1445年以降は優れた印刷技術と木版画によって植物誌が盛んに出版されます。ダマスクローズはどのように描かれているのでしょうか。ジェラードとパーキンソンの植物誌には次のような絵が描かれています。
1 Damask Rose. 2 Great Province Rose. 3 Franckford Rose. 4 Dwarfe Red Rose. 5 Hungrian Rose 6 Great Double Yellow Rose.
左はジョン・パーキンソンがParadisi in Sole, ( Pardisus Terrestris 1692) の中で描いたダマスクローズ、右はジェラードがGerard’s Herball (1597) の中で描いたダマスクローズです。白い花が見当たりませんが、ジェラードはダマスクローズを“棘のある枝に白い薔薇のような姿をしており香りのよい淡赤色の花を付ける。料理と薬用に適している。”と述べています。
同時代の植物学者ニコラス・カルペッパーアはコムプリートハーバル ( Complete Herbal ;1653 ) の中で “ダマスクローズは白い薔薇の花としては背が高くもなく、大きくもないが、赤い薔薇としては背が高く、大きく、茎には棘がある。葉にはたくさんの毛が生えている。花はプロヴァンスローズほど八重ではない。色は淡赤色でよい香りがする。フランス原産で庭に普通に見られる種であり、花は6-7月に咲く。” と述べています。
Red Rose Dog Rose Damask Rose
上はカルペッパーが描かせたダマスクローズです。1500-1600年代にはダマスクローズは濃いピンク色の花に描かれています。白と赤い花をつけたダマスクローズは1500年以降の植物誌の中には存在しないようです。
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