陽だまりのねごと

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受命  帚木 蓬生著

2007-11-23 22:42:42 | 
受命―Calling
帚木 蓬生
角川書店

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読み始めは人工授精の話かと思った。
医者である作者は中絶された子を子供の臓器提供用に
臓器農場で育てると言う不気味な話も書いているから
また医学が倫理を踏み外した話なのかと勘違いしてページをめくっていった。

舞台は北朝鮮。
実際にははっきりと見せてくれない不気味な国の姿を
小説と言う虚構の形をとりながら
信憑性を感じさせながら伝えてくる。

一部上流特権階級とその他の人々との暮らしの落差。
物言えば、いや、言わなくてもあやしいだけで
拷問、処刑あるいは収容所送りが待っている。

『受命』とは諸悪の根源であるこの国家指導者を葬ること。
反逆のことだった。
荒廃した国の風景の中で使命に燃えた人々の
スパイ大作戦みたいなハラハラドキドキも楽した。

小説の方は暗殺は成功し
作戦成功後は007っぽく現場をうまく脱出して洋上で終わって
めでたし、めでたし。

現実にはご存命なワケで
腹ボテ国民服の彼はどう荒れた国を立て直すつもりなのだろう?
自分さえ良ければいいのかな?

あくまで国も組織も登場人物もフィクションであると
巻末に但し書きが書いてあったけれど
事実を徹底的に調べて暴きたてようとしたら、
その人の命が公表に至るまでに危うくなりそうだ。

拉致家族の帰国直後の固い表情を思い出す。

これは
受精 (角川文庫)
帚木 蓬生
角川書店

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の続編だった。

『受命』では
あの北の国家指導者が100個もの全然違う女性との受精卵を
血を絶やさないために
フリーザーにストックしていると言う話展開になっていたけれど
現実にありそうで不気味。


順序逆さで『受精』を読み始めた。
死んだ恋人の子を身ごもるために、
同じ思いの韓国女性と一緒に
ブラジルへ飛ぶ…ところまで読んだ。
『受命』の方とうまく話がつながってくる。
こっちはこんどこそ人工授精の話かな?
わくわくしながら続きを読もうっと。