私に洗礼を授けてくれた司祭(故人)はエクソシストの資格をもっていると言っていましたが、日本では珍しいようです。
さてこの本、著者(カトリック信者ではない)が丁寧に取材し、さまざまな文献や書籍で検証しながらまとめています。
そういった意味で、ドキュメンタリーとしては非常に優れている内容だと思いました。
どうしても「宗教」を題材にするときには、信者ではない場合、何かしら越えられない、理解できないものが立ちはだかるものですが、エクソシストという一歩間違えばオカルト的な内容でありながら、事実に即して客観的かつ科学的にアプローチしようとしているため、誰が読んでも受け入れやすいものになっている気がします。
実際にカトリックでも「悪魔による仕業」とするにはいくつもの検討事項があり、精神疾患や過去に受けた心の傷、既に忘れているような出来事などが引き金になっており、悪魔ではないと結論づけられることがほとんどで、著者も最終的には「心の癒やし」が大きな目的であると結論づけているあたりは流石だなと思います。
また、エクソシストを行う神父とシャーマンとを対比させている部分も、確かに似通った部分はあるのだろうなと納得させられます。
現在、同じようなドキュメンタリー映画、『悪魔祓い、聖なる儀式』が公開されているようなので、観に行ってこようかと思っています。
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『エクソシストとの対話』
講談社 島村菜津 著
Kindle版