バジル 2
バジルについてはこのブログでもう書いたつもりでいました。思い返せば、1390年ごろに書かれたイングランドの料理書、 ザ フォルム オブ クーリィ( The Forme of Cury 1390 )の解説の一部分に「バジル」について書いた記憶が頭の中に残っていたからでした。ザ フォルム オブ クーリィから一部分引用して、ご紹介しましょう。
『少しお話が飛びますが、この料理書が書かれた1300年後半は “ ガウェイン卿と緑の騎士 ” が世に出た時期とほぼ合致します。(フォルム オブ クーリィはこの物語よりもほんの少し前に出たように言われています。)この物語はアーサー王伝説の後を受けて書かれた物語でこの時代に大いに話題になった物語です。それは次のような書き出しで始まります。』以下引用が続きます。
https://en.wikipedia.org/wiki/File:Gawain_and_the_Green_Knight.jpg より
from original manuscript, artist unknown
“ アーサー王が宮殿で円卓の騎士達と新年の宴を催しているとき、突如、衣服から髪から皮膚、さらには跨る馬に到るまですべてが緑色の騎士が現れ、首切りゲームをもちかけます。自分の首を大鉈でかき斬ってみろと挑み、それでもし自分が無事だったら、それに相応する挑戦を受けろと騎士たちに挑発します。ガウェインはアーサー王の甥であるという理由で円卓の騎士達といつも同席している負い目から、いきなりその場に躍り出るや緑の騎士の首を一振りで斬り落とします。しかし、首から血を吹き出す緑の騎士の胴体は全く動じることなく、おもむろに自分の首を拾い上げ、「1年後、緑の礼拝堂で待っている。そこでお前に仕返しの一撃をくれてやる。」と猛々しく言い残し、首を抱えて走り去ったのです。“ と衝撃的なシーンはこの後の思いもしないストーリィの展開を予告しています。
緑の騎士はモルガンの魔法により緑色の装束に身を包み、不死の身体を持ち、円卓の騎士を試すためにアーサー王の前に現れたのです。このモルガンはかってアーサー王の甥ジオマールと恋に落ち、後にアーサー王の妃であるグィネヴィアの反対で不成立に終わります。グィネヴィアに憎しみを抱くモルガンは後にグィネヴィアと円卓の騎士の一人であるランスロットの情事をアーサー王に密告します。この度は緑の騎士をキャメロット城に送り、グイネヴィアを恐怖で縛り付け、ガウェインを危機に陥れようとしているのです。
つづく。