気の向くままに

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余録:パリのシャンゼリゼ通りやニューヨーク5番街と聞くと…

2015-09-26 19:00:02 | 日記

 パリのシャンゼリゼ通りやニューヨーク5番街と聞くと、何となく憧れに似た気持ちを抱く。大阪の目抜き通りである御堂筋でもブランド力を高めて世界に知られる通りに育てようという取り組みが緒に就いた。

▲全長4キロ、幅44メートルの御堂筋が完成したのは1937(昭和12)年。大阪が東京に匹敵する経済力を持ち、「大大阪(だいおおさか)」と称された時代だ。6車線の車道を挟んで4列のイチョウ並木が美観をなす。建設当時は「飛行機でも飛ばす気か」と冷やかす声もあったが、商都のシンボルとして経済活動を支えてきた。

▲しかし、東京への一極集中で大阪経済が沈滞し、御堂筋の車両交通量はこの40年で4割減った。一方、自転車の交通量は7〜8倍に増え、最近は外国人観光客も急増している。この機に活性化を図り、大阪の再生にもつなげようという機運が高まった。

▲沿道はキタのオフィスビル街やミナミのショッピング街など地区によって機能が違う。このため、三つの地区に分かれて民間団体が街づくりに取り組み、通り全体の性格づけがあいまいな面があった。

▲先週、3団体が初めて一堂に会してシンポジウムを開き、御堂筋の魅力や価値を高める戦略を話し合った。「車より人にやさしい道に」「にぎわいやくつろぎなど個性を持たせた空間再編を」などさまざまなアイデアが語られた。

▲大阪では橋下徹(はしもととおる)大阪市長が率いる大阪維新の会が、今春の住民投票で否決された「大阪都構想」を再び持ち出して他党の反発を浴びるなど政治対立が続く。商人(あきんど)たちが近代化を担った歴史を持つ都市だけに、政争は脇にやって、「民の力」に再生の期待を託したい。

毎日新聞 余録 2015年09月26日 東京朝刊