azumiさんが寄せて下さったコメントで、イナゴの話が出てきたので、ふと思い出しました。
年末に、熊田千佳慕氏の展覧会に行ってきたのです。
みつばちマーヤの冒険 (小学館児童出版文化賞受賞作家シリーズ) 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:1996-04 |
NHK教育の『日曜美術館』などで氏の細密画が取り上げられたせいでしょうか、平日にもかかわらず盛況でした。
(それに、幼稚園生の団体と一緒になりました。なるほど、たしかに小さな子が観るのにふさわしい絵だな、と思いましたが、ただ絵の掛けられている位置が子どもには高すぎるのは気になりました)
私は女性の例にもれず、そんなに虫が得意ではありません。
でも、子どもの頃はそうでもなかったのです。カブトムシやクワガタを飼うこともありましたし、トンボやテントウ虫も捕まえました。『ファーブル昆虫記』も読みましたし、大好きでした。
なのに大人になると、素手で触るのはもちろん、触ることを想像するだけでもぞっとするように。
でも、昆虫の絵を描いたり写真を撮ったりする方には、興味が前からありました。小さな命をいとおしむ人は、きっと優しいひとでもあるのだろう、という気持ちもあって。
実際に観た細密画は、思った通り繊細な、優しいものでした。花の絵はもちろん、昆虫の絵のフォルムの面白さ、美しさにも魅かれました。
そうして、千佳慕氏は基本的に昆虫をその場でスケッチはせず、観察して脳裏に焼き付け、急いで帰って描いたそうです。運よく屍骸や標本を手に入れられたときは綿密にスケッチしたそうですが、それにしても素晴らしい記憶力です。
それに、小さな命を大切にしたい、むやみに捕えたりしたくないと思う気持ちも伝わってくるエピソードでした。
もっとも、よく地面に腹ばいになって虫を観察していたので、生き倒れ老人に間違われることもあった、と語った一文があり、ちょっと笑いました。
そういえば、氏の絵は美しさと繊細さの中に、ほのかなユーモアも潜んでいるような気がしたのでした。