あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

二期会「タンホイザー」2024

2024-03-01 13:23:10 | 日記

2021年以来の再演。3年前来日出来なかったアクセル・コーバーの指揮でリベンジ公演とも言えるでしょう。

今回も初日(2/28)、2日目(2/29)と鑑賞

コーバー&読響も文句のつけどころがなく心地よく聴けました。

タンホイザーとして登場のサイモン・オニール。私の理想から言うと声、歌唱ともにど真ん中ではないし、昨年の故ステファン・グールド(故、をつけなくてはいけない悲しさ……)の圧倒感に比べるとやや弱さも感じましたが、満足ですよ。よく来てくれましたね。ブラヴォー! ちょっとかわいさもあるタンホイザーでした。

片寄純也さんも、ちょっぴり声の硬さやムラが気になるところもありますが、今日本で随一のワーグナーを歌えるテノールでしょう。華もあるし。

今回カヴァーは伊藤達人さんだったようで、いつの日か伊藤さんのタンホイザーを聴ける日を楽しみにしています

エリーザベトのお二人も良かったです。初日の渡邊仁美さんは、清らかな乙女感があって。2日目の梶田真未さん、よく通るきれいな声で存在感たっぷり。

ヴェーヌスは林正子さんと土屋優子さん。林さんは「午後の曳航」の黒田房子に続き妖艶な役! おきれいでした。実は一番色っぽかったのはカーテンコール時? 妖艶なんだけど、本当にタンホイザーが好きなんだなと感じさせるヴェーヌスでした。

土屋さんはレオノーレ以来に聴きましたが、よく通る声で見た目もヴェーヌスのイメージに合ってました。土屋さんのほうが母としてタンホイザーを見ているような印象を受けました。

ウォルフラムの大沼徹さん。前回も「カッコ良すぎないウォルフラム」でしたが、今回も。とにかくハインリッヒ(タンホイザー)を引き止めたことを後悔して苦悩している印象。そして大沼さんが演じると、クセあり人物に見えるのは何故……。

2日目は友清崇さん。この方はこれまでクセのある役、悪役が多かったのですが、今回普通のいい人の役。今までも書いて来ましたが、友清さんの声好きなので、堪能出来ました♪

ヘルマンの狩野賢一さんは前回のヘルマン、昨年の「ドン・カルロ」の宗教裁判長もそうてしたが、いい声ですが、やはり若々しい印象。前回のもう一人のヘルマンは長谷川顯さんだったのね(涙)。

そして初役と思われる初日の加藤宏隆さん、「魔弾」カスパールから「お気に入り」に追加されている方。好きな声だし、存在感もあってすごく良かった。今後もたくさん歌って下さい!

その他のメンバーも凹みなし。

特にビテロルフ(近藤圭さん、菅原洋平さん)はどちらも無駄に?かっこ良かった。ヴァルターの高野二郎さん前川健生さんもいい声で。

合唱も聴き応えありました。

演技も初日と2日目ではそれぞれ細かいところが違ったりして、見比べるのも楽しいです。

 

特に初日は演奏、ヴィジュアルも含め完成度高かったと思います。

そして演出、ラストシーンについては第2弾で……。

 

 


フルステージで観たい・東京春祭「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

2023-04-12 22:14:54 | 日記

東京春祭「ニュルンベルクのマイスタージンガー」4/6、観てきました。

個人的にはびわ湖の「マイスタージンガー」の余韻が冷めやらぬうち、という感じで、この作品が好きだなあ、としみじみ思った次第です。


しかし来年の新国立劇場と春祭の「トリスタン」と言い、何故同じ作品の上演が続くのでしょう。


春祭は演奏会形式の公演とは言え、これまでも目でも楽しんで来た私。
各歌い手さんの「演技度」にも注目しています。

演奏会形式なので、譜面台が置かれてます。
歌手は譜面を持って登場(ヴァルター・ダーフィットはタブレットでした)。

ベックメッサーは譜面台すらありませんでした。



ザックスのエギルス・シリンスが、最初から譜面にかじり付き、第1幕は音程も不安定で、歌い込まれてない印象を受けました。自分が歌わないところも一生懸命で譜面を追ってる感じで。
2013年の春祭でもザックス役の人が譜面にかぶり付いていたのをよく覚えてます。「それだけザックスって難役なんだなあ」と思いました。青山さんも黒田さんも大変だったろうなと改めて思ったり。
シリンスは、新国立のホフマン物語から連投ですし、大変だったろう、と思いましたが、もうちょっと譜面から目を話して欲しかった気はします。ですが、歌唱面は第2幕以降はよかった。私が今まで聴いたシリンスの中で一番良かったかも。

ヴァルターのデイヴィッド・バット・フィリップ、良かったです。タブレットを時々観ながらではありましたが、演技もしっかりしていて、見た目も悪くない。魅力的な若者に見えました。最初は歌的にはどうなんだろう、と思いましたが、第3幕の「朝は薔薇色に輝き」なんかは輝かしくて、「彼に栄冠を」と自然に思えました。フォークト様を別格とすると、私の鑑賞史上一番かも。

アドリアン・エレートのベックメッサーは、前回の春祭、新国立の公演と私も観て来ました。それだけ歌っている、十八番と言えるでしょう。暗譜で演技しながらの歌唱。ベックメッサーがそこにいる、という感じでした!
今回のベックメッサーのリュートはアイリッシュハープだったそうで、カーテンコールでエレートが奏者さんに花を渡していました。


エーファは昨年のエルザのヨハンニ・フォン・オオストラム。
黄色い付箋付き(?)の譜面で、観ながらではありましたが、しっかり演技。去年の可憐な感じから少しイメチェンしてましたが、視覚・聴覚共に満足。

アンドレアス・バウアー・カナバスのポーグナーが、声、風貌共に、まさにポーグナー親方、という感じでとても良かった(2016年の新国立劇場ローエングリンのハインリッヒ国王を歌ったあの人だったのね。後で気づきました)。
演技もしており、終幕だけ譜面無しでした。

コートナーのヨーゼフ・ワーグナーも歌も存在感もピッタリ。


ダーフィットのダニエル・ベーレは歌は文句無し。でも演技は薄めでした。若い徒弟には見えず。

マグダレーネのカトリン・ヴンドザムも演技あり、イメージ通りで良かった。
しかしこの二人、歳の差カップルというより普通のカップルに見えました。


演奏会形式とは言え、視覚面でも満足感がありました♪

でも、出来ればこのキャストでフルステージ(扮装、演技あり)を観てみたいなあ。かなり満足度の高い、素晴らしい公演になると思います。シリンスが歌い込んでさえいれば、ですが。

 

字幕は舩木篤也さん。
あのすごい量の歌詞を分かりやすくまとめていました。
けど、こういうドタバタコメディを演奏会でやるのは難しいなあと思いました。筋を知っていなければ「なんだそれ」という歌詞が多い。
でも演奏が素晴らしいので、初めて鑑賞した人も楽しんだことでしょう。

ちなみに「子どものためのワーグナー」も配信で鑑賞しましたが、立派な装置と衣装、しかも豪華キャストでとても良かったです。


指揮はマレク・ヤノフスキ、オケはNHK交響楽団。
ヤノフスキはアップテンポで、個人的にはもっとじっくり聴かせて欲しいと思う部分もあったけど、不満というほどではありません。
何より84歳で立ってこの大作を指揮するって、本当にすごい!

合唱は毎度の東京オペラシンガーズの皆さん。第2幕の最後のシーンで、一人入場の際にドタッと転んで、まあシリアスな場面だったら良くなかったかも知れないけど、ドタバタシーンの前ということもあり、すみません笑っちゃいました。


そして、N響はコンマスがライナー・キュッヘル氏で、演奏にはもちろん何の不満はないのですが。

演奏会で咳はご法度だけど、つい出ちゃうことはあると思います。でも必死に口を押さえるなり、出来るだけ抑えようとするものだけど、意外と無防備に大きな音の出る咳をする人がいて、「コラッ」と思うものだけど。
第2幕の演奏直前に、オケの人が舞台上でそういう咳をしたのでびっくりしました。管楽器以外のオケの方はマスクをしたりしなかったり、でしたが、その人はしていなかった。
しかもその人、第3幕の直前、指揮者が入場し挨拶のため立ち上がる時あくびをしてました。
オケピの中なら見えなかったわけで、演奏会は良くも悪くも奏者がよく見える。それだけにもうちょっと緊張感持って欲しかったな。それが唯一残念でした。


びわ湖ホールプロデュースオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 その2

2023-03-09 17:57:18 | 日記

今回の公演、ステージングは粟國淳さん。

セミステージと言っても、オーケストラがステージにいて、装置がないだけで、普通にお芝居が展開されていました。
まず幕が開いて(幕はないんだけど)、今回「扮装あり」だったのでほっとしました。
昨年もさんざん書きましたが。それならパルジファルもローエングリンもサムソン(これは二期会公演)もそうして欲しかったと思う私。

もうこれだけ、普通にオペラが上演されるようになったので、フルステージで観たかったと思いますが、セミステージで良かったこと、それは、京響のハープ奏者・松村衣里さんが個人購入したというベックメッサーハープが演奏されるところがしっかり観られたところでしょう。

ベックメッサー黒田さんにいざなわれ、松村さんも一緒にカーテンコールに出ていらっしゃいました。
味わいがあるのですが、本当になんというか、ちょっと残念なベックメッサーにぴったりな音色で、今回の公演の肝だったと言えるでしょう! Brava!



演出の話に戻りますが、とてもわかりやすいものでした。
マイスターたちがそれぞれの仕事着で集まって来るのとか、シンプルでわかりやすい。

ただ、一つだけちょっと不満だったのが、第2幕の最後、大騒動の場面、合唱と親方達が舞台後方、オケの後ろで歌っていたけど、徒弟達と親方達は一緒に暴れて欲しかった。じゃないと、単にダーフィットがベックメッサーをやっつけているのをみんなが観ているだけ、という感じになってしまう。

でも不満と言えばその辺だけ。
ラストも王道で、良かったです。


演奏は、沼尻さんと京都市交響楽団。ちょっとだけ気になるところがなくもありませんでしたが、やはりレベルが高いです。
合唱はびわ湖ホール声楽アンサンブル(+客演)の皆さん。人数が少なめ+マスク有りだったこともあってか、「目覚めよ」のところとフィナーレの場面では正直物足りなさも感じました。

私が最初に観た1981年の二期会公演、字幕もない、知識もない、大筋しかわからなかった中で観た初めてのワーグナー作品でしたが、ものすごく感動しました。特に幕切れ、涙が出るくらい感動したのを覚えています。
あの時は合唱の人数も多く、本当に迫力ある大合唱で、ドーン!! と圧倒されたものです。

それに比べるとちょっと物足りなさは感じましたが、十分満足いたしました。

 

個人的なマイナス点。


びわ湖ホールは、サイドの席も、斜めに舞台側に向いていて、新国立劇場のように見にくくない。以前書いたように、フェンスからもかすかにではあるけれどステージも見える。初日(2日)はサイドの席だったのですが、見やすかった。いいホールだなあ、と思ったのですが。

2日目(5日)は1階席後方の席でした。

1階席の客席は、日生劇場等のように座席がずれているわけではありません。きれいに揃って配置されているし、段差もそんなにはありません。つまり、前の席に座高の高い人が来たら悲劇です。

小柄な人が座りますように、と祈りましたが、開演直前、前の席に座ったのが、座高が高く、大きな頭の人。

「指定席に座る時はそういうこともある」と受け入れようと思いましたが、その人がよく動く。

前半は何度も寝落ちしていて、そのまま寝てて! と願ったものの細かく目覚めて動く。そして傾く。

位置的に、大事なところが見えない。私も後ろの人を気にしながらも、見えないので傾かずにいられませんでした。席運的には最悪でした。消しゴムマジックで消したかった・・・。
おまけにその人、終演するなりカーテンコールも観ずに帰りました。下に配布されたパンフ等を置いたまま。本当に腹立たしかったけれど、おかげでカーテンコールだけは邪魔がなく見えました。


気を遣いながら変な姿勢をしたせいか、おかげで翌日、体の変なところが筋肉痛になっていました。
長いオペラ鑑賞歴の中でも最悪の経験でした。

にも関わらず公演に対する印象、感想は変わることはありません。素晴らしかったです。


来年同じ時期に、阪芸術監督指揮の「ばらの騎士」が予定されていて、これも魅力的なキャストなのですが、二期会「タンホイザー」と日程がかぶっており、辛いところ・・・。
もちろん両方行こうと思えば行けますが、いつもこの時期、田舎に行く用事と絡めていて予定を立てていたので、来年どうしようか、と悩んでいます。

ですがいずれにしても、びわ湖ホールにはまた絶対行きます!



会場で売っていた対訳を購入。
対訳は持っているけど、お安かったので買いました。資料的写真も載っていて、かなりお買い得でした♪

改めて読むと、とにかくセリフ量が多い。歌手の皆さんも大変だったでしょう。

しかしこれだけのセリフを書いて音楽をつけたワーグナーって・・・。天才というか変態というか・・・。


びわ湖ホールプロデュースオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 その1

2023-03-07 23:41:06 | 日記

沼尻竜典芸術監督のワーグナー10作品目、びわ湖での最後のオペラ指揮ということで、プログラムにも過去の上演記録が載っています。

3月の私のびわ湖遠征も今年で7年目。

以前描いたように、沼尻さんのワーグナー指揮作品は「トリスタンとイゾルデ」以外観ていましたが、それは同じプロダクションの公演が神奈川でもあったからです。
しかしリングからはびわ湖のみの公演となったので、「ラインの黄金」から遠征を始めたというわけです。


「マイスタージンガー」はもともと好きな作品だし、絶対行こうと決めていたので、発売初日にチケットを取ったのですが、公演日が近づいて改めてキャストを見てあまりの豪華キャストにビックリ。

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配役

ハンス・ザックス
青山貴

ファイト・ポーグナー
妻屋秀和

クンツ・フォーゲルゲザング
村上公太

コンラート・ナハティガル
近藤圭

ジクストゥス・ベックメッサー
黒田博

フリッツ・コートナー
大西宇宙

バルタザール・ツォルン
チャールズ・キム

ウルリヒ・アイスリンガー
チン・ソンウォン

アウグスティン・モーザー
高橋淳

ヘルマン・オルテル
友清崇

ハンス・シュヴァルツ
松森治

ハンス・フォルツ
斉木健詞

ヴァルター・フォン・シュトルツィング
福井敬

ダフィト
清水徹太郎

エファ
森谷真理

マグダレーネ
八木寿子

夜警
平野和

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特に、夜警が平野和さんって! なんて贅沢な!
平野さんは、新国立劇場でレポレッロを演じられたのを観て、日本人離れしたスケール感の演唱に衝撃を受け、それ以来注目していました。
少しの登場でしたが、存在感抜群でした。

マイスターたちもなんて豪華!

公演前の動画で各出演者がそれぞれの役について語っておられましたが、それらが感じられる役作りがかいまみえ楽しかったです。
特にモーザー役・高橋淳さん。演技派、個性派の高橋さん、今回も目が離せなかったです。

ポーグナーの妻屋さん、ほんとにもう、間違いない! 「エーファのお父さん」をやや存在感を消して演じていらっしゃいました。

大西さんのコートナー、思った通りよく通る声で歌われ、茶目っ気もあるコートナーでした。1981年の二期会公演でコートナーを歌われた大島幾雄さんも朗々とした声で印象深いですが、大島さんを思い出しました。初日(2日)は歌の教則のところでおまけ歌唱も。

ヴァルターは福井さん。理想のヴァルターかというと、うーん、となってしまいますが、今日本でこれだけ歌えるテノールはそうはいないでしょう。日本人でなくても、本当に満足できる(=そりゃあエーファが惚れちゃうよねえ、と思える)ヴァルターは、そうはいない。私が観た限り、2013年東京春祭のフォークト様くらいでした。

2021年にローエングリンを歌う予定だったチャールズ・キムさんが今回ツォルン役。ちょっともったいない感じ。ヴァルターのカヴァーだったそうですが、彼のヴァルターも聴いてみたかったです。

エーファの森永さん、やっぱりすごい。夜の女王とはうって変わって、かわいい「乙女な」エーファを好演。世界に誇りたいソプラノです!

マグダレーネの八木さん、私はびわ湖で初めて聴いたのですが、聴くたびステージが上がっている印象ですね。

ダーフィットの清水さん、まさにびわ湖の一番星という感じですが、今回もチャーミングなダーフィットを好演。
ただ、ですね、一昨年の新国立劇場の伊藤達人さんが風貌から何からピッタリはまっていたので、若干印象は薄くなってしまいました。

そしてザックス・青山さん。第1幕、多士済々のマイスターたちが入ってきて目を奪われている時に最後に入って来る姿は、正直影が薄く見えたけと、一声発したら存在感抜群。包容力あふれるザックスの声!
慈愛に満ち、時に意地悪に、時にヤケになる人間的なザックスでした。
登場シーンも多く、大変だったと思いますが、本当にブラボー! でした。

そしてその難役を21年前に歌った黒田さんが今回はベックメッサー!
黒田さんがベックメッサーを演じると知り、「ヴァルターよりザックスがいいじゃん」と思うことはよくありますが、「ヴァルターよりベックメッサーがいいじゃん!」になるんじゃないかと思いました。が、そう思わせないところがさすが。
見た目ではないかっこ悪さ。イタい、残念なおじさんを好演されていました。
ザックスの時はとってもかっこ良かったんですよ! とみんなに知らせたい。
カーテンコールでも、ザックスの後輩、青山さんを「先に行け」というように背中を押したり、主役ではないけれど、黒田さんがステージを牽引している印象でした。

 

休憩中、琵琶湖の向こう側にかすくに見えた虹。ラインの黄金を思い浮かべました。

 


『ニコラ・アライモの』、新国立劇場「ファルスタッフ」

2023-02-17 23:57:29 | 日記

2月15日、新国立劇場の「ファルスタッフ」を鑑賞。

ニコラ・アライモのファルスタッフ、素晴らしかったです。
第一声を聴いて、「おっ、ファルスタッフだ!」と思いました。
イタリア人の声って、やや金属的な感じの人もいるけど、体だけでなく声もふくよかで私好み。
何度も歌っておられるだけあって、「自分のものにしている」感じで、愛嬌もあって、芝居も達者でとても魅力的でした。

他のキャストも良かったし、大きな不満はないけれど、アライモが抜きん出ていた感じ。

若いカップルを歌った東京音大同級生というお二人(村上公太さん、三宅理恵さん)も健闘、メグが脇園彩さんという贅沢さ!

フォード氏のエスピーノ、アリーチェのマンテーニャ、クイックリー夫人のピッツォラートも悪くない。

ただ、「太った人に税金を」という台詞(歌詞)のところは「自分(アリーチェ)とクイックリー姉さんに跳ね返ってますよ」と言いたくなったので、そういう意味ではミスキャストだったのでは……。

 

このプロダクションを観るのは、2004年の初演の時以来。
五度も公演するということは、「タンホイザー」と同様、装置等のコスト面に加え、無難な演出ということで制作しやすいのでしょう。

が、私は言いたい。
ガーター亭でのファルスタッフの座り位置を始め、舞台の左手(下手)で物語が展開することが多く、レフト側席からは見えないシーンが多かった。
新国立劇場の安い席で観る以上、見えないところがあるのは覚悟しなければならないにしても、偏りすぎ。
その辺は考えて欲しいなあ。
(S席の人のためだけにステージを作っているのか? と思ってしまう)

その点アンドレアス・ホモキ演出の「フィガロの結婚」は死角がなくて良かった。

アライモのファルスタッフには大満足で、声だけでも素晴らしかったけど、演技が見えなかったところもあったのが残念でした。

アライモ、とても素晴らしくて、他でも聴いてみたいと思ったけど、ヤーゴやロドリーゴを「観たい」かと言ったら微妙……。
まだ44歳らしいので、他の役のために、もう少しお痩せになったほうが……と思う私がおりました。

 

この公演、子供文化芸術活動支援事業として、お子様たちを招待しているとのこと。私も10代の時に初めて観て、好きな作品になりました。

観に来た少年少女たちが、リピーターになってくれればいいなあ。