あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

『ステファン・グールドの』、新国立劇場「タンホイザー」

2023-02-03 22:34:23 | 日記

1月31日、「タンホイザー」鑑賞しました。

新国立劇場に行くのも久しぶりで、なんと「オランダ人」以来一年ぶりでした。
観たいのはいくつかあったのだけと、都合がつかなくて・・・。

ハンス=ペーター・レーマンの演出のこのプロダクションを観るのは、4回目。前にも書いたのだけど、今一つ心に残らなくて。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/a90f8f9ccc07b9b4e32448233b33af42

装置、衣装、メイク、振付すべきにおいて。

第3幕の前奏部分、幕が降りたままだったり(いろいろ出来そうな場面だけど。オケをじっくり聞かせたいのかな)、2幕の男声陣がショッカーにしか見えなかったり、バレエシーンも、やっぱりもっとエロさが欲しいなあとか、4度目ですが、やっぱり思いました。

でもまあ、批判は浴びない無難な演出、装置とかのコスト的にもいいのでしょう。
でも、そろそろ新しい演出も観たいなあと思ったりします。

 

これまで特に心に残らなかった理由は、今までのタンホイザー役が、何故かいつもパッとしなかったこともあります。
大きな不満はなくても今一つ魅力がなかった。
エリーザベトが命懸けで想うような魅力のある人に見えなかったところがあるのです。

が、グールドのタンホイザーなら「わかる」、と思ったのです。
歌、存在感で圧倒、という感じ。

正直以前から、グールド氏に対し「もうちよっと痩せたらいいのに」と思っていました。
が、身長もあるし、だぽっとしたシャツを着ているのでごまかせる。

前にも描いたように、「タンホイザーあるある」で、「ウォルフラムのほうがいいじゃん!」と思うことが多かった。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/4ba9afff5bfad254220f2eea87327cc0

でも今回の公演を見て、強烈な魅力を持つタンホイザーを見たら、ウォルフラムがつまらなく見えてしまうのがわかったのです。

 

で、そのウォルフラム役のデイヴィッド・スタウト。
最初出てきた時、日本人歌手の面々の中に溶け込んでいて、歌的にも「ちょっと弱い?」と感じたのですが、途中から目が釘付けになりました。

第2幕で、エリーザベトがタンホイザーを庇っている時の悲しげな表情、そして第3幕の聴かせどころでの演唱。
自分を見てもらえない哀しさより、愛する人が不幸になっていくのを見るのが辛い、という感じで。
かっこよすぎないけど素敵なウォルフラムでした。

 

女性陣もエリーザベトのサビーナ・ツヴィラク、ヴェーヌスのエグレ・シドラウスカイテも、満点とはいかないまでも、役のイメージに合っていて良かったです。

 

日本人も妻屋秀和さん、青山貴さんを始め、豪華メンバー。
カヴァーのキャストでも観てみたかったなあ。

指揮はアレホ・ペレス、演奏は東京交響楽団。
正直ものすごく感動した、ということもなかったけど、大きな不満もありません。合唱も迫力あり。

「タンホイザー」は、「ローエングリン」の結婚行進曲を除いて、
私が初めて触れたワーグナーの音楽と言えます。学校の合唱コンクールで第2幕の合唱を歌ったグラスがあったので。

巡礼の合唱も名曲だし、ワーグナー入門編としてぴったりの作品だと思います。
初めて鑑賞する方々にも拒否感を抱かせない、作品の魅力を伝えるのに邪魔をしない演出、演奏だったとも言えると思います。

 


昭和と令和の二期会「天国と地獄」

2023-01-11 23:55:14 | 日記
先日、NHKの「クラシック音楽館」で、東京二期会の11月公演、「天国と地獄」のダイジェストが放送され、15日深夜からの「プレミアムシアター」では全曲放送されるそうです。
 
 
昨年後半は、親が骨折するなどバタバタして、全く余裕がなくオペラもなかなか観に行けませんでした。
気になる公演もいくつかありましたが。
 
そんな中唯一観に行ったのが、実はこの「天国と地獄」でした。ちょうどテレビ放送のキャスト。
どうせなら別の組が観られれば良かったのだけど。
 
 
また昔話になってしまいますが、1981年の二期会公演の「天国と地獄」もテレビで放送されました。
欽ちゃんこと萩本欽一さんとなかにし礼さんの共同演出、衣裳はコシノジュンコさん等々で話題性もありました。
やはりダイジェストだったと記憶しています。
 
シングルキャストで、立川清登さん、島田祐子さん、中村健さん、丹羽勝海さん、斎藤昌子さん、佐藤征一郎さんといった当時のベテラン・精鋭の方々が出演されていました。
 
当時まだ家にビデオデッキがなかったので、演出については何となくしか覚えていませんが、録音して何度も聴いていました。
 
前から書いているようにオペレッタは訳詞上演して欲しいという思う私。
今回は言語がフランス語ということもあってか訳詞上演。
待ってました!
という感じでした。
 
 
が、正直、ちょっと歌詞が聞き取りにくかった。
劇場では歌詞部分に字幕がついたのでわかりましたが。
テレビで聴いても、特に女声陣の歌詞はちょっと聞き取りにくかった。
テレビでは字幕がないので、戸惑いました。
 
1981年の公演の放送の時は、私が歌詞を覚えるくらい、聞き取れていたのです。
 
私の耳が衰えたのかもしれませんが、ひとつには1981年の時の歌詞の記憶が邪魔をしたこともあったかもしれません。その時の歌詞と違うので。
また、なかにし礼さんの訳詞のほうがわかりやすかったのではないかという気がします。
 
また、特に島田祐子さんなどは、オペレッタを得意とされテレビでも活躍されていた方ですから、歌い方がより明瞭だったのかも?
 
 
立川さんと島田さんは私が子供の頃から、つまりオペラを観るようになる前からテレビで観て知っていた方。
オペラを親しみやすくした功労者だと思います。
 
 
ということで、今回の公演、個人的には歌詞にちょっと不満はありましたが、字幕があればその不満も解消されるし、「楽しませよう」という二期会のスピリッツは変わっていないと感じます。
 
 
そして40年前の公演と比べ、たぶん、芸術性としてのレベルは上がっていると思います。
皆さん歌もうまいし、ヴィジュアルもよく、演技も達者。
 
皆さん役のイメージにあったキャストで良かったのだけど、ジュピターの又吉秀樹さんは演技も自然で(オペラオペラしていない、というか)歌もよくて本当にエンターテイナーだなと思います。
 
また、マーキュリーの中島康晴さんがああいうキャラになるとは思わなかったなあ。
 

このプロダクションは、2019年以来の公演でしたが、こういった公演はレパートリー化して欲しいです。
そして訳詞上演ももっと増やして欲しいなあと思います。
 




あらゆる年代への応援歌 「カムカムエヴリバディ」

2022-04-11 14:41:17 | 日記
何にでも「伏線回収」という言葉を使う最近の傾向は、どうかと思うのだけど。
「カムカムエヴリバディ」では、最終回に向けて「あの伏線がどう回収されるのか」ということが話題になった。

ミステリなら伏線回収もいいのだけど、このドラマの場合、「謎は解明されるのか」「宿題は片付けられるのか」「問題は解決されるのか」「わだかまりは解消されるのか」というべきことがちりばめられていた。
それらをひっくるめて、伏線回収と呼んでいるのだろうと解釈することにした。

で、最終週での回収ぶりはすさまじかった!

視聴者の予想通り、というものも多かったが、それ以上の「落着ぶり」だった。

60歳になったヒロイン (独身) の、仕事のパートナーが初恋の相手だったというラスト。
いい感じの雰囲気で終わったが、私はひなたとビリーがこれからどうなるか、という興味より、とにかく、ひなたが「言いたくても言えなくて、泣いて悔しがった言葉を、50年くらい経って言えることができた」ことに感動して、本当に良かったねー、と思ったのだった。

いくつになっても回収出来る。

虚無蔵さんの「日々鍛練」という言葉は本当に教訓になるし、ひなたにしてもるいにしても錠一郎にしても、「いつから始めても遅くない!」ということを教えてくれていたように思う。
ということで、あらゆる年代に対して応援歌となるようなドラマだったと思う。


3人のヒロイン、それぞれのドラマが、時代はもちろん、色合いが違ってそれぞれ楽しめた。
とくにるい編。深津絵里もオダギリジョーもすごく良かったし、ドラマが締まった気がする。
親になってからの二人も良かったし。

同じ藤本有紀さん脚本の「ちりとてちん」では、仕事を捨て、おかあちゃんとして生きることを決めたヒロイン。

ひなたは(おそらく)ずっと独身で、かつての恋人はビジネスパートナー。60になって運命の人と始まる、かも?

これも人生。

本当にいろいろ学びのあるドラマでした。

唯一総ツッコミされているアニー(安子)の激走、あれは安子の脳内走馬灯疾走で、本当は商店街で倒れたところをひなたが見つけた説に賛成。

「観て」楽しむ 東京春祭「ローエングリン」

2022-03-31 22:03:08 | 日記
3月30日、3年ぶりの東京春祭ワーグナーシリーズを観に、上野に行きました。
財政難なので、配信でいいかとも思ったけど、今一番好きと言ってもいい作品だし、ヤノフスキの指揮だし、と来場チケットを買いました。

まず、N響・ヤノフスキが、本当に素晴らしかった!
ソリストも、耳だけならかなり満足。
東京オペラシンガーズもいつもながら安定しており、耳で堪能いたしました。

春祭の公演は、演奏会形式とは言え、これまで目でも楽しんで来ました。
フォークト様のローエングリンとか、ターフェル様のオランダ人とか。
歌手の演技に個人差があり、興味深かったりします。
今回は映像もないし、死角のある席だったので、耳だけで楽しんでもいいのだけど、
「観る」にこだわる私、視覚面に重点を置いた感想を書きたいと思います。


この10年で「ローエングリン」は一番聴いた作品。
普段もよく聴いているし(特にヤノフスキのCD)、生鑑賞回数も、新国立劇場、二期会、びわ湖で計10回くらいで、多分一番多い作品だと思う(タイトルロールは、フォークトか福井さんか小原さんで、3人だけだけど)。

今回のローエングリン(ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー)は、正直「見えなくていい」ローエングリンでした。
歌はいかにもワーグナー歌いっぽい声で、悪くはないけど、フォークト様の、出てきただけで騎士感たっぷり、とは大違い。
出っぱったお腹、ピンクっぽい眼鏡(多分老眼鏡)をかけている。
顔立ちは悪くないのに(カーテンコールで眼鏡無しで見たら、ルネ・コロに似てなくもない)、あのオジサン感。
フォークト様は勿論持って生まれた顔立ちや声もあるけれど、パフォーマーとしてプロ意識があるところをとても評価しています。
やっぱり老眼鏡のローエングリンは駄目でしょ。
代役でなくて元からのキャストなのだし、ほぼ暗譜で歌ってほしかった。

一方早めに変更発表されていたとは言え、当初のキャストではなかったエルザ(ヨハンニ・フォン・オオストラム )は、出てきた時から“姫感たっぷり”。
ヴィジュアル的に、生で観たエルザの中で一番イメージにピッタリかも。しかも譜面をあまり見ず、歌わない時も常に演技。エルザは観る価値ありました。歌も良かった。

エギルス・シリンスのテルラムントは、前回の春祭でも同役を歌っているし、「譜面見なくても大丈夫さ」感が漂ってました。
私の中でシリンスは「優等生の歌手」の印象で、「間違いない」。
だけど、新国立劇場の「オランダ人」、来日出来ていて、シリンスが歌っていたら、あれだけ感動しただろうか? とも考えてしまった。

アンナ・マリア・キウリは去年エボリ公女で観たけれど、オルトルートのほうが合っていると思いました。
ただ、歌わない時はずっと下(譜面?)を見ていて、1幕は寝てるのか緊張しているのか? と見えてしまった。
歌わない時も圧を出しまくっていたラング姐さんとは大違い。まあ直前の代役なので仕方ないか、とは思うけど、歌わない時ももうちょっと演技してほしかった気がします。

ハインリヒ国王のタレク・ナズミ、見た目も歌も満足。
譜面観る率は高かったけど、常に演技はしていたので私の中で高評価。

王の伝令(リヴュー・ホレンダー)は、私の席からは、殆んど全く見えなかった。 歌は、私のイメージより軽い感じの声だけど、いい声でした。

第3幕、一番の聴きどころで舞台の4隅に登場したバンダのみなさん、緊張しただろうな。大きな破綻がなくて良かった。1隅は見えなかったけど。

明日もう1公演あります。配信で観て、死角だったところを補いたいと思っています。


配信と言えば、子どものためのワーグナー、配信で観ました。
「ローエングリン」の聴きどころをうまくまとめていました。
コメディ風でもあったので、芝居の部分と曲の迫力との落差が激しい。
音楽はとにかく素晴らしいし、歌手も一流の方々。
観に来た子供たちがワグネリアンにはならなくても、オペラに親しみを持ってもらえるようになればいいなと思います。

それにしても田崎尚美さん、この3ヶ月でゼンタにクンドリにエルザを歌うって凄すぎます。





今年のR-1グランプリ (&今年度のお笑い賞レース)

2022-03-14 22:38:45 | 日記
今年もびわ湖ホールから宿に帰って観ました。

前半は集中出来ない場合中で観たので帰宅してから録画を観ました。順位には概ね納得。
優勝者を決めるのが、最後は点数でなく、2択で審査員が「どちらか」を選ぶというのは、難しいですよね。
49対51でも、30対70でも後者のほうに票が入るということなのだから。

常に選択制のTHE Wの時も思いましたが、もやっとするものが残る。最後まで得点制にしたほうが良かったのでは?

私の推しのマツモトクラブは、今年も参戦出来たけれど予選落ちでガッカリ。
グランプリ獲れなくても売れている人は大勢いるし(その逆も……?)これからも応援します!
やっぱり最初の年に獲ってもらいたかったな(ストリートミュージシャンネタとお賽銭ネタ)。

吉住は正統派一人コントで、目のつけどころも良くて、好感持てるけど、THE Wの時のネタは越えられなかったかな……。

渡部おにぎりも面白かった。琵琶湖のほとりにいて、トンビをよく見ていたところだったので余計。
でもいつも書いているように、基本的にR1はピン芸人を応援したいので。
「金の国」は、本当に今大注目の若手コンビでどのネタも面白い。おにぎりくんのキャラがいいし。KOCもそのうち獲るんじゃないかな。

優勝したお見送り芸人しんいちは、ディスりネタなんだけど、歌で「好き」「応援するよ」と肯定するところはいいと思います。
でも聴いているうちに「ただただディスってるだけじゃん」となって、ちょっと抵抗感も出て来てしまう。特に固有名詞や、名前は言わなくてもはっきり特定される人が出てくると。
もちろんその毒こそ持ち味なんだろうけど、個人的にはちょっとマイナス。
もっと「ほんわかクスッ」のものを増やして、最後に毒、くらいのほうが良い気がするなあ。
特に二ネタあったから余計。一ネタだけならポジティブに受け入れられたように思う。
或いは決勝で別タイプのネタを見てみたかった。

で、2年連続2位のZAZY。
人間性とかは置いておいて、フラットに見ていて、一番笑ったのはZAZYだった。
フリップ芸の進化版。絵とリズムを使う他にない世界。
結果発表後からその後の言動を見ても、よほど悔しかったんでしょうね。

決勝も得点制だったらどうだったのか興味ある。

今回初審査員のバカリズムの辛口採点も私は指示します。


ついでに今年度のお笑い賞レースを振り返ってみます。

キングオブコントの空気階段は文句なしだったな。
第2回大会の東京03に次ぐ文句なしの優勝ではないだろうか。

M-1の錦鯉。インディアンスも良かったけど、異論はありません。

そしてTHE Wのオダウエタ。
昨年の大会は過去一レベルが高かったのではないだろうか。
優勝は天才ピアニストかAマッソのどちらかだろうと思っていたので、結果を見て「えっ」と思ったうちの私も一人だった。

大きなお金が動いて運命が変わる大きな賞レース。やっぱり審査員が誰かに入れて多数決で決まる形より、得点制のほうが、もやっとするものは残らないような気がするなあ。



琵琶湖上空のトンビ