ライブをさせていただくと、なにかしら面白いお話が聞けます。今回も、銀次さんのお相手をさせていただいた際に、いろいろ。
吉田美奈子さんは、レコーディングの音入れのとき、異常に怖いと。それ以上にターボーはもっと怖いと。あの、ターボーって大貫妙子さんのこと。どちらも、ナイアガラーなら神様的存在なんです。大貫さんは、シュガーベイブのオリジナルメンバーだし、吉田美奈子さんは山下達郎さんと曲をたくさん合作している方。どちらも素晴らしい声の持ち主ですが、ことレコーディングのときにはスタッフは顔色をうかがいつつ「あのー、もう一度いれなおしましょうか?」「そうしてくださる」と。いつもは、かわいい声の、その声のトーンが、いつもとは別人格だそうで(笑)
佐野元春さんは、なりきる方。ブルース・スプリングスティーンならステージに立てばこうのはずだと、何かが乗り移ったように入り込む。飛んで、跳ねて、その間はブルースになりきってしまうそうです。その間の記憶はどこかに飛んでしまう。
ライブ中に、元春さんが走って、銀次さんの横を通り抜けアンプのスイッチを消してしまったことが。アンプが少しボーカル側に向いていた。あとで謝ったら何も覚えていない。ただ、その音だけが気に入らず、無意識にそうしてしまう・・。
プロの方々の、音に対するこだわりや見る視点は、いつも驚きに満ち満ちています。まあ、そうでないとプロとは呼べないのかな。いまの音楽界は、だれかが考えたストーリーのとおりに楽曲が作られ、集金マシーンとしてのパペットみたいなアーチストも多いと。横でうなずきながら、よい時代だった70年代~80年代に思いをはせたのでした。
ほんとうに物の価値がかわってきて、音楽もいつでもどこでも簡単にダウンロードできてしまい、最高の音質で聴くことが可能な時代。レコードのホコリを気にしながら、そっと針を落としたアナログの時代を知る者には、こんな便利で、安直な時代が来るとは予想だにできませんでした。
これは進化と呼べるものなのだろうか。どこにむかっていくのだろうか。
これから、ますます「生」の音が大切な時代なんだな。きっと。
■伊藤銀次さんが、ブログに書いてくださいましたので、ぜひご覧くださいね!
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