あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

東京二期会 「コンヴィチュニーの影のない女」

2024-10-28 09:13:40 | オペラ

 「コンヴィチュニーの影のない女」について簡単に。

 

楽曲切り刻み、3幕カットで物議を醸しています。

初日(10/24)鑑賞。久しぶりにあれだけのブーを聞いた。怒号が飛び交ったのを聞いたは初めてかも。

 

「拍手なんかするな」

「金返せ」

終演後私がすぐに手を叩かなかったのは、一部の人に煽られて、ではなく、もう一場面、どんでん返し的なものがあるのでは?  と待ってしまったから。

拍手するかししないかは個人の自由ですが。

「金返せ」は、ひょっとしたらクラファンで入場料以上のお金を出していた人だったのかも? それなら「金返せ」と言う権利はあるかも、とは思いました。

 

シュトラウスの作品を使った舞台作品、と思えば、有り。原曲を使ってよく作り込まれていて、言いたかったこともわからなくはない。 一つのステージとして見応えがあり、面白かったと言えます。

ただ個人的には、もっとスカっと後味のいいものだったら良かったのに、と思いました。

 

ブーイングを聞くことは過去にもありましたが、記憶に新しいのは、新国立劇場の「フィデリオ」。

が、こちらでも書きましたが、私はカタリーナの「フィデリオ」は好きだった。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/a60a535af9c8cf93121faefc3e7db9de

 

今回のは、好きとは言えないかな。また観たいかって言うと微妙。

別キャストの公演は観たかったのですが、スケジュール的に無理でした。コンヴィチュニー氏のアフタートークも聴きたかったですが。

 

アレホ・ペレス指揮の東響の演奏と歌手の皆さんは素晴らしかった。

特に皇后(お嬢)の富平さん、とにかくきれいだし声も優しい美声で熱演。皇帝・伊藤さんは着実にキャリア積んでますね! 今後も楽しみ。藤井さんの乳母も凄かった。バラクの大沼さんはやっぱりうまい。その妻・板波さんの存在感! 

フルに、普通に聴きたかったという気持ちはあります。このキャストで第3幕聴きたかったなあ、と。後日演奏会形式で公演してくれないかな。

 


ロラン・ペリー演出 東京二期会「コジ・ファン・トゥッテ」

2024-09-06 23:17:01 | 日記

東京二期会「コジ・ファン・トゥッテ」2日目(9月6日)を鑑賞しました。

筋はともかく、やっぱりモーツァルトの音楽は素晴らしい。

耳だけでも充分楽しめますが演技も細かくて目が離せない。

歌手の皆さんのバランスも良く、全体的にレベルが高く楽しめました。

ドラベッラの小泉瑛子さん、チャーミングな等身大の女性という感じで、演技も歌もとても良かった。

フィオルディリージの吉田珠代さん、序盤は他の出演者に押されぎみの印象でしたが、第2幕は貫禄のプリマっぷり。

デスピーナの七澤唯さんは「デイダミーア」の時がらっと印象が違いましたが、今まで見た中で一番パワフルなデスピーナで印象的てした!(メイクのコンセプトが今一つわからなかったけど)

グリエルモは小林啓倫さん。「ドン・カルロ」のロドリーゴを観てから注目していました。やっぱりいい声! 今後いろんな役で聴いてみたい。

演技面で一際光っていたのはフェランドの金山京介さん。タミーノは何度か観ていますが、今回のような現代の扮装でスラッとして格好いいのは、テノールとして貴重です。コミカルな演技も良かった。

そしてそして。ドン・アルフォンゾの黒田博さん。最初の大御所歌手っぷりから、若者を振り回すちょっとブラックな策略家に変わり、とにかく舞台を牽引。何を演じても素敵だわー。

 

演出ですが、新国立劇場のキャンピング・コジも大好きなのだけど、

今回のロラン・ペリーの演出も、ストーリーのめちゃくちゃさをあまり感じさせない設定になっていて、徐々にオペラの世界に引き込ませてくれます。

レコーディングスタジオという設定は、観客も「静かにしなきゃ」という意識が働いていいのかも、と思いました(客席で咳は少なかった。ドスンと何か落ちる音は数回したけど)。
 
この設定なら、最後はこういう風にして欲しかったな、と思うラストシーンがあるのですが、まだ観ていない方々のために書かないでおきます。

演奏はクリスティアン・アルミンク指揮の新日本フィル。

アルミンク氏の指揮の様子がよく見え、合図を出したり、アリアの後、いいよ! というような反応が手先に出ていて、本当にレコーディングスタジオで録音しているコンダクターに見えました。

チェンバロ、ではなくフォルテピアノの山口佳代さんもブラボー、でした。

 

それにしても、今回特に空席が目立ちました。

鑑賞するほうとしては、お手洗いも混まないし、カーテンコール中、前を通って帰る人もいなかったし、快適ではあるけれど、素晴らしい公演だっただけにもったいない。

最近の二期会、2日目の平日をマチネにする意図は何なのでしょう。

夜だったら行けるのに、という人や、花金にふらっとオペラでも行こうか、と思う人もいると思うのだけど。

マチネにするなら思い切り料金を安くしてみるとか。

いずれにしても、質の高いかつ楽しめる公演なので、山形でも岡山でもたくさん入って欲しいです。

 


宮本亞門演出 東京二期会「蝶々夫人」

2024-07-20 22:26:40 | オペラ

初日の7月18日に鑑賞しました。

実はプッチーニのオペラは、決して嫌いではないけれど、私の中で優先順位が高くなくて、「蝶々夫人」を生鑑賞したのも何十年ぶりか。
個人的に、「ワルキューレ」、いえ、単独上演がまずない「ジークフリート」の生鑑賞回数のほうが、「全プッチーニ作品」生鑑賞回数より多かったりします。
でも改めて、イタリア人ながらアメリカと日本の音楽も取り入れたこの作品を創ったプッチーニの才能とチャレンジャー精神に感服しました。

「蝶々夫人」に食指が動かないのは、やはりストーリーが悲しいというか腹立たしいから、というところもあるし、西洋人が蝶々夫人を演じるのは違和感しかないし、日本人が演じていても「えっ15歳!?」と思ってしまうし。

 

ですが宮本亞門氏の演出は違和感と不快感を感じさせないものでした。「

蝶々夫人」を観て泣いたのは初めてかも。

宮本亞門氏の演出オペラ、結構観たことになりますが、どれもコンセプトがはっきりしていて、不快じゃないのがいいですね(『ドン・ジョヴァンニ』だけは、ちょっとなあ、だった印象はありますが)。 
今回のプロダクションも以前BSで放映した時に観ましたが、流し見だったので、初見の気持ちで観ていました。

「午後の曳航」もかなり演劇的でしたが、今回の「蝶々夫人」もそうでした。

今回、セットと言えるものは一つだけで、紗幕と映像で情景を表現。バルテック・マシスの映像はどれも、こういう柄の服があったら欲しい、と思うような私好みでした♪

歌手の皆さんも、出番が少ない役の皆さんも含め、歌も演技も良かった。

ダン・エッティンガー指揮の東フィルも、状況(演出)に沿った演奏で、オペラは総合芸術だと改めて感じさせる、舞台作品だったように思います。

 

特にメインキャストの皆さん、歌、演技、ヴィジュアル含め良かったです。

 

まず蝶々さんの大村博美さん。
いやほんとに大村さんが本当に10代の少女に見えました。
「ある晴れた日に」、セットの2階、と言うのでしょうか、すごいところで歌っていました。このアリアをあんなにヒヤヒヤしながら聴いたのは初めてです。吊り橋効果の変形じゃないけど、一層感動した、と言うか。第2幕のラストのハミングコーラスのシーンも、大村さんが涙を流していらして、こちらももらい泣き。

そしてスズキの花房英里子さん。名スズキと言われた永井和子さんが公演監督でしたが、花房さんのスズキもとても素敵でした。演技も声も。

ピンカートンは城宏憲さん。去年からドン・オッターヴィオ、ドン・カルロと観ましたが、聴く度に声も含め印象が違うように思えます。演出のお陰でクソ男でない、同情の余地があるピンカートンでした。

シャープレスの今井俊輔さん。会場のお客さんの会話などからも人気の高さを感じましたが、さすがの演唱でした。深く広い、リアリティのあるシャープレスでした。

ゴローは近藤圭さん。イヤなやつ、という役なんだけど、存在感抜群でした。

青年役のChionさんもでずっぱりですが深い演技を要求される役で、好演、熱演でした。

「坊や」役の大塚稜久くんも、動く場面が多く、大変だったと思いますがブラボーでした。
惜しむらくは「坊や」と青年の顔が似てなかったことかな。

衣装は髙田賢三さん。宮本氏の演出意図に合う素敵な衣装でした。

髙田さんもですが、多くの人を新型コロナウイルスによって失ったということを忘れてはいけません。世の中ちょっと緩んでいるけれど、今また新型コロナが流行っていますが、気をつけましょう!!


ようやく観られた新国立劇場「コジ・ファン・トゥッテ」

2024-06-03 18:08:52 | 日記

5/30、初日公演を鑑賞。

この作品は好きな作品ですが、観に行きたいランキングではそんなに上ではないこともあり、実はそんなには生で観た回数は多くないのです。
ですがこのプロダクションは、以前BSで放映されたのを観て気に入ったので、生で是非観たいと思っていました。
2020年の公演のチケットを買っていたのですが、中止になってしまい、ようやく観られました。

このダミアーノ・ミキエレット演出のキャンピング・コジ、何がいいかって、とにかく「ヴィジュアル」にうるさい私も大満足!
とにかく見た目を重視したキャストが組まれています。

まずフェランド(ホエル・プリエトさん)が長身! スマート! 脱いでもすごい!

(長身でスマートなテノールって貴重!!)


また、タンクトップにショートパンツの衣装を着こなすドラベッラのダニエラ・ピーニさん。2011年にも同役を演じていたとか。13年体型を維持されているのはすごい!

最初は全体的に声の出方が今一つに思え、「ああ、ヴィジュアル重視のキャスティングなのね。でも私はオッケー」などと思っていましたが、徐々に本領発揮、歌も大満足でした。

フェランドも、フィオルディリージのセレーナ・ガンベローニさんも特に第2幕で聴かせてくれました。

グリエルモの大西宇宙さんは期待を裏切らない色男っぷり、デスピーナの九嶋香奈枝さんも、ただチャーミングなだけじゃないデスピーナを好演。

フィリッポ・モラーチェさんのドン・アルフォンゾが、あまりバスっぽくない声(バスバリトンとのことだけど、割と軽い声)で、実は最初は違和感あったのたけど、風貌・キャラとも味わいがあって、変な言い方かもしれないけれど、等身大のアルフォンゾといった感じ。
ドン・アルフォンゾのほうが、他の二人よりカッコいいじゃない! ってこともありがちですがそんなこともなく、ちょうどいいアルフォンゾ、でした。

デスピーナとの絡みもドキッ。


演出は本当に細部まで凝っていて、このオペラの「無理があるだろ」というようなところも、さらっと解決させるもので、ラストも大いに納得。
このプロダクションでまた公演があったら、次も絶対観たいです。

先日の二期会「デイダミーア」も楽しませていただきましたが、どちらも1700年代に作られた作品。歌詞を見ても、200~300年前も、男女に関してのアレコレについてはいつの世も変わらないのね、と思ったり。
ただ、ジェンダー平等とか多様性というところで、どうかと思う部分はありましたが。

 

それにしてもこのめちゃくちゃな話に素晴らしい音楽をつけちゃうモーツァルトって、やっぱり天才だ-。

 

「女はみんなこうしたもの」
女はみんな浮気者、貞節を守らないっていうことではなく、「女はみんな押しに弱い」ってことなのよね。
あれだけぐいぐい来られたら、そりゃあ落ちちゃうよねえ。

 


東京春祭 「エレクトラ」

2024-04-19 08:57:41 | 日記

4月18日、生鑑賞しました。

備忘録的に感想を。 

 

「エレクトラ」は結構好きでよく聴いていましたが、実は生鑑賞は今回2度目くらい。対訳を持っていなかったので、うわ、こんな歌詞だったか、と改めて思ったり。

だけどしみじみ、「私はばらの騎士よりエレクトラのほうが好きだわ」と思いました。

 

今回の公演、簡単に言えば、素晴らしかった!

5人のメインキャストは申し分なく、特にエレクトラのパンクラトヴァ、演技もすごくて舞台を牽引、演奏会というより舞台を観たような充実感でした! 

クリソテミスのオークス、クリテムネストラの藤村さんとの場面は、見応えがありました。

特にオークスの声!すごかった。

侍女ら日本人キャストも、中島郁子、小泉詠子、清水華澄、竹多倫子、木下美穂子、北原瑠美、加藤宏隆、糸賀修平といった超豪華な皆さんで、最初から聴き応えありました。

個人的目当てはルネ・パーペ様と加藤宏隆さんでしたが。

パーペは、一人だけ楽譜持ち込みでしたが、存在感たっぷりで、舞台にいなくても、殺害シーンを想像しちゃう、というか。

エギストのリューガマーも役に合っていて良かったです(スタイルの良いテノールは貴重!)。

ヴァイグレ&読響。ヴァイグレの動きを含めた指揮ぶりも抑揚があって、目と耳で楽しめました。

 

それにしても「東京春音楽祭」、すごいラインナップだなぁ。なかなかお財布と時間の都合で複数行けないけど、ネットでも楽しめるのは有り難い。

オーケストラメンバーが席を立って、お客さんがかなり帰ってふからもこういうサービスショットがありました。こういう情景を見られるのは生鑑賞ならではですけどね。