3 あせり
豊は探した、職業を探したのだった。しかし、希望の職業がなかった。失業保険もとっくに切れていた。不安を隠すように酒を飲んだのだった。家に帰れば以前の甘い家庭はなかった。京子はパートへ行っている。貯金も底をついたようだ。豊は悪いと思いも働く気力が薄れていた。このような生活が何ヶ月と続いた。京子は子供を保育園に預けそしてパートの仕事がおわって引き取りに行った。そして、夕食の仕度である。子供がいるだけで大変なのに、仕事、収入などで余計に大変なのであった。
(あなた、私の収入だけでどのように暮らしていけばよいの)京子は夫に詰め寄った。豊かはあくる日生活保護の手続きに行った。いろんな規制があるのですぐには受けられないようだ。今の豊の生活は気力がないのでどうにもうまくいかなかった。生命の無気力、精神的な無気力であった。大きなダメージが、ノックアウトパンチを受けたように無気力が体に残っていた。一流企業に勤めていた時は目が輝き気力も秘めていた。しかし、他社でも俺を必要しているとの自信満々に退職後、職安紹介での他社との面接や条件閲覧をするたんびにその自信が無くなってきた。(俺の将来はどうなるのだ。真っ暗だ。死はごめんだ。生きるぞ、しがみついても。しかし、気力が、パンチばかり浴びているようだ)豊は自問自答を繰り返した。豊かは生きる力はあるようだが、京子がまいっているようだ。何でも、勤め先のマーケットから借金をかさねているようだ。実家の老夫婦は年金暮らしでもう借りるのは限界であった。
4 一緒に
京子(あんた、死のう、一緒に死のう。もうだめ、お金がない、生きる気力がない。子供が親なしで生きさすのはかわいそう、一緒に死のう) 豊(俺はいきたいんだよ。死ぬのは怖い、働くよ、懸命に働くよ)京子(あんた、その言葉、もう聞き飽きたわ、生きる希望がないわ)二人は死の対話をしている。豊は人生に未練があるようだ。京子は病気にかかっている。散々に男に泣かされ、精神的に参っている。心が参っている。少しのことでびくびくしたり目をきょろきょろする。金融会社の借金催促を怖がったり、パート先の解雇を怖がったりもしている。そして、夫に目を吊り上げて心中を迫る。夫の豊は、仕事どころでなかった、彼もまた、精神に、肉体に毒が回ったように無気力となっている。そして、生きるも、死ぬのも無気力となり、今生の未練にしがみついている。
豊は、京子の死相の恐ろしさ、死神がへばりついた怖相にたまらず自宅を飛び出した。そして、昔、よく行った赤提灯の飲み屋にいのだったって酒を飲んだ。そして、その夜は公園で寝たった。2日後に自宅に帰った。家には誰もいなく、車検の切れた車がなかった。テレビをつけたら、若い女と小さな子供が古い車の中でガソリン自殺の報道が流れた
終了
解説 現代、自殺は交通事故より多いい。世の中の不況、いじめ問題などが反映している。いじめ問題では、小学生、中学生が自殺する。これには多くの人が胸を痛める。これからの人生を絶つのである。世間に、死に対して、死後の生命にたいして無理解が多く出回っている。故に、死ねば悩みが解決するとの思いもあるのだろう。しかし、死では何も解決しない。仏典には阿鼻地獄等も説かれている。また、目連の母は慳貪の罪で死後苦悩したとある。
人生、喜怒衰楽、生きて、生きて生き抜こう。
中道 進