅で
最初はホームヘルパーのサービスを利用
さらにデイケアや訪問看護を追加

介護人は同居の仕事が超多忙な息子(著者)
認知症の受け入れが出来なく虐待をしている

特別養護老人ホームでのショートステイ3ヶ月から
有料老人ホーム入所
脳梗塞で総合病院へ入院
介護力強化病院入院

までの顛末が綴られていた。

自分の介護は虐待するしかない追い詰められた
介護する者もされる者へも不幸な形でありながら、
どこの施設の病院も納得出来ない部分がつらつらと並んで、
他者の施設介護よりはあったかな在宅への強い思いを捨てがたく
施設へ入れていることへ罪の意識まで著者は感じている。

最初のページに老健のチイチイパッパが描かれているから
当時、流転の果ての終の棲家としたらしい
そこも著者は気に入ってはいなかったのだろう。

なにせ介護保険前で
認知症に対しては『ボケ』と言う言葉が使ってありハッとさせられたしもした。
今ではいろんな規制の中でしかできない
ヘルパーの仕事ぶりが実にゆるやかでこめ細かで
実際にヘルパー従事者だったので
えらく懐かしく読んだ。

今とは確かに制度が変わって
施設のカラーも変革しているとは思うけれども
家族の施設への憤懣は実によく書かれている。
人の痛みを感じない介護、看護、医療になりがちな施設、病院は
今もなきにしもあらずだろう。

食事など家族介護でなければ
心通わない急がし介助となっている病院など今もそう変わってはいないだろう。
完全看護と銘打って
医療と介護はきっぱり分けている介護保険が介入できない
通院や入院生活のフォローは実費で
お金のある人のみが何とか人らしく扱ってもらえる矛盾。

どんなに虐待をしてしまっても
介護自体、子育て経験もなく
分からないのに、出来ないのに
自分が看たいという
息子介護の矛盾。

在宅介護を支える介護支援専門員の仕事で
いろいろ遭遇する事ともオーパーラップした。

少しづつ模索しながら
制度も受け皿も良い方向へ向かうことを望むのみ。