あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

「さまよえるオランダ人」year その1 新国立劇場

2025-01-30 23:00:09 | 日記
今年は新国立劇場、兵庫、二期会で「さまよえるオランダ人」が予定されており、オランダ人イヤーになるわけですが。

新国立劇場「さまよえるオランダ人」2日目(1月22日)を鑑賞しました。

こちらのブログでも再三オランダ人ネタは書きましたが、シュテークマンの演出は、「きちんとオランダ人が救済される」ところが気に入っています。

自己犠牲と言うとゼンタのほか、ブリュンヒルデ、エリーザベトなどが浮かびますが、いずれも幕切れの音楽が素晴らしく、そこでカタルシスを味わいたいわけです。
ビミョーな演出で、「えぇっ?」とか思いながら終わって欲しくないので。

他のオペラ作品でも自己犠牲は出てくるけど、自己犠牲と聞いて世代的に思い出すのが、「魔法使いサリー」の雪だるまだなあ。小さい頃泣いた記憶があります。


前にも書いたように、このプロダクション、初演の時はラストに感動したのですが、その後はそうでもなく⋯⋯。
で、今回、「そうでもなかった」ニキティン氏のオランダ人。
ニキティンが私を感動させられるか、という逆リベンジ?鑑賞、の予定でした。が初日、衣装合わせまでしたのに降板、というニュースを見ました。
チケットを買っていた22日はどうなるか、と思いましたが、初日公演に続いて、河野鉄平さんが代役を務められました。 
結果的にニキティン氏は25日公演のみの出演だったそうです。
せっかく来日したのにね。

簡単に感想を書きます。

オランダ人は、歌とか声とかの点で、春祭のターフェルの圧倒的な存在感が忘れ難く、河野さん、「ちょっと違うかな」と思うのですが、でも河野さんの“ファントム”オランダ人は素敵。ラストもしっかり感動出来ました。急遽の登板で大変だったでしょうに。

松位浩さんは風貌も含めダーラントにぴったり。

エリザベート・ストリッドのゼンタはアクティブで、ちょっと狂信的なゼンタを好演。

ジョナサン・ストートンのエリック、長身だし、なかなか素敵でした。声も良かった(最後はちょっとお疲れ気味でしたが)。

伊藤達人さんの舵手、マイスタージンガーのダーフィットを思い出させるチャーミングな徒弟系キャラでした♪

2022年は声だけだった金子美香さんがマリー。今回演技ありでしたが余裕の演唱。

マルク・アルブレヒト指揮の東響も私は満足でした。

そしてなにより合唱に圧倒されました。カーテンコールでもひときわ大きな拍手を浴びていました。


夏の芸文のミヒャエル・テンメ氏の演出も、王道路線ではないかと思います。
二期会の深作健太さんはおそらく王道ではないだろうけれど、後味は悪くはないのではないかと想像しています。

演出も含めそちらの公演も楽しみにしています。



豪華キャスト! 福生市民オペラ「こうもり」

2024-12-29 17:02:02 | オペラ

今年最後のオペラ鑑賞は福生市民会館の「こうもり」(12月28日)。

ポスターを某駅で見掛けて、「えっ! なにこれすごい豪華キャスト!」と釘付けになり、年末の忙しい時期ではありましたが、やりくりして行きました。

以前ブログに書いた二期会「こうもり」の時、アイゼンシュタイン役だった又吉秀樹さんプロデュース(公演監督、台本、フロッシュ役)公演。

面白くないわけがない。

しかもロザリンデの田崎尚美さん、アイゼンシュタインの大沼徹さんをはじめとして、又吉さんが公演の最初に言っていましたが、まさに日本を代表する歌手の方々。

ファルケが大川博さん、フランクが三戸大久さん、オルロフスキーが五歳の谷利春瑠ちゃんと吉田連さん、アルフレードが中島康晴さん、アデーレが肥沼諒子さん、イダが高橋広奈さん、ブリントが高橋淳さん、演出は吉野良祐さん。

オーケストラはなく、河原忠之さんのピアノ伴奏。声楽伴奏と言ったらこの方です! まさに大活躍でした!

オーケストラでないから低料金だったのもありがたい。

また、日本語上演だったので、字幕を付ける必要もない。

合唱は「又吉秀樹のこうもり合唱団」ということで、おそらく地元のアマチュアの方々でしょう(熟女中心)。

 合唱団が第2幕で合唱を披露しましたが、私も合唱で歌ったことのある「怪獣のバラード」! 懐かしかった~。

また青梅の少年少女合唱団(正式名称はわかりません)の歌もあり・・・。

市民オペラならではのみんな楽しめるとってもいいステージでした。

セリフにも地元ネタがちりばめられていました。


ヒロイン・田崎さん、普段役柄的に重めの役が多く、私もいろんな役を観てきましたが、ロザリンデ、とても楽しんでいる感じでした(胸がポロリしちゃわないかドキドキした)。

そしてアイゼンシュタインの大沼さん、普段ワーグナー作品とか、シリアスな役が多い方ですが、これまでも明るいキャラクター、演技派のところが垣間見られていました。水を得た魚のようにイキイキして見えました♪

怪獣のバラードを合唱団にまぎれるように歌っていたのも良かった。 

 

中島さん、通常のアルフレード以上に多くの歌を歌い、まるでリサイタルのようでした♪

三戸さんはオペラ歌手らしい風貌の方ですが、このフランク役もピッタリ! 

アデーレの肥沼さん、小柄で躍りながら歌う姿は、「ブギウギ」のスズ子を思い出させました。歌も演技も「確か」でした♪   

ブリントの高橋さん、このキャスティングも豪華! と思ったら、福生在住なのですね!

イダの高橋さんも、これから活躍の場を広げそうな方。

又吉さんは公演監督、フロッシュ役で盛り上げ、そして又吉さんと同じ「それいけ! クラシック」のメンバー、ファルケの大川さん、オルロフスキーの吉田さんも大活躍!

Youtubeで今回の公演、配信してくれるかしら。

そして「本物の」オルロフスキー、春瑠ちゃんも熱演! お歌も聴きたかったのなあ。


シンプルな装置とプロジェクションマッピングでうまく舞台を表現。吉野さんの演出も王道かつ初心者にもわかりやすく、それぞれのキャラクターを生かしたもので楽しかった。どこまでが演出? と思うところも多々ありましたが。

 

そして以前書いたように、私はオペレッタは日本語上演希望派。

 https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/f4a221ba8a940fcb869b412c6d491153

こちらのタイトルに使った「憂い悩みすべて忘れて・・・」の歌詞を聴いて、「そう、これよ!」と思いました。

福生市民オペラ第一弾ということですが、こういう公演によって、オペラの裾野が広がると思うので、これからも注目しています。

第二弾以降も都合が合えば観に行きたいです。




ちなみに、私は多摩地区の高校出身なので、福生市民会館は高校生の時、合唱祭でステージに立ったこともあり、隣の球場には野球部の応援に行った思い出の地。

うん十年ぶりに行ったけど、いやー懐かしかった。

 


再演希望! 新国立劇場「ウィリアム・テル」

2024-11-28 14:43:48 | オペラ

ドイツ系がオペラ好きだけど、グラウンドオペラも大好き。ロッシーニの音楽も好き。

「ウィリアム・テル」は絶対観たい! と思いました。絶対好きなはず! と思って。

11月20日、初日を鑑賞しました。

実際、思った通り。 好きです。このオペラ。

なんと言うか、聴いていていやなところがない。

同じ台本で別の作曲家が作ったら、全く違う重々しいものになっていたかも、と思うくらい、ストーリーは重いのですが、美しく明るいメロディで聴きやすい。

初めて観るので、演出や演奏についてとやかく言う知識もないし、純粋に初見で楽しめました。

歌手の皆さんも申し分なかったです。

初見とは言え、マティルドのアリア「暗い森」はすごく聴き覚えあったので、いつ聴いたんだっけ、と調べたら、1981年のニューイヤーオペラコンサートでした。

松本美和子さんが歌っていました。オペラを聴き始めたばかりの頃で、あの頃はとにかくテレビ、ラジオで放送されたものを録音してよく聴いていたのです。

同じ頃、古本屋でシラーの戯曲集を買ったのも思い出しました。「ウィリアム・テル」や「ドン・カルロ」「ルイザ・ミラー」「群盗」など、オペラの原作満載だったので。

また、第3幕は明らかに聴き覚えがあったので、何かのハイライトか、オペラアワーか、BSで中継されたか何かで聴いたことあったのでしょうな。

 

とにかく音楽面でも視角面でも不満なく、気持ちよく観終わることが出来ました。

何せ、「影のない女」がちょっと後味が悪く(カーテンコールも含め)、消化不良感があったので。

これはオペラ初心者の方にも勧められます。

 

歌手の皆さん、演出、演奏にも大満足なのですが、その中で、特に印象に残ったことなどを書くと。

空から槍? の装置は、ちょっとトーキョー・リングを思い出しました。

歌手の方々の中では、エドヴィージュの齊藤純子さん、初めて聴きましたが、舞台映えするし、声も良く、印象に残りました。

安井陽子さんが少年に見えたのもすごい(次は夜の女王!)。

あと、序曲の「あの」部分を聴くと、ある年代の人はみんなそうじゃないかと思うけど、やっぱり「ひょうきん族」を思い出すなあ。

 

ちなみに「ウィリアム・テル」を日本初演した藤沢市民オペラですが、私は「リエンツィ」の初演を観ました。

藤沢市民オペラ、なかなかチャレンジングですよね。

確か訳詞上演で、さらに字幕もあったと記憶しています。

音楽がイタリアオペラみたい、と思ったのと、ストーリーが腹立たしいものだった、ということが印象に残っています。

これのおかげで、海外に行かずして、ワーグナーのオペラ系作品、全部生観賞出来ているのが、密かな自慢だったりします。

「妖精」と「恋愛禁制」は、東京オペラプロデュースの公演を観ています。

結構ワーグナーの初期作品も好きなんですよね。

これらを経て「オランダ人」「タンホイザー」と進んで行くんだなあと思うと感慨深い。

 

話を戻すと。

とにかく満足度が高かった今回の公演。

「ウィリアム・テル」、是非また上演して欲しい。

ついでに「リエンツィ」も原語日本初演、いかがでしょうか?

 


東京二期会 「コンヴィチュニーの影のない女」

2024-10-28 09:13:40 | オペラ

 「コンヴィチュニーの影のない女」について簡単に。

 

楽曲切り刻み、3幕カットで物議を醸しています。

初日(10/24)鑑賞。久しぶりにあれだけのブーを聞いた。怒号が飛び交ったのを聞いたは初めてかも。

 

「拍手なんかするな」

「金返せ」

終演後私がすぐに手を叩かなかったのは、一部の人に煽られて、ではなく、もう一場面、どんでん返し的なものがあるのでは?  と待ってしまったから。

拍手するかししないかは個人の自由ですが。

「金返せ」は、ひょっとしたらクラファンで入場料以上のお金を出していた人だったのかも? それなら「金返せ」と言う権利はあるかも、とは思いました。

 

シュトラウスの作品を使った舞台作品、と思えば、有り。原曲を使ってよく作り込まれていて、言いたかったこともわからなくはない。 一つのステージとして見応えがあり、面白かったと言えます。

ただ個人的には、もっとスカっと後味のいいものだったら良かったのに、と思いました。

 

ブーイングを聞くことは過去にもありましたが、記憶に新しいのは、新国立劇場の「フィデリオ」。

が、こちらでも書きましたが、私はカタリーナの「フィデリオ」は好きだった。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/a60a535af9c8cf93121faefc3e7db9de

 

今回のは、好きとは言えないかな。また観たいかって言うと微妙。

別キャストの公演は観たかったのですが、スケジュール的に無理でした。コンヴィチュニー氏のアフタートークも聴きたかったですが。

 

アレホ・ペレス指揮の東響の演奏と歌手の皆さんは素晴らしかった。

特に皇后(お嬢)の富平さん、とにかくきれいだし声も優しい美声で熱演。皇帝・伊藤さんは着実にキャリア積んでますね! 今後も楽しみ。藤井さんの乳母も凄かった。バラクの大沼さんはやっぱりうまい。その妻・板波さんの存在感! 

フルに、普通に聴きたかったという気持ちはあります。このキャストで第3幕聴きたかったなあ、と。後日演奏会形式で公演してくれないかな。

 


ロラン・ペリー演出 東京二期会「コジ・ファン・トゥッテ」

2024-09-06 23:17:01 | 日記

東京二期会「コジ・ファン・トゥッテ」2日目(9月6日)を鑑賞しました。

筋はともかく、やっぱりモーツァルトの音楽は素晴らしい。

耳だけでも充分楽しめますが演技も細かくて目が離せない。

歌手の皆さんのバランスも良く、全体的にレベルが高く楽しめました。

ドラベッラの小泉瑛子さん、チャーミングな等身大の女性という感じで、演技も歌もとても良かった。

フィオルディリージの吉田珠代さん、序盤は他の出演者に押されぎみの印象でしたが、第2幕は貫禄のプリマっぷり。

デスピーナの七澤唯さんは「デイダミーア」の時がらっと印象が違いましたが、今まで見た中で一番パワフルなデスピーナで印象的てした!(メイクのコンセプトが今一つわからなかったけど)

グリエルモは小林啓倫さん。「ドン・カルロ」のロドリーゴを観てから注目していました。やっぱりいい声! 今後いろんな役で聴いてみたい。

演技面で一際光っていたのはフェランドの金山京介さん。タミーノは何度か観ていますが、今回のような現代の扮装でスラッとして格好いいのは、テノールとして貴重です。コミカルな演技も良かった。

そしてそして。ドン・アルフォンゾの黒田博さん。最初の大御所歌手っぷりから、若者を振り回すちょっとブラックな策略家に変わり、とにかく舞台を牽引。何を演じても素敵だわー。

 

演出ですが、新国立劇場のキャンピング・コジも大好きなのだけど、

今回のロラン・ペリーの演出も、ストーリーのめちゃくちゃさをあまり感じさせない設定になっていて、徐々にオペラの世界に引き込ませてくれます。

レコーディングスタジオという設定は、観客も「静かにしなきゃ」という意識が働いていいのかも、と思いました(客席で咳は少なかった。ドスンと何か落ちる音は数回したけど)。
 
この設定なら、最後はこういう風にして欲しかったな、と思うラストシーンがあるのですが、まだ観ていない方々のために書かないでおきます。

演奏はクリスティアン・アルミンク指揮の新日本フィル。

アルミンク氏の指揮の様子がよく見え、合図を出したり、アリアの後、いいよ! というような反応が手先に出ていて、本当にレコーディングスタジオで録音しているコンダクターに見えました。

チェンバロ、ではなくフォルテピアノの山口佳代さんもブラボー、でした。

 

それにしても、今回特に空席が目立ちました。

鑑賞するほうとしては、お手洗いも混まないし、カーテンコール中、前を通って帰る人もいなかったし、快適ではあるけれど、素晴らしい公演だっただけにもったいない。

最近の二期会、2日目の平日をマチネにする意図は何なのでしょう。

夜だったら行けるのに、という人や、花金にふらっとオペラでも行こうか、と思う人もいると思うのだけど。

マチネにするなら思い切り料金を安くしてみるとか。

いずれにしても、質の高いかつ楽しめる公演なので、山形でも岡山でもたくさん入って欲しいです。