麻也は固まってしまった、それって…
自分のあまりのフリーズぶりに、真樹を困らせているのが情けなく、でも成長してきて青年っぽくなってきているあの少年が嫌でたまらなかった。
諒以外の男に迫られているということも嫌だった。
「兄貴、鈴木さん達呼ぶわ。それでも埒が明かなかったら、ホテルの人も呼んでみる」
と携帯を手に取るとすぐに鈴木につながったようだ。
しかし、電話の向こうではなんだか揉めている気配で、
「切れちゃったよ…」
真樹は折り返し…
その時ドアがノックされた。麻也は真っ青になった。
「麻也さんひと目でいいからお顔を見せてください…」
それは、間違いなく冬弥の声で…
麻也は真樹の携帯を耳守るばかりだった。
「…鈴木さんはこっち向かってるって、諒が戻りたいっていうのを止めるので大変だったって…」
にしてもやりすぎだっつーの、と真樹は言いながらドアの方を睨み付けた。
するとまたノックされた。
それに向かって真樹が、
「他の人にも迷惑なんでやめてもらえますか
」
真樹は振り返り、
「俺が出て話つけてこようか?」
「やめた方がいい。元々ちょっと非常識な奴なんだ」
「いや、でも…」
と言いながらドアの防犯レンズで見たが、姿は見えないという。
ドアの下の方でうずくまっているとでもいうのだろうか。
「 兄貴は着替えて寝てていいよ。鈴木さん達もすぐ来るだろうし、俺が見張ってるから大丈夫だよ」
「でも…」