あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

おいしい文章

2009-06-30 23:57:46 | 本(料理の本)

よい香りのする皿 よい香りのする皿
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2008-07-25

この本を図書館で見かけて、きっと面白いだろう、と思って借りてきた。

平松洋子さんの本は、『おいしい日常』を持っているけれど、そちらもこの本も、思わず読み手も書かれている料理が食べたくなるような、美味しいものに対する愛情にあふれた文章でいっぱいなのだ。

たとえば、こんな文章。

“ゆっくり起きた日曜の朝、トーストをこんがり焼く。きつね色の四角のまんなかにバターのかたまりをのせると、黄色い底辺がゆるゆると崩れはじめる。待ってました!角をなくしてとろけてゆくから、思わず頬をゆるめてバターナイフを握り、ぐーっと引き伸ばす。すると、まろやかな風味がきつね色の香味にからみ、かりかりの表面に沁みこむ。ポットの中からアールグレイの香り。たまらない。”

あーっ、バタートースト食べたい!って気になる。かとおもうと、こんな文章もある。

“何も食べていないのに、ひと皿の料理に助けられることがある。空腹だけれど、豊かな気持ちに満たされるのだ。唐突に思い浮かぶ。(そうだ、うちに帰ったら、あれを食べよう)すると、にわかに体温が上がる。《中略》早くうちに帰りたい、おいしいものが待っているから。それは、自分だけで夢想する快楽のひとときだ。それがなんと贅沢なことかと気づいたのは、じゅうぶんおとなになったのちである。ひそかな贅沢はあんがい手近なところにあると知ったのだった。いやそれどころか、この自分の掌中にあったとは――。”

わかるわかる!って呟いてしまう。ああ、あれを食べよう、ってわくわくした気持ち。

そして掌のなかの贅沢、掌のなかの幸せ……。いいなぁ、って思う。

レシピも、作ってみたいと思うもの、色々ありました。

綺麗な色合いと意外な組み合わせが気になった『春菊とプチトマトのおつゆ』、お酒に合いそう、『じゃがいもの甘辛』、衝撃の(?)『ゴーヤしりしりヨーグルト』!

まだ掌中の贅沢には程遠い私ですが、すっかりおいしい気持ちになった本だった。

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ムーン・ウォーカー

2009-06-30 22:57:32 | 日記・エッセイ・コラム

マイケル・ジャクソンの訃報が世界中を駆け巡ってはや5日。

最初は、本当なのかな、という感じでした。

実感がわかないというか……。

もともと、嘘かまことか、という感じで、さまざまなスキャンダルが囁かれた人なので、もしかして誤報かも……と思いました。

もっとも、彼に特別の思い入れがあったわけではありません。

年齢的にはまさに青春期に彼の音楽に親しんでいてもいい年代なんですけど、実はあんまりなじみがなかった。

可愛かった頃の、いや失礼、今ほどカリスマではではなかった頃のマドンナはよく聴いたし、アルバムも買ったけれど、マイケル・ジャクソンは聴きませんでした。もちろん、あまりにも有名だから、代表曲は知っているけれど……。

そんな私でも結構衝撃を受けているのだから、やはり時代を代表した人といえるのでしょう。

でも、思えば謎めいた人でありました。

そうして、才能とチャンスに恵まれ、成功した人なのに、あまり幸せそうではなかった。

彼のムーン・ウォークは一世を風靡したけれど、どうしてムーンだったんだろう、とも思います。

地球にいつも同じ面しか見せない、謎めいたあの月。

その銀色の光のようなしんとした寂しさを、そこはかとなく感じています。

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