だいすき

基本的に自分の好きなものについて綴っていきます。嫌いなものやどうでもいいこと、さらに小説なんかもたまに書きます。

D-魔道衆

2007年11月13日 04時46分03秒 | 小説が好き
 朝日ソノラマはなくなってしまったけど、『吸血鬼ハンターD』は残った。
 悲しいけど、悲しんでばかりもいられない。
 新作の『D-魔道衆』はそのくらい面白かった。

 荒廃した世界で、旧時代の支配者『貴族(吸血鬼)』を狩ることを生業とする、美貌のハンターの物語。
 かなり長く続いているシリーズだけあって、最近は少しだれてきたかな、という印象もあったのだけど、今回はそんな印象を吹き飛ばしてしまうほどの出来だった。

 基本的にこの物語のテーマのひとつは『侠気』である。
 その荒れ果てた世界にあって、どれだけ人間らしさを貫けるかが描かれていることが多い。
 今回もそうだった。
 ひとりの少年が一目惚れした少女の為に全てをかける。
 なにも得ることがないと知っていながら、己の信じる道を突き進む姿は勇ましくもありカッコよくもあった。
 ラストの彼の選択は、このシリーズを長く愛してきた者であればあるほど、感動を禁じえないものであろう。

 『D-魔道衆』。
 いまだ衰えることを知らぬ作者の実力を示す傑作である。

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