初めての雫井作品。★★★★☆
大学生の香恵は、ある日、クローゼットの中に、自分の物ではないノートを見つけた。「前に住んでいた人の忘れ物だろう。いつか取りにくるかもしれない」と思っていた香恵だが、次第にノートが気になり始め、ついにノートを開いてみることに。
「伊吹’s note」の中は、万年筆の赤紫系のインクで書かれた文字が綴られていた。
このノートの持ち主・伊吹は、小学校の先生で、4年2組の担任だったらしい。香恵は、伊吹と自分に似たものを感じ、どんどんノートの世界に引き込まれていく。
そして、香恵の日常も、友人の留学、友人の彼からの告白、気になる人との出会い、など変化していく。
「伊吹’s note」を閉じるとき、香恵は、何を見つけているのだろう~
~ストーリーは、予想される展開だったけど、とてもおもしろくて、一気に読んでしまいました。
伊吹先生が、とても素敵で、香恵が引き込まれたきもちに同調します。
香恵が働く文具店の描写、万年筆に関する薀蓄も読んでいて、楽しかったです。
ミステリー作家・雫井脩介ファンには、物足りない面もあるかもしれません。
雫井初心者の私には、心に残る作品でした。
あとがきも良くて、涙がぽろっ。そうだったんだ、とじ~ん。
温かいきもちで、本を閉じたのでした。
追伸:この作品は、『文庫読み放題』ほか携帯読書サイトで配信されたものに、加筆
・訂正した作品なんだそうです。