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読み始めは人工授精の話かと思った。
医者である作者は中絶された子を子供の臓器提供用に
臓器農場で育てると言う不気味な話も書いているから
また医学が倫理を踏み外した話なのかと勘違いしてページをめくっていった。
舞台は北朝鮮。
実際にははっきりと見せてくれない不気味な国の姿を
小説と言う虚構の形をとりながら
信憑性を感じさせながら伝えてくる。
一部上流特権階級とその他の人々との暮らしの落差。
物言えば、いや、言わなくてもあやしいだけで
拷問、処刑あるいは収容所送りが待っている。
『受命』とは諸悪の根源であるこの国家指導者を葬ること。
反逆のことだった。
荒廃した国の風景の中で使命に燃えた人々の
スパイ大作戦みたいなハラハラドキドキも楽した。
小説の方は暗殺は成功し
作戦成功後は007っぽく現場をうまく脱出して洋上で終わって
めでたし、めでたし。
現実にはご存命なワケで
腹ボテ国民服の彼はどう荒れた国を立て直すつもりなのだろう?
自分さえ良ければいいのかな?
あくまで国も組織も登場人物もフィクションであると
巻末に但し書きが書いてあったけれど
事実を徹底的に調べて暴きたてようとしたら、
その人の命が公表に至るまでに危うくなりそうだ。
拉致家族の帰国直後の固い表情を思い出す。
これは
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の続編だった。
『受命』では
あの北の国家指導者が100個もの全然違う女性との受精卵を
血を絶やさないために
フリーザーにストックしていると言う話展開になっていたけれど
現実にありそうで不気味。
順序逆さで『受精』を読み始めた。
死んだ恋人の子を身ごもるために、
同じ思いの韓国女性と一緒に
ブラジルへ飛ぶ…ところまで読んだ。
『受命』の方とうまく話がつながってくる。
こっちはこんどこそ人工授精の話かな?
わくわくしながら続きを読もうっと。