Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 204

2021年03月20日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ
  1. ゲラニオール C10H18O

         

           Geraniol            Nerol

 

      

                      Geraniol              Nerol

ゲラニオールはトランス形(炭素の二重結合に2つずつの異なった基が結合する場合を例に取ると、主鎖(炭素数最多の鎖)となる炭素骨格が同じ側(同じ炭素ではない)につくとシス (cis) 型、反対側につくとトランス (trans) 型の幾何異性体)で,沸点は 230℃です。シス形はネロールと呼ばれ,沸点は 225℃です。いずれも植物精油中に含まれます。( 上も下の化学式も同じものを表しています。赤で印を付けたところは炭素結合が一本なので回転します。赤点の位置で回すと上の図になります )

ゲラニオールは水に不溶,アルコール,エーテルとは混じり合う無色または薄い黄色の液体で、水には溶けないが多くの有機溶媒には溶ける性質があります。薔薇油,ゼラニウム油、シトロネラ油に主成分として含まれ、薔薇に似た芳香を持ち。防蚊の効果があります。

また、ミツバチはニオイ腺で合成したゲラニオールを使って蜜を持っている花とミツバチの巣の入口を標識しているようです(2017/8/30 レモンバーム参照)。精油の香りには鎮静と刺激、両方の効果があり、香りを嗅いでリラックスする場合と、逆の効果が現れる場合があります。比較的安全な精油だとされ、食品業界、化粧品業界で多用されていますが、近年EUによって、非常に強い感作性を有するという評価がされました。ローズゼラニウム油やその成分は、偽物のローズ油やローズ油の増量剤として用いられています。

  

ニオイテンジクアオイ  https://www.ventos.com/ecommerce/product/egypt-geranium-essential-oil/?lang=en 

 

※ ニオイテンジクアオイ( Pelargonium graveolens、 別名 ローズゼラニウム、ペラルゴニウム、poor-man's rose)は、フウロソウ科テンジクアオイ属の常緑性低木。

ヨーロッパの窓を飾っているのはペラルゴニウムです。日本でも売られていますが、夏の暑さ寒さに弱く栽培するのは難しい様です。一般にゼラニウムと呼ぶのは、四季咲きのもので、花や葉、茎を触るとカメムシの様なニオイがします。花色が多く、日本で栽培されているのは大体この種類です。ニオイテンジクアオイは、ゼラニウムの仲間で、春から初夏にかけて咲く一季咲きの多年草で、可憐な花をたくさん咲かせます。ゼラニウムにはない深紅色の花や斑紋、上2枚あるいは5枚すべての花弁の中心に黒や赤色のブロッチ(斑紋)やストライプの模様(条斑)が入る花、ビオラに似た小輪花など、華やかさにあふれています。植物学上ではフウロソウ属(ゼラニウム)から分離したテンジクアオイ属(ペラルゴニウム)を指しますが、園芸上では、「四季咲き性」をゼラニウム、「一季咲き性」をペラルゴニウムとしています。

 

南アフリカ・ケープ地方原産のペラルゴニウム ククラツム(Pelargonium cucullatum)とペラルゴニウム グランディフロルム(P. grandiflorum)を主な親とし、これにほか数種が交雑されて作り出されました。バラを思わせる芳香を持つPelargonium graveolens は、貧乏人のバラ(poor-man's rose)と呼ばれ、香水や香料の原料として昔から栽培されていました。茎と葉に薔薇のような芳香がします。水蒸気蒸留して得られる精油はゼラニウム油と呼ばれ、香料などに利用されます。ここからゲラニオールが発見されました。直鎖、非環式モノテルペン(イソプレンが2個結合した構造をもつ化合物の総称。植物の精油成分にありメントール,リモネン,シトラールなど芳香をもつものが多い)に属するアルコール(炭化水素の水素原子をヒドロキシ基 (-OH) で置き換えた物質の総称)です。

 

ゲラニオールまたはネロールは分子内に2つの二重結合を持っています。このうち1つを水素化するとシトロネロールが得られます。(シトロネロールの別名はジヒドロゲラニオールでした。)分子式はゲラニオール、ネロールのC1018Oに水素が2つ増えて、シトロネロールはC1020Oとなります。二重結合を水素化すると炭素結合が一本になって(不斉炭素原子が生まれ)光学異性体ができます。
             

        

         Geraniol          Citronellol ( Dihydrogeraniol )

シトロネロールには l-体とd-体が存在しますが、おおよそ l-体の方が自然界に多く存在し、香質もl-体の方が d-体(生体由来の糖やアミノ酸のような分子については、光学異性体の表示法であるd-,l-【 d-は dextro-rotatory=右旋性(+)、 l-はlevo-rotatory=左旋性(−) の表記のほうが立体配置をイメージしやすいという理由で,

(+)-シトロネロール、 (-)-シトロネロールとここでは表記しています 】よりもクリアーで明るいシトラス香になります。 

(余談ですがd,l表示と後で出てくるRS表示とは関連がありません。物質の構造、性質を明確に表す手段に過ぎません)

                                    

  1. ネロール C10H18 O

              

                                        Nerol

    

ビターオレンジ(Citrus aurantium var. amara)の花 https://imakescents.wordpress.com/2016/12/29/part-3-orange-blossom

 

ネロールは、レモングラスやホップなどの多くのエッセンシャルオイルに含まれるモノテルペンです。 もともとはネロリ油※から分離されたため、その名前が付けられました。バラのような甘い香りがする無色の液体です。

 

※ ネロリ(ネロリ油、橙花油、Neroli oil)は、ビターオレンジ(Citrus aurantium var. amara)の花から水蒸気蒸留によって得られる精油のことで、ネロリは香水、特にオーデコロンに使用されます。大部分はイタリア、モロッコ、エジプトで生産されます。水蒸気蒸留の副産物としてオレンジフラワーウォーターが得られます。

 

 


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