気の向くままに

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俺は聞いてない 忘れられた「ホウレンソウ」

2015-09-17 11:05:27 | 日記

 歌手の岩崎宏美さんは、小紙のインタビュー記事で父親について語っている。製材機械製作会社の経営者だった父親は、宏美さんがオーディション番組で優勝してデビューが決まったとき、あくまで反対した。テレビで見ていたのに、「俺は聞いてない」。

 ▼絶対認めないという意味で、政治家もよく使う台詞である。もっとも、記録的な豪雨に見舞われた茨城県常総市の市長は、本当に聞いてなかった。15日午前に開かれた市議会の本会議で市長は、「安否がわからない人が今も15人いる」と説明している。ところが同じ頃、県の災害対策本部では、すでに無事が報告されていた。

 ▼「ホウレンソウを忘れるな」。企業の新人研修でよく紹介されるビジネス格言である。報告、連絡、相談の頭文字をとったものだ。旧山種証券のオーナー社長だった山崎富治さんが思いつき、広めたとされる。茨城県庁は、「ホウレンソウ」を忘れていた。

 ▼実は県警が戸別訪問などを行った結果、県の対策本部は14日午後には、ほとんどの無事を確認していた。なぜ、公表しなかったのか。「不幸な話ならすぐ表に出さなければならないが、いい話なので」。不可解な弁解である。

 ▼ところが昨日になって、新たな行方不明者が発表された。これまで豪雨によるものか、不明だったからという。不明者のうち1人が虚偽通報だった、との発表も誤りだった。迷走は続く。

 ▼「情断(じょうだん)大敵」も、山崎さんが作った格言である。「情報が断たれては仕事にならない。会社経営は情けがなくてもいけない」と語っていた。自衛隊員や消防隊員は、何も知らされないまま、泥だらけになって行方不明者を捜していたことになる。県の対応は、彼らへの「情け」が感じられない。


2015.9.17 05:04更新 【産経抄】

<所感> 

「聞いていない」「そのようには聞いていない」はよくある事。

 昔々、仕事の協力要請で交渉に行った。概要を説明したら「わかった」と回答をもらい、数日後に詳細を説明するために行ったら、詳細を説明する前に「協力できない」と言う。

 先日は「わかった」と言ったじゃないか。

 話はわかった。と言う意味で「わかった」と言ったのだ。と返されたことがあった。

 「わかった」=「了承した」「了解した」ではなかったのである。わが身の未熟さを思うと同時に、大きな勉強になったことを思い出した。

 「わかった」は、「バカ」が「軽蔑や侮辱」ではなくて、愛おしさを込めた好意や愛情を表す時に、稀に用いられるのと同じ使い方だったのだ。