短編 良医病子 中道 進
1合気道
先生 稽古は一生懸命やれ、人生にも役に立つ
古川 先生 今度の昇段試験はいつですか。
先生 12月だ。みっちり稽古をしろ
古川 はい、頑張ります。
(古川は、合気道2段、会社勤めの後に道場に通っていた。稽古が終わる
と居酒屋で飲むのだった。稽古というより、終わった後の酒を飲むのが
楽しみだった)
先生、古川、君は酒が好きだね、酒飲みすぎて会社で失敗しないのか。
古川 気を付けて飲んでいます。
(この日も稽古が終わり居酒屋へ駆け込んだ)
古川 ビールと肉ジャガを頼みます
主人 お疲れ様です。早速用意いたします。古川さん、この前は、荒れましたね。危なかったですよ。喧嘩の相手がヤグザの人でしたから。
古川 ぜんぜん覚えていないな。
主人 今日は、ほどほどにしといて下さい。
古川 大丈夫、安心して。
(古川は酒乱であった。以前も、二日酔いで会社でトラブルをおこし
会社を辞めているのだった)
2 心の病気
古川は心の病気であった。身体は丈夫で健康であった。しかし、稽古後や会社終了後には酒がなければ心が治まらなかった。人間の心の病気は8万4千あるという。怒り、愚か、憎しみ、暴言、怨嫉など、様々な病気がある。
古川 もしもし、お母さんか、心配しないで電話はいらないよ。
母 育夫、良い医者を紹介された。会ってみて。
古川 医者か、どうせ藪医者だろう。
母 今度は大丈夫 お前の酒癖を治してくれるよ。
古川 自分で治すよ。心配しないで。 (古川は電話を切り飲むのだった。
彼は、明らかなアルコール依存症であった。この病気は自己で治すのが
一番である、しかし)
古川 主人、お勘定してくれ。
主人 あ、今日は早いではないですか。 (古川は、店を出たが、次の店に
行くのであった)
古川 こんにちは、ママさん、また来ましたよ。
ママ まあ、古川御殿様、いらっしゃいませ。
古川 ボトルに焼き肉を頼む
(この店、スナックは、古川の馴染みだが、機嫌をとり、お酒を飲ます
のが得意だった) 次回へ