新国立劇場「さまよえるオランダ人」2日目(1月22日)を鑑賞しました。
こちらのブログでも再三オランダ人ネタは書きましたが、シュテークマンの演出は、「きちんとオランダ人が救済される」ところが気に入っています。
自己犠牲と言うとゼンタのほか、ブリュンヒルデ、エリーザベトなどが浮かびますが、いずれも幕切れの音楽が素晴らしく、そこでカタルシスを味わいたいわけです。
他のオペラ作品でも自己犠牲は出てくるけど、自己犠牲と聞いて世代的に思い出すのが、「魔法使いサリー」の雪だるまだなあ。小さい頃泣いた記憶があります。
前にも書いたように、このプロダクション、初演の時はラストに感動したのですが、その後はそうでもなく⋯⋯。
で、今回、「そうでもなかった」ニキティン氏のオランダ人。
ニキティンが私を感動させられるか、という逆リベンジ?鑑賞、の予定でした。が初日、衣装合わせまでしたのに降板、というニュースを見ました。
結果的にニキティン氏は25日公演のみの出演だったそうです。
せっかく来日したのにね。
簡単に感想を書きます。
オランダ人は、歌とか声とかの点で、春祭のターフェルの圧倒的な存在感が忘れ難く、河野さん、「ちょっと違うかな」と思うのですが、でも河野さんの“ファントム”オランダ人は素敵。ラストもしっかり感動出来ました。急遽の登板で大変だったでしょうに。
松位浩さんは風貌も含めダーラントにぴったり。
エリザベート・ストリッドのゼンタはアクティブで、ちょっと狂信的なゼンタを好演。
ジョナサン・ストートンのエリック、長身だし、なかなか素敵でした。声も良かった(最後はちょっとお疲れ気味でしたが)。
伊藤達人さんの舵手、マイスタージンガーのダーフィットを思い出させるチャーミングな徒弟系キャラでした♪
2022年は声だけだった金子美香さんがマリー。今回演技ありでしたが余裕の演唱。
マルク・アルブレヒト指揮の東響も私は満足でした。
そしてなにより合唱に圧倒されました。カーテンコールでもひときわ大きな拍手を浴びていました。
夏の芸文のミヒャエル・テンメ氏の演出も、王道路線ではないかと思います。
二期会の深作健太さんはおそらく王道ではないだろうけれど、後味は悪くはないのではないかと想像しています。
演出も含めそちらの公演も楽しみにしています。
