西暦3世紀初頭、メソポタミアのセム族とペルシャ族が住む地帯から、別の宣教師宗教であるマニ教が出現しました。その約100年後、シルクロードの主要な動脈であるペルシャ王道に沿ってペルシャのネストリウス派の司祭たちがトルコの遊牧民の大部族に洗礼を施したのですが、まずマニ教の前身とも言えるゾロアスター教から語り始めることにしましょう。
預言者マニ(Mani)は、パルティア人(Parthian)の両親からユダヤ-キリスト教のバプテスト派に生まれましたが、20代前半にインドに旅行し、さらにそこでさまざまな影響を吸収し、セム族、ペルシャ人、インド人の伝統に基づいていた、諸教混交の教義を特徴としました。教えは地中海とペルシャの世界で広く普及し、競合する宗教に深刻な脅威をもたらしました。サーサーン朝での主なライバルは、ペルシャの一神教であるゾロアスター教でした。
ザラスシュトラの想像像
イラン南西部のターク イ ブスタン(Taqi-Bustan、 はサーサーン朝ペルシャ時代の遺跡)にある4世紀の彫刻に登場する人物を参考にして描かれたザラスシュトラ。現在、ミスラまたはフワル、フシャエタ(Mithra 又はHvare-khshaeta)のいずれかであると考えられています。
ゾロアスター教を興したザラスシュトラの生存年については、紀元前数千年、紀元前1700年、紀元前600年など諸説がありますが、現在の研究では紀元前1000年頃とするのが定説で、実在の人物であったことはほぼ間違いないと考えられています。ザラスシュトラの出生地については、中央アジアを横断してアラル海に注ぎ込むアム ダリア川流域地域とする説もありますが、定かではありません。とにかく、東イランのどこかと考えられます。ゾロアスター教は二元論、終末論を軸とした一神教です。
ザラスシュトラは、古くからバクトリア(Bactria、バクトリアナ、トハーリスターン、トハリスタンとも呼ばれ、ヒンドゥークシュ山脈とオクサス川の間に位置する)の人だという伝説があり、仮にそうであれば、ザラスシュトラは幼児からダマスクローズに親しんでいたと言えます。
西暦9世紀にペルシャで書かれたアヴェスターと呼ばれるゼンドアヴェスター※は、古代ゾロアスター教徒の祈祷書です。 Yasna、Vispered、Vendidad、Yashts、Khordah Avestaの5つの部分に分かれています。散文は、ゾロアスターの死後に書かれました。22の章ファーガード(FARGARD II. 1 7)に薔薇が登場します。花から抽出された美しい香りは神秘的な力を持ち、光の神アフラ マズダー(Ahura Mazda)※の崇拝に重要な役割を果たしたと信じられていました。
※ アフラ マズダー (Ahura Mazdā又はOrmizd、Ormazd) は、ゾロアスター教の最高神で、宗教画などでは、有翼光輪を背景にした王者の姿で表されます。その名は「智恵ある神」を意味し、善と悪とを峻別する正義と法の神であり、最高神とされます。アフラは天空、マズダーは光を指す言葉であり、アフラ マズダーは太陽神ともされます。アフラ マズダーは、ペルシャの王ダレイオスⅠ世(Darius I、西暦前522~486年に君臨)と彼の後継者によって、王の擁護者として崇拝されていました。
アフラ マズダー(Ahura Mazdā)
イラン、ペルセポリス(Persepolis)の評議会ホールのメインホールの出入り口のシンボル、シカゴ大学東洋研究所提供
ペルセポリス(Persepolis、イランのファールス州、当時の地名はパールサ地方にあります)https://www.earthismysterious.com/magnificent-ruins-of-the-ancient-city-of-persepolis/
※ ゼンド アヴェスターから、“薔薇“ を容れた文言をご紹介しておきましょう。
THE ZEND-AVESTA から、
27 (70), あなたはこの地球上で最も偉大で、最高で、最良の男性と女性の種を持って来なければなりません ; あなたは、この地球上で最も偉大で、最高で、最良の、あらゆる種類の牛の種を持って来なければなりません。
あなたは、この地球上で最も大きく、最も甘い匂いのある、あらゆる種類の木の種を持って来なければなりません ; あなたはあらゆる種類の果物の種、最高の味と最も甘い匂いを持って来なければならない。それらのすべての種は、それらの人がバラ(Vara)にとどまる限り、そこに無尽蔵に保たれるために、あらゆる種類の2つを持って来なければなりません。 中略
30(87) あなたはその場所の大きな所で、9つ、中央の部分で6つ、最小の部分で3つの通りを作ります。 大きな所では男と女の種を1000と、中央では600の ( 以後の文章は欠落 )。
最良で典型的な人間であり、最後の日のより完璧な人種の起源となる。
cjrpress ( cypress : イタリア糸杉 ? ) やplane-tree (プラタナス) などの最も大きな; 薔薇やjessamine(ジャスミン?)のような最も甘い香り;
デイツのような最高の味; 柚子のような最も甘い匂い
アヴェスターの中には“甘い香り”と記されていました。否定的な表現ではないと思います。
Nations of the ヴェンディダード(Vendidad), Avesta
シルクロード沿いにあるソグド人商圏 : ソグディアナ、別名トランスオクシアナ http://www.heritageinstitute.com/zoroastrianism/sugd/trade.htm
ソグディアナ (Sogdiana) は、中央アジアのアムダリヤ川とシルダリヤ川の中間に位置し、サマルカンドを中心的な都市とするザラフシャン川流域地方の古名です。バクトリアの北、ホラズムの東、康居の南東に位置する地方。現在のウズベキスタンのサマルカンド州とブハラ州、タジキスタンのソグド州に相当します。イラン系の言語を話すソグド人が居住したことからつけられたギリシャ語、ラテン語の名称で、既に8/18, 8/24で述べたようにローマからみてオクサス川(アムダリヤ川)の向こう側にあることから、トランスオクシアナとも呼ばれます。中国の歴史書では粟特と記されています。この地域はダマスクローズの故郷でもあります。
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