「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

町田の断熱耐震改修工事 屋根工事の様子

2020-08-24 10:38:37 | お知らせ


町田の断熱耐震改修工事の現場では耐震改修工事が進み、屋根工事も行われていました。



現場の外気温は日陰で33℃、湿度68%でした。
絶対湿度では実に22g/kgDAと空気中の水分量が物凄いことになっています。



一方2階の室温は33℃、湿度63%でした。
締め切った2階の室温が外気温よりも低いという、断熱の効果を示す現象が続いています。
湿度は外よりも低く絶対湿度換算では18.2g/kgDAとなっていました。
特に除湿はしていないので湿度計の誤差かもしれません。




屋根ではガルバリウム鋼板を施工していました。
屋根葺き材の一番熱い場所では77.5℃となっていて、触ったら火傷をしてしまうような温度になっていました。
この時点では、施工途中に雨漏りしないように屋根通気は止めている状態でした。



この時、2階の室内で屋根の室内側表面温度は32.5℃。
45℃程度の温度差がありました。



その後、屋根屋さんが屋根通気を通した状態がこちらです。
午後2時くらいで南側屋根の表面温度は62℃程度になっています。
屋根通気の効果で多少屋根の表面温度が下がったようです。



さらにその後、屋根通気のための部材、リッヂベンツを置いた状態です。
屋根表面温度が52.9℃とさらに下がっています。



屋根通気部分の写真です。
日の当たるリッヂベンツ上面で52.9℃。
空気が抜けてくるハチの巣状の部分で57.9℃でした。
屋根通気の部分を通った熱い空気が、リッヂベンツから抜けてきているように見えます。


屋根を支える垂木の施工状況です。
屋根の下から垂木の間を通って空気が抜けていくようになっています。




外壁も解体、耐震、合板貼り、気密シート張りが順調に進んでいます。

今回、東京都の町田市で行っている断熱耐震改修工事は、北海道から断熱と気密、屋根通気という技術を学び、温暖地でも快適で耐久性の高い改修工事を実現しようと取り組んでいるものです。
今までの経験上でも、グラスウールで30センチ相当の分厚い屋根断熱をすることで、屋根からの熱を遮り、夏を涼しく過ごせると感じてきました。
今回の現場でサーモカメラを用いることで、北海道という寒い地方で室内の熱を逃がさないために発展した技術が、暑さ対策にも有効だと数字の上でも確認することができました。


町田の断熱耐震改修工事 屋根断熱の作業を始めました

2020-07-27 21:03:30 | お知らせ


東京の町田市の断熱耐震改修工事の現場で、屋根断熱の作業を始めました。

今回の工事の目的は築50年の住宅にあと30年住めるようにするための改修です。
断熱性能と耐震性能を向上させ、長期間にわたって安心して住めるようにします。

断熱改修は北海道で行われているようにきちんと行うことで、室内で過ごしやすくなり、同時に建物自体の耐久性も向上させることができます。

断熱改修の際の性能確保と耐久性向上のポイントは連続です。
断熱材と、防湿気密シート、防水層をきちんと連続させることがきちんとした断熱改修につながります。

通常、新築の時には防湿気密シートを柱の室内側の面で連続させますが、今回は改修です。2階床、間仕切壁、電線などがある中でどうやって気密と断熱を連続させるかというのが設計の時の悩みでした。電気配線、耐震補強部材、構造部材が入り組んでいる中でそれに室内側で防湿気密を連続させるのはかなり難しいと感じていました。

その悩みを解消してくれたのは北海道の知恵でした。
北国にふさわしい温熱環境要件を備えた住宅等の普及をはかるため、北海道が独自に創設した資格制度のBIS(Building Insulation Specialistの略語)のテキスト「北の住まいの熱環境計画」に、外装材を撤去して柱などの軸組の外側で気密補強を行う方法が書かれています。

柱などの軸組の外側で防湿気密をして、その外側に断熱材を設置する外張り断熱改修を行うことで、既存住宅でも防湿気密シートと断熱材を連続させることが可能になります。屋根は既存屋根を剥がして、支えの板材の外側に防湿気密シートを設置してその上に断熱材を設置するという手順になります。

シンプルな方法ですが、元ある屋根を剥がしてから防湿気密シート、断熱材、新しい屋根と作っていくのも簡単ではありません。屋根は雨水が建物に入らないようにする傘のようなものなので、それを剥がすということは、雨に対して無防備な状態をつくることになります。その際に雨で建物を濡らさないような配慮が必要です。

改修工事の最中に雨で建物を濡らさないようにテクトハウジングのS棟梁が方針を考えてくれました。その方針とは、雨に対して無防備な部分を最小限に抑えながら進めていく。具体的にはまずは2階の屋根、次に1階の屋根をというふうに屋根の断熱工事を先に済ませて、新しい屋根まで葺いてしまいます。新しい屋根にある程度守られる状態をつくってから、外壁の断熱工事を行うというものです。



7月24日の連休二日目、まずは2階屋根の解体の作業です。
屋根葺き材を下ろし、軒の出っ張っている部分をカットします。この家の2階の屋根は鉄骨トラスで支えられていたのですが、その軒先もカットします。



その後耐震補強のための、合板を屋根の下地面に張ります。12mmの構造用合板を2枚張りして、継ぎ目には釘を密に打ちます。定規をつくり75mm間隔に綺麗に釘打ちしてくれました。


この日はこれで作業完了。雨養生のため、透湿防水シートのタイベックを貼りました。
雨養生用のブルーシートも用意しましたが、ブルーシートの掛け払いの間に防湿気密シートを貼るタイミングを逃さないよう、タイベック捨て貼りをして養生としました。多少もったいないですが、次の工程では晴れ間をついてこの上から間髪を入れず防湿気密シートを貼ることが出来ました。


連休明けの今日、捨て貼りのタイベックの上から厚手の防湿気密シートを貼り、継ぎ目はテープ止めしました。
ツーバイ材の断熱材設置用の下地を設置して、断熱材充填に備えます。

断熱材の設置は梅雨明け後にすることにして、一旦雨養生のブルーシートをかけて外部の作業は中断です。
明日以降、室内の作業に入っていきます。



室内は連休中に暖房設備屋さんのOさんが入り北海道式のシンプルな床下暖房配管を施工してくれました。
また、トイレや洗面、浴室などの水回りの配管の設置も完了です。

あと30年安心して住むための断熱耐震改修工事。
テクトハウジングのS棟梁は、天候や様々な具合を見ながら、その都度臨機応変に工程を組みなおして着実に進めてくれています。

町田の家の断熱耐震改修工事

2020-06-29 18:51:45 | お知らせ


今回、断熱改修工事が始まった現場は、東京都町田市の私鉄沿線に開発された分譲住宅地にあります。

この計画は、築50年の住宅にあと30年は安心して住みたいというお客さんの要望から始まりました。
あと30年経つと、2050年頃です。2050年までお客さんが安心して住むためには、本格的な断熱改修を行う必要があると考えました。

しかし、どうすれば新築以上の性能を持つ断熱改修ができるのか、実現の道筋がなかなか立てられませんでした。そんな中、今回施工を担当していただいているテクトハウジングさんのS棟梁と一緒に、断熱改修を含む性能向上リフォームが多く行われている北海道に視察に行こうという話になりました。

北海道の視察では現地の建築家、山本亜耕さんに実際に断熱改修の現場を見せていただいたり、様々なノウハウを教えていただいたことが推進力となり、今回の着工につながりました。他にもテクトハウジングさんと協働で、断熱リフォームのワークショップを開催したりして、今回の現場に向けて着実に準備を進めてきました。



いざ着工ということで、現場を確認し打合せをしてきました。まずは柱建てのバルコニーやテラスを撤去し、基礎まわりの地面を掘り始めます。基礎に防蟻EPS(シロアリ対策としてホウ酸をしみ込ませた発泡スチロールの断熱材)を張り、基礎断熱とするためです。追加のシロアリ対策として、防蟻EPS断熱材の上端にガルバリウム鋼板を曲げて作った蟻返しを設けます。



蟻返しは板金屋さんに加工、設置してもらいますが、その形状について板金屋さんと現場打ち合わせ。
「この形状にするためには、~~しようと考えている」と板金屋さん、
「それだと大変で精度も出にくいので、こうしたらどうでしょうか?、でも~~なってしまうのは何とかしたい」と高本
「そしたら~~したらどうですか?」
などなどS棟梁を交え3者で、最終的に欲しいものと、それをどう実現するかについて打合せ。
最終的に既存の基礎の精度を吸収しながら、施工もうまくいき、欲しい機能も達成できる納め方に着地することができました。

改修工事では、どれだけ事前に想定して図面を描いても、工場生産のものを現場で組み立てるというわけにはいきません。現場の状況に合わせながら、最大限機能を発揮するためには、現場で作業する職人さんとのキャッチボールが欠かせないのです。素晴らしく力量のある職人さんと、その方々を束ねるS棟梁に助けてもらいながら、お客様が安心して暮らせるために、この断熱改修工事を進めていきたいと思います。

在宅勤務の日々がひとまず完了しました

2020-06-01 18:37:08 | お知らせ


コロナによる緊急事態宣言がひとまず解除されました。我が家でも、4月中旬から子供たちの学童と保育所への登所、登園を自粛し、子供と一緒の生活を過ごしてきましたが一旦完了し、今日から子供たちは学童と保育所へ通いだしました。

PCを自宅に持ち帰り、オンラインミーティング用のwebカメラもそろえて在宅作業ができる準備はしましたが、子供と一緒の生活だとなかなか作業はできず、主夫的な生活をしていました。設計中、工事着工前のお客様には作業進捗がゆっくりになることを快くご理解いただいたので、作業と子育ての板挟みにならなかったのは大変ありがたかったです。


電車の線路が見える橋から

日課は、毎日朝9時過ぎからの散歩、帰宅後は子供の勉強を見ながら、お昼ご飯の支度、午後は子供の勉強、おやつの準備、庭で一緒に遊ぶ、夕食の支度などをしているとあっという間に一日が過ぎました。


自宅そばの緑地

幸いだったのは自宅が、多摩ニュータウンに位置していて、周辺に公園や緑地がたくさんあり、それらの場所にほとんど車道を渡らずに行くことができることでした。また、小さいながらも庭があったので、板切れを置いてアスレチック的なものをつくったり、板切れとブルーシートを組み合わせて簡易プールにしたりと、楽しみながら過ごせました。妻がポケット図鑑を購入し、雑草の花の名前を多少覚えることもできました。


ブルーシートと木材を組み合わせた簡易プール

近年、職住近接の進行や都市再生などで、都心に人がたくさん住むようになり、自宅周辺や事務所周辺のような郊外のニュータウンの住宅地は人口減少が進んでいて、時代遅れのような扱いになっていました。しかし、このような状況下になり、自宅周辺の緑地や公園のすばらしさに気づかされ、数十年前に当時ニュータウンを構想し設計した技術者達の熱い志を感じました。

私も住宅の設計という仕事を通して、住まい手がその場所の良さを見出して、その恩恵を享受できるような生活を作っていきたいと思いました。また、そのためには、住宅の中と庭や町並みなどの外部との関係づくりがとても大事だと考えています。今設計中の富山の住宅ではお客様との対話でそのことを強く意識するようになりましたし、それを今後の住まいづくりでも拡張していきたいです。