この季節になると、サロンのゲストと雑煮の話になる。
お店がお休みの三が日。お正月くらいは女性をゆっくりさせてあげようというのがおせち料理かなと思うわけです。ところが、昨今みんなが贅沢に、お店も2日くらいから競って営業するようになり、ますますおせち料理に人気がなくなってしまっています。
2日目からは「お鍋やカレーにして」と、要望を受け入れる女性の苦労もたいへんなもの。
あっ、お鍋の方が楽でいいですかね(笑い)。
でも、お雑煮だけは元旦の朝、食べるというのが当たり前にはなっていますよね。
みなさん、それぞれのご実家の都道府県で、微妙に雑煮のレシピが異なるようです。ご自身のうちの味に自信と誇りをもたれている気がしますね。
代表的な例でいうと、京都なんかは白味噌仕立てで、具は大根とニンジンのみ。餅は丸餅で湯煎。雅楽が聞こえてきそうな厳かな一椀。
一方、関東に行くと、海老やら小松菜、椎茸、かまぼこなど盛りだくさん。すまし仕立てで、焼いた角餅。
少し焦げた餅の香ばしさがいいですね。
私の実家はもともと、福岡県なのですが、醤油仕立てのすまし(かつお、昆布、干し椎茸の戻し汁)で、里芋、にんじん、椎茸、ごぼう、ほうれん草、かしわ、かまぼこと具だくさん。丸餅を湯煎で。これが美味いんです。
京都や、四国のほうでは、白味噌で甘辛いうえに、あんこの入った甘い餡餅仕立てのものをお聞きします。ここまでくるとおやつ感覚ですね。
東北や北海道になると鮭がはいる。酒かすがはいり、石狩鍋のようになるらしい。
慣れ親しむとお正月の味として、どれもおいしいのでしょうね。
お母さんが、お正月だからと新しい下着を用意し、家族そろって元旦に正座しておとそをいただく。そんな日本の素晴らしい慣習も薄れつつあります。
何でもありだからこそ、原点に立ち戻り、日本らしさ、郷土の慣習、文化や味など大切にしていく気持ちを忘れないようにしたいですね。