鈴木祐樹

　鈴木祐樹だよ、鈴木祐樹。
　わかる？

　ス　ズ　キ　・　ユ　ウ　キ。

　大丈夫？
　もう、憶えた？
　なら、忘れていいよ。どうせ、あなたは出会いっこないから。この稀有な才能を持つミュージシャンとはね。
　それは大変不幸なことなんだけど、しょうがないことでもあるんだ。彼は陽の目を見ない。そういうタイプの天才なんだよ。
　世に受け入れられ難いというか、危険なんだよ。彼に触れることはね。
　いや、理解することは、と云った方がいいかな。
　とにかく彼は危険だ。えぐるよ、あなたの感性を。
　揺さぶるよ、あなたのハートを。
　まだ平和な日常に別れを告げたくないでしょ。明日も、平凡だけど平和な一日を送りたいでしょ。
　だったら、忘れた方がいいよ。厄介な男だからね、彼は。
　寂しがり屋で人懐っこく、それでいて人間関係を築くのがへたくそで、他人を拒絶してばかりいる。
　あっ、勘違いしないでね。これは僕が受けた印象。曲を聞いて思ったこと。
　でも、いくつものバンドを作っては壊し、作っては壊したりして、さらにはあんな曲を書いているんだもの、そう間違ってはいないと思うよ。
　どちらにしろ、沢山の人に曲を聞いてもらいたいとは思っているだろうけど、売れてメジャーになりたいとは思っていないだろうね。
　そのくらい尖がった、でも、抜群にいい曲を書くんだ。

　あなた達の知らない所で、強烈な輝きを放ち、魂に刻まれる名曲を生み出す男がいる。
　鈴木祐樹。
　彼のことが大好き。