あおこのぶろぐ

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オペラを取り戻した日 深作健太演出 二期会「フィデリオ」①

2020-09-06 21:13:39 | 日記
私にとっても生オペラは、2月の新国立劇場「セヴィリアの理髪師」以来。
新国立劇場でのオペラ公演自体、「セヴィリア…」以来とのこと。

飛沫と密が感染につながるという新型コロナウイルス。
私も予定していたいくつかの公演が中止になりました。
正直なところ1年くらいオペラ上演は無理なんじゃないかと思っていましたが、様々な制限はありましたが、無事開催されました!

先月の藤原の「カルメン」は、オーケストラが舞台上に配置されていたそうですが、今回の公演は本来のオーケストラピットの位置に、客席との敷居ナシでした。つまりオーケストラもよく見えました。

1~3列目まで無人。席は一つ置き。
普段は隣の人が肘掛けからはみ出して来たり、音や臭いが気になったり、なんていうこともありますが、そういうストレスがないのはいいな、と思ったりして。


9月3日4日と行き、両キャスト観ました。出演者の方々についての感想。

囚人役の森田有生さんと岸本大さんは、最初から黙役で出演されていました。
密を避ける為出演者を減らしたということでしょう。また合唱団の方々を使えなかったからでしょう。大活躍でした。

最初のヤッキーノとマルツェリーネの二重唱は大好きなのだけど、初日は硬さが感じられ、声が溶け合わない感じがしました。
ヤッキーノの松原友さんは、この公演がデビューとのこと、だから緊張されていたのか?
マルツェリーネの冨平安希子さんは、徐々に声が出て来て本領発揮という感じでした。
2日目の愛もも胡さん、菅野敦さんペアのほうが最初から声、演技共に良かったです。風貌も役にはまっていたし。

ロッコの妻屋秀和さんは、いつもながら、高レベル、安心安定、ハズレなし!
山下浩司さんも健闘。いいおっちゃんという雰囲気を出していました。

ピツァロの大沼徹さん、いい声過ぎて、ヨカナーンなどはピッタリだけど、ピツァロにはもっと凄みが欲しかったかな。
2日目の友清崇さんのほうが、声、風貌共に私のピツァロのイメージに近く、良かったです。もっといろいろな役で聴いてみたいです。

ドン・フェルナンドの黒田博さん、件の新国立劇場の公演でもこの役を歌い、ブラックな?感じを醸し出していましたが、今回は普通の「大臣」。メイクで安倍総理に寄せていたように感じたのは私だけ?
小森輝彦さんも貫禄という感じでしたが、大臣のキャラも各々違っていた感じで面白かった。

フロレスタンの福井敬さん! こちらも間違いなし! 安定の歌唱!
2日目の小原啓楼さんも素晴らしかった! ローエングリンの時は、リリックなところが逆に苦しげに聞こえたのですが、強い声で歌いきるフロレスタンのほうが、合っているように思いました。

レオノーレの土屋優子さん、小柄(福井さんに合わせたキャスティング?)だけどダイナマイトバストなので、男装するとずんぐり見えて、「イル・デーヴにいそう」と思っちゃいました(ごめんなさい)。普通のイタリアオペラの女性役を見てみたいです。
木下美穂子さんもさすがの演唱です! 男装も決まっていた。第2幕、墓堀りのシーンで帽子が脱げてしまうアクシデント(多分)がありましたが、動揺も感じさせず。歌いきりました。「大丈夫大丈夫! 暗いからロッコにも見えてないよ!」と、心の中でレオノーレに声援を送ってました(笑)。

指揮は、当初予定されていたダン・エッティンガー氏が来日出来ず、大植英次さんに。オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。
一度生で聴いてみたいと思っていましたが機会がなく、今回楽しみにしていました!
テンポはややゆったり目。オケピの囲いがないので、指揮ぶりも楽しめました。
その指揮振りとお顔立ちから、勝手に大柄な方をイメージしていたので、カーテンコールで出ていらした時、衝撃を受けましたが……。

合唱は二期会、藤原、新国立劇場の合唱団が担当。
密を避けて、ラストまで姿を表さず。
最後に広い新国立劇場大劇場の舞台をフルに使い、ソーシャルディスタンスを保ち、マスクをつけて登場。
レオノーレが「鎖を解く」ところでマスクを外したのには感銘を受けました。

ラストは客席に灯りをつけ、歌い終わると紗幕が上がり、ステージと客席が一つになりました。
ブラボーを浴びることが出来ない代わりに、歌手の方々も客の熱を目で味わっていたという感じでした。
ステージ・客席一緒になって、フロレスタンならぬオペラを取り戻した喜びを分かち合ったのでした。




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