![]() | 林芙美子 放浪記 (大人の本棚)林 芙美子,森 まゆみみすず書房このアイテムの詳細を見る |
森光子さんが、ロングランの芝居をされていることで
有名なこれを読んだことがなかった。
女学校を過ごした尾道の瀬戸を望む丘に碑文があったと思う。
16歳から22~3歳の頃のとびとびの日記らしい。
解説によるとなんども本人が書き直し改訂して読み継がれているそうだ。
この本は比較的原本に近い『改造社版』らしい。
ごつごつを荒削りであるほど、
ほとばしる激情が伝わってくるようにも思う。
まるで全編詩。
安定しそうになると、新地へと飛び出して
また飢えの始まり。
捕えられた魚がもがいて動くあの感じに似ている。
ただただ勢いに圧倒されて完読。
前後の見境がない行動は小気味良い。
不安定な暮らしの中で、
人に媚てまで自分を殺してまで
安定した生活を得ようとはしない心意気や行動は共感する。
するが、
書いてはないけれど、金のために体を売ったかもしれない。
彼女は最終的に作家として身を立てたが、
中年期の私は
そうはならなかった芽が出ないで一生終わる人たちのその後、
林芙美子っぽい凡人が歩んだ人生に興味がある。
私の中には
後先考えなしの行動に走る要素がある。
大それた野心を持ったことがないから凡々人生だけれど
岐路は必ずアクセルを踏み込んで急ハンドル。
ままよ
と未知の方向へ突っ走る。
熟慮というパーツが欠損している。
島でのメンドウクサイ悲しみは
すっぱり捨てゝしまほうと
私はキリのように冷たい風をうけて
遠くを走る帆船を見ました。
↑みたいなところに泣けてくる。
私が目の前に海が広がる暮らしだからだろうか?
私の林芙美子チックな部分が共鳴する。
図書館本だけど、手元に持っておきたい気がする。
Amazonしようかな?