三日月ノート

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【(不)自由競争】翻訳レート

2018年08月25日 11時08分06秒 | 翻訳
このところSNSなどで翻訳者のレートについての発言を見て、私も色々と思うところがありました。

フリーランスの翻訳者が収入を得るには、翻訳会社(エージェント)のトライアルに合格して登録するか、直取引のいずれかだと思いますが、いきなり直取引というのは少ないのかな?という気がします。

(クラウドワークスなどの形態もありますが、私も一度登録して中身を見てみましたが、あまりのレートの低さにあっという間にアカウントを削除してしまいました。)

ちなみに直取引の場合はレートの交渉はクライアントと直接行うので、翻訳者以外の業界と同様、自分の納得いく金額で仕事ができるので問題はないと思いますが、問題はエージェントを通す場合です。

「自分の納得した単価でエージェントと取引していますよ」というかたはそれは素晴らしい事ですので不満もさしてなかろうかと思いますし、人によっては何かの講座で紹介してもらって、最初から妥当なレートでお仕事開始するかたもいらっしゃるでしょうが恐らく一握りでしょう。

低いレートで(なんとなく)不満を持ちつつ、別のエージェントのトライアルを受けて単価アップを狙っている人のほうが遙かに多いのではないでしょうか。

ちなみにある程度の年数を経験し、トライアルを受け続けていれば、同業者の情報などから業界の状況もわかってきますし交渉ごとにも慣れてくるので徐々に単価アップは可能だと思います。
そして現状、それしか方法はないとも思います(先の「紹介」は別として)。

ただ、エージェントの中には「いかにいい翻訳者を低単価で使えるか」(←ちょっと雑な言い方ですが)を考えてるところもあり、こういうところは新規参入してきた翻訳者を一定期間使って、翻訳者側が他のエージェントに乗り換えるまで安く使おうと思っているんだろうなと感じるところもありました。

いわば、まさに「使い捨て」・・・であります。

そもそもエージェントと翻訳者の関係は、表向きは「パートナー」ですが、実際はそんな対等なものではないと思っています。
エージェントも企業。利潤をあげてナンボですから。

ちなみに私が最初に登録したエージェントは(前にもSNSでチラっとぼやいた事がありますが)、トライアルの結果連絡のときに「本来なら不合格ですが、弊社の最低単価でよければ登録できますがどうですか?」と来ました。
大手のMSK社ですけど。

そのときかなり迷いました。
業界の中からは「あまり低い単価で受けるな」という声も聞こえてきていましたし。
それ以上にフリーランスとしての実務経験がなかった私の市場価値がどの程度かがわからなかったので。

結局、実務を兼ねて勉強させてもらえると考えて登録したのですが、医療機器の和訳で税込み6.4円/word、振込手数料は翻訳者持ち。

これで1年くらい取引しましたが、最初からQCを経てフィードバックで返ってきた成果物にはそれほど直しも入らず、他社のトライアルでは高評価をいただいたこともあり、この会社とは取引することはなくなりました。

新規参入の翻訳者は少なくないので、こうやって次から次へと使い捨て方式でもエージェントはやっていけるのでしょうね。

こんな会社ばかりではないと思いたいですが、どうしても立場上、

「ソースクライアント>エージェント>翻訳者」

なわけで、エージェントの営業力のなさや、ソースクライアントの「低価格志向」、急な納期設定などのしわ寄せは、「受ける・受けない」の選択肢しかない翻訳者に来てしまう。翻訳業界の構造的な問題かもしれません。

翻訳業界も当然自由競争ですが、それは選択肢を多く持つ強者にとっての<自由>競争。
立場の弱い側にしてみると制限付き自由ですね。

ちなみに、レートに関してはJTFなどからレートに関するアンケート結果が公表されたり、「目安」が記載されているサイトがあるので、ある程度の相場はわかるようですね。

産業翻訳のレートに関しては、分野(金融、IT、医薬、特許・・・)によっても違いますし、翻訳会社で設定している料金の相場も違っていたりしますが、まずはこれを下回っていたら安すぎなんだろうなという判断にはなるかなと思います。

業界団体として何か改善案が出るとは思えないので、やはり個人で経験を積みながら、したたかに交渉して行くしかないのかもしれませんね。

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