ネコが段ボール箱が好きなのは全国共通ですね。
写真(カメラ)嫌いのリンは、なかなか目線をくれません。
このところ薬事申請の仕事は整形インプラントが多いのですが、開発過程の資料を取り寄せると、検証試験の中でSolidWorksやRhinocerousといった3D CADを使用しているケースが増えてきました。
具体的には、インプラントだと、使用されている原材料の組成と、製品の形状などの情報をインプットすることでワーストケース部分の強度を算出したり、複雑な形状の製品の機械的安全性試験(3点曲げ試験等)を実施するときに、その前の段階で荷重ポイントを設定するのに使用したりというものが多いようです。
FDAなどでは実際に3D CADのデータを一部使用した試験成績書も受け入れられているようですが、日本ではまだまだです。
ちょっと抽象的でわかりにくいので例を挙げると、骨に埋植して使うスクリューなどは、申請時にねじれ特性試験(スクリューを試験ジグに固定して一定速度でスクリューを回転させ破断させる)を行うのですが、ある製造元が実機(最終製品)を使用せずに、原材料(チタン合金)、図面から得た形状データなどを3D CADにインプットして計算で出してきたことがありました。
PMDAはそれに対し、実際に試験を行って得たデータと齟齬がないか証明してくださいと指摘してきました。
まぁ想定内というか、基本的には実試験データが必要という姿勢を崩さない審査官たちなので、そう言ってくるのは当然なのですが、それを申請前に製造元に伝えても「米国やカナダ、欧州では普通に使用されているのだから、受け入れられないわけがない」と信じてもらえないため、申請後に来る「トンデモ照会」に腰を抜かすことになります。
今回も当然、製造元からの回答は「計算式で算出しているのだからバリデーションデータと言ってもないよ。おまいらエクセルのバリデーションデータ出すのか?」みたいな事を言われちゃいました。
が、そこで引き下がっては審査は進まないため、どうにか算出したデータが信頼できるものだという事を示すデータはないか?と聞いたところ、エンジニアがノートに手書きで「原材料から導き出した強度」「形状から考えられる強度」などなどを一つ一つ書き出し、手計算した結果を送って来ました……(違った意味で感動しました)
審査官はとりあえずこれで納得したものの(これで納得するんかい!!とは思いましたが)、対照品目のデータに対しては製造工程で強度が変わっている可能性があるとかなんとかで首を縦に振らず、最終的には試験を実施して提出したということがありました。
なんと言いますか、昔に比べるとだいぶマシになってはいますが(生物学的安全性試験などはISO規格であればほぼ問題なしなので)、依然ガラパゴス審査は続いていると言えます。
そして、あまりに細かいデータ(得られるはずもない競合他社の情報まで)を要求するPMDAに対し、プッチン切れたエンジニアがメールに書いてきたお言葉は…
>>>>>>>Maybe they also want the size of the underwear of the CEO of (company A) too?<<<<<<<<<<<
しまいには、
>>>>>>>At this point we have replied to every issue they had but it now looks to me that this is just intellectual masturbation.<<<<<<<<<<<<
いやはや、よくわかります…申し訳ございません、という感じです。トホホ。