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二期会創立70周年記念公演 「パルジファル」その1 視覚編

2022-07-20 07:33:53 | オペラ
初日、2日目、千穐楽と観に行きました。それぞれ違う位置の席で。
前にも書いたのですが、ワーグナー大好きだけど「パルジファル」は優先順位は高くない作品でした。
基本的に元気な曲、全音階の曲が好きということもあり、FM放送を録音したテープやCDもいくつか持っているけれど、繰り返し聴くことがありませんでした。
上演回数も多くなく、BS等で放送された回数も多くなくないため、鑑賞回数自体も多くありません。

過去に私が生で観たのは2005年の日生劇場(東京シティフィルのオーケストラルオペラだったのか! とパンフの『上演史』を読んで改めて思った)、2012年の二期会、2014年の新国立劇場、今年のびわ湖だけで、完全な舞台公演は2回だけ。
びわ湖で2日間観賞してから、この作品に徐々にはまっていき、その後二つDVDで観てみました。そのうち、レヴァイン指揮、シェンク演出のメトの公演はかなりオーソドックスなものでした。

この作品に今一つ馴染めなかった理由。
「パルジファル」は舞台神聖祝典劇で、音楽も内容も宗教色が強い作品です。
正直、キリスト教に関する知識もなく、無宗教の私は、字幕を読みながら鑑賞しても「そう言われてもピンと来ない」と思うところも多く、別世界の話として観るしかない。リングなどの他の楽劇は別世界の話だけどストーリー性があって引き込まれますが。

今回の宮本亞門氏の演出は、台本を読み込んで「わかりやすく」、と考えられた演出ではないかと思いました。

「魔笛」ではプロジェクションマッピングを使い「舞台感」は薄かったけど、今回は、回り舞台、宙乗り、映像を駆使し、とにかく舞台で出来るいろいろなことを詰め込んだという感じでした。
出演者もですが、大道具係、小道具係、映像担当すべて大変だっただろうな、と。
実際に動かしているスタッフ、裏方さんは大忙しだったでしょう。
(初日のカーテンコールには宮本亞門氏と外国スタッフの皆さんも登場)

ワーグナー作品にありがちな長台詞(歌)の部分、間奏部分も飽きさず見せていたという印象です。

台本にはないサイドストーリーが前奏曲から展開するところ、猿が出てくるところなど、「魔笛」と重なる部分もあります。

夫に自殺された母と、母の女の部分を見てしまった少年の反発、苦悩、成長。 それをパルジファルと母・ヘルツェライデにリンクさせることによって馴染みのない世界が近くなったというか……。
ラストは、想像出来たけど、感動しました(なんと言っても音楽がねー、感動させる音楽だし)。

今回「パルジファル」を初めて観た人は戸惑った人も多かったようですが、 私レベルの鑑賞歴(初めてでないけど聴き込んでもいない)の人間にはヒットしたのかも知れません。

わかりやすい、ということはつまり情報量が多いので、「これはなくてもいいんじゃない?」というところも正直ありました。
例えば、昇天&天使の場面。宙乗りでない見せ方のほうが感動出来たのでは……。

随所に出てくる映像。 地球(宇宙?)に、核戦争を想起させるもの、最後はビッグバン的なもの…… 意味のある意図的なもの(世界の滅びと救済、再生?)なのだろうと思いますが、 そうなるとあまりにも世界が壮大になりすぎてしまって。
まあ、イメージ映像くらいの気持ちで観てもいいのでしょうが。

第2幕はトーキョーリングを彷彿ところが随所にあり、面白かったです。
鏡を使った場面では席によってはヴァイグレ氏だけでなく、プロンプターさんも見えた。

影を効果的に使ったり、装置の使い方も結構好きでした。 ティトゥレルの扱いも、私は納得。

演出に対する感想はそんな感じでしょうか。


並んだところは観ていないけど、初日の少年、福長里恩くんと2日目の近田聖くん(二人とも“くん”でいいんだよね?)、たぶん近田くんのほうがかなり背が高い。クンドリは田崎さんが大柄なのに対し橋爪さんは小柄。橋爪さんと近田くんはそんなに変わらなかった。 パルジファルとの兼ね合いで振り分けられたのでしょう。

観ていて、福長くんは子役時代の濱田龍臣くんを、また近田くんは子役時代の加藤清史郎くんを思い起こしました。
外国語のオペラ作品なんて、キッカケなども難しかったでしょうし、難しい役を演じた二人、本当にブラボー!ですね。 (福長くんは初日、時間の関係かカーテンコールに出られず残念でした)

また、母親役の白木原しのぶさん、複数の役柄で重要な役を演じた重松直樹さんをはじめ黙役の皆さんにもブラボーを言いたいです。

そして、第3幕のパルジファルの姿を観て。
私の記憶が確かならば、ですが、 マリインスキーオペラの来日公演の「リング」で、ジークフリート役の人が筋肉スーツを着ていた気がする。 新国立のジークムントもだったかな?
いやあ、タンクトップ姿になるなら、筋肉スーツもありかなあと思ってしまった。着けても失笑が起こらないくらいのナチュラルなやつ。

字幕は今回、広瀬大介さんと亞門さん監修とのことで、わかりやすくしてるな、と思いましたが、部分的にかえってわかりづらいところもあり……。字数が限られているから大変だと思うんですよ、特にワーグナー作品は。

いろいろと書きましたが、総合的に私はとても楽しみました!

でも10年前のグートの演出もまた見たくなったなあ。



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