アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

超弦理論の有効性⑻

2023-04-20 10:52:10 | 理論物理学 素粒子


 昨今の超弦理論の研究から、フェルミオンは点粒子ではなく十次元空間を振動する超弦粒子である事が分かって来ました。この十次元空間の意味付けは、超弦理論からの要請であり、標準理論では説明できない宇宙の深淵部になります。

 👆図はフェルミオンの位置づけを簡単に示しています。注意するべきことは、陽子や中性子もフェルミオンに位置付けられている点です。電子やニュートリノは単体ですが、陽子や中性子は複合粒子だからです。

 しかしこれは、あくまでも標準モデルによる解釈であり、超弦理論に依る解釈では有りません。
超弦理論からは標準モデルを導き出すことは出来ませんが、宇宙の十次元構造を解明する事には役立つのです。

   では、超弦理論による解釈は如何為るのでしょうか?

 先ず注目するべきは、ニュートリノです。中間子の崩壊から放射されたミューニュートリノを標的に当てた場合には弱い相互作用によってミュー粒子は生成されるが、電子が生成されることはありません。この実験により当時は、明確にニュートリノは個別に存在するものとして認識され、三世代のニュートリノが別々に存在していると考えられていました。しかし、近年の実験から分かってきたことですが、ニュートリノの個性はニュートリノ振動によって薄れてしまいました。即ち、ニュートリノは別々に存在するのではなく、混合状態として混じり合っていることが分かってきたのです。

 実は、陽子も同様に混じり合っています。標準モデルによれば、三つの色電荷を持ったクォークが混じり合った存在として陽子が存在していると考えられています。

   では、電子は如何でしょうか?

 電子の場合も同様に混じり合っていることが予想できます。この混合は、電子、ミューオン、タウオン混合ですが、極めて薄い混合状態であるか、実体は同じものであるのに別々のものとして完全に分離している状態だと考えられます。

 電子は陽子やニュートリノと異なり、混合状態が弱すぎるために複合粒子としての認識が薄くなっていますが、陽子と電子とニュートリノは同じように複合粒子であると考える事も可能であり、また、単体としての粒子の側面も持っていることになるのです。これは、ある側面を見れば複合粒子であり、他の側面を見れば単体粒子のように見える事を意味しています。

 実際、強い相互作用と電磁相互作用を統合しようとする大統一理論では、陽子も崩壊することが予言され信じられていました。カミオカンデの当初の目的は、この陽子崩壊の検出でしたが完全に諦められてしまいました。陽子崩壊は陽子が複合粒子であれば必ずおこる筈ですが、標準モデルでは説明する事は困難な状況になったと考えざるをえません。これは、陽子が単体である事の証明なのですが、それを受け入れる事は出来ないのです。それは、陽子の二面性であると考えられます。陽子は標準モデルでは複合粒子のように見えますが、超弦理論に依れば単体粒子なのです。二面性は、点粒子の立場で考えるか、超弦粒子の立場で考察するかで異なって見えます。超弦理論で見える陽子の姿は、電子やニュートリノと同じような単体粒子なのです。
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