理由

　例えば、十代の多感な時期に愛することの素晴らしさとか、優しさの意味だとか。夢や希望の存在を語って聞かせたとする。
　相手は持って生まれた聡明さで、この世の醜さや、大人の狡さを見抜いているから、僕の話なんか鼻で笑って、耳を傾けようともしない。
　それでも、諦めずに話し続けたら、相手の心に種を埋める事が出来るかもしれない。
　その種はいつか芽吹く。愛することの真の意味を悟った時に。優しさに涙するときに。自分の子供の夢を聞いたときに。いつかはわからないけど、きっと芽吹く。
　芽吹いた後はその人も別の人に種を植えてくれるだろう。

　そんな風にして、少しづつ世界が優しくなっていくといいな。

　僕の書く物語が、中高生を意識している、それが理由。