あおこのぶろぐ

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タンホイザーは救済されたのか 二期会「タンホイザー」2024その2

2024-03-01 17:45:03 | 日記

 

2021年の上演から3年で再演。

コロナ禍でコーバー氏が来日出来なかった、演出面もパーフェクトではなかったから、リベンジ上演ではあると思います。

それとこれは想像ですが、キース・ウォーナー氏との契約上の関係もあるのでは? 

このプロダクションは◯年間は使っていい、的な(逆に◯年以上経ったら使えない、とか)。

トーキョーリングも割と短いスパンで再演されたけど、それ以降は使えなかったみたいだし。

ということはもうこのプロダクションを日本で観ることは出来ないかも??

と思っていたら、全世界でもう観られない、と発表されていました!

確かに演出にも旬とかあるし、ウォーナー氏のこだわりなのかも。

 

トーキョーリングの「ワルキューレ」だけでも、また観たいなあと思うのだけど。

 

トーキョーリングもそうでしたが、「タンホイザー」もですが、やはり、ウォーナーの演出は「作品をわかりやすく表現している」と思います。

前にも書きましたが、光の使い方も好きでした。

 

ベタだけど「タンホイザー」ってラストシーンで結構泣ける作品だと思うのです。

以前観たびわ湖(私は神奈川県民ホールで観た)ミヒャエル・ハンペの演出は超王道のラストでしたが、ジーンとしました。

そしてこのウォーナー演出でも一番印象に残っているのがラストシーン。

ネタバレになりますが、前回の上演の時に書いたのがこちら。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/84419cae0f5b493bbde0a115c0538b32

 

エリーザベト(天の使い)とタンホイザーは手を握って終わるのか、つなぎそうでつながないで終わるのか。

今回は、初日(2/28)はがっしりと手を握り2日目は届かずに終わりました。

そして今回改めてこの演出を観て、途中手を差しのべて握る、というシーンが何回か出て来ることに気づきました。

ラストシーンを知っているから余計に意味深に見えたのですが、前回こんなに手を握るシーンってあったかなあ? 

手を握るだけでなく、結構ボディタッチが多い。

記憶になかっただけかもしれませんが、前回はまだコロナ禍真っ最中で、ソーシャルディスタンスのため、前回はあまり接触しないようにしていたのかもしれないです。

 

で、問題のラストシーン。

今回初日、完成型を観た気がしました。

音楽の終わる最後の瞬間にガシッと握り暗転!

ゾクッとしました。

言ってみれば、「東急ジルベスターコンサート」で、午前0時ちょうどに演奏が終わるあの感じ。

これがウォーナー氏の意図する最高の状態だったのでは?

 

それで言うと、前回公演の初日は、届かずに終わった感じで、2日目はわずかに早く握れた、という感じだったような。

今回の2日目ははるかに届かなかった。

 

今回のプログラムの作品解説で稲田隆之さんが最後に書いています。

「二人の手が繋がるか繋がらないかで結末が変わる」、と。

つまりオニールタンホイザーは救済され、片寄タンホイザーは救済されなかった、ということ?

 

残り2日の「結末」が気になります。

 

 

今回も2日目の公演前にヴェーヌスの髪、ではなく、ナポリタンを食べました。

 


二期会「タンホイザー」2024

2024-03-01 13:23:10 | 日記

2021年以来の再演。3年前来日出来なかったアクセル・コーバーの指揮でリベンジ公演とも言えるでしょう。

今回も初日(2/28)、2日目(2/29)と鑑賞

コーバー&読響も文句のつけどころがなく心地よく聴けました。

タンホイザーとして登場のサイモン・オニール。私の理想から言うと声、歌唱ともにど真ん中ではないし、昨年の故ステファン・グールド(故、をつけなくてはいけない悲しさ……)の圧倒感に比べるとやや弱さも感じましたが、満足ですよ。よく来てくれましたね。ブラヴォー! ちょっとかわいさもあるタンホイザーでした。

片寄純也さんも、ちょっぴり声の硬さやムラが気になるところもありますが、今日本で随一のワーグナーを歌えるテノールでしょう。華もあるし。

今回カヴァーは伊藤達人さんだったようで、いつの日か伊藤さんのタンホイザーを聴ける日を楽しみにしています

エリーザベトのお二人も良かったです。初日の渡邊仁美さんは、清らかな乙女感があって。2日目の梶田真未さん、よく通るきれいな声で存在感たっぷり。

ヴェーヌスは林正子さんと土屋優子さん。林さんは「午後の曳航」の黒田房子に続き妖艶な役! おきれいでした。実は一番色っぽかったのはカーテンコール時? 妖艶なんだけど、本当にタンホイザーが好きなんだなと感じさせるヴェーヌスでした。

土屋さんはレオノーレ以来に聴きましたが、よく通る声で見た目もヴェーヌスのイメージに合ってました。土屋さんのほうが母としてタンホイザーを見ているような印象を受けました。

ウォルフラムの大沼徹さん。前回も「カッコ良すぎないウォルフラム」でしたが、今回も。とにかくハインリッヒ(タンホイザー)を引き止めたことを後悔して苦悩している印象。そして大沼さんが演じると、クセあり人物に見えるのは何故……。

2日目は友清崇さん。この方はこれまでクセのある役、悪役が多かったのですが、今回普通のいい人の役。今までも書いて来ましたが、友清さんの声好きなので、堪能出来ました♪

ヘルマンの狩野賢一さんは前回のヘルマン、昨年の「ドン・カルロ」の宗教裁判長もそうてしたが、いい声ですが、やはり若々しい印象。前回のもう一人のヘルマンは長谷川顯さんだったのね(涙)。

そして初役と思われる初日の加藤宏隆さん、「魔弾」カスパールから「お気に入り」に追加されている方。好きな声だし、存在感もあってすごく良かった。今後もたくさん歌って下さい!

その他のメンバーも凹みなし。

特にビテロルフ(近藤圭さん、菅原洋平さん)はどちらも無駄に?かっこ良かった。ヴァルターの高野二郎さん前川健生さんもいい声で。

合唱も聴き応えありました。

演技も初日と2日目ではそれぞれ細かいところが違ったりして、見比べるのも楽しいです。

 

特に初日は演奏、ヴィジュアルも含め完成度高かったと思います。

そして演出、ラストシーンについては第2弾で……。