即ゲットだぜ

　目についたものを端から買っていけば簡単だ。

　それは理解している。

　とはいえ、貧乏なこの身であれば、なかなかそういうわけにはいかない。

　まとめ買いが好きな性分とあってはなおさらだ。

　そういうわけで、欲しい本を見かけても、即買いしないときがたまにある。

　あるのはいいが、ここ最近僕の海馬は目に見えて破壊されつつあるので、記憶力に自信がない。

　見た記憶のあるこの作品は、果たして買ったかどうか？

　買ってすぐ読んでいれば悩むこともないが、すぐに読まないときは本当に困る。

　今日も本屋に行って、これを買わねば、という本を手にしようとしたのだが、直前まで以前買ったかどうかが思い出せない。悩みに悩んだ末、買っていない！　という結論を下してレジに並んだのだが、前の人がおつりを受け取っている瞬間――

　買った！！

　ということを完全に思い出した。

　ふぅ、危ないところでした。

　これからもきっとこういうことは度々起こるのだと思う。その度に僕は上條淳士先生が、浅田弘幸先生の送ったあの名言を思い出すだろう。

『レア物　即ゲットだぜ』