オイルショックの頃の東京の夜景
これは半世紀近い昔の出来事だが、記憶に鮮明に残っている。
総勢30名ほどのシステム開発のメンバーが、ある地方の都市で仕事をしていた。
システム運用開始の目途がついたので、事務所近くのホテルで祝宴を開いた。
お開きのあと、何人かずつに分かれて2次会へ。
仕事が残ってるから・・・事務所へ戻る数名と一緒に私もいったん事務所に戻った。
「警察署から電話です。責任者に代わって欲しいそうです」
私が代わって出て名乗ると、相手は当直主任の警官と名乗った。
以下はその当直主任から聞いた話の要約である。
~今夜、管轄下の風俗店何か所かの一斉捜査をした。
或る店に、お宅の会社の人がいて、風俗嬢とコトの最中だった。
踏み込んだ警察官は二人、現場写真を3枚撮った報告を彼らから受けた。
その写真は私も見ていない。すでに本署のほうに届けたそうだ。
報告書によると撮った写真は次の3枚。
①二人が重なり合う写真
②二人が離れてカメラに視線を向けた写真、これは男が腕で顔を隠していた
③そのままそのまま腕を上げて、と言って男の顔を撮った写真~
やけに細かい報告書を書くんだな、と記憶している。
「で、今はどうしてます? その彼」
「隣の部屋で待たしてます そろそろ帰ってもらおうかと考えていますが・・・」
「ぜひお願いします。彼も十分反省したでしょうから。彼は電話に出られます?」
彼に確認したら、スミマセン、その通りです、という答え。
そのあと、床に土下座して「ヒラにご容赦を」と懇願したが、警官に無視されたという。
「わかった。主任の人に代わって」「それで私はどうすればいいでしょうか?」
「ご足労ですが明日本署の方に行ってもらえますか? 風俗課です。
そちらでも念のため事情聴取しておきたいらしいので。彼はこれから帰します」
「よろしくお願いします。明日午前中に本署へ伺いますので」
朝、事務所へ顔を出すと彼が来て、スミマセンと頭を下げた。
「もう2度とやるんじゃないぞ。溜まってきたら一人でやれ」
一緒に来るという彼を、話がややこしくなるから、と断わって一人で出かけた。
警察署の受付には話が通っていて、すぐに風俗課の場所を教えてくれた。
よくTVドラマで見るような、威張った刑事が机に両脚を投げ出して・・・。
というシーンを想像していたが、応対は思ったより紳士的だった。
「ま、この写真を見てくださいよ」と出されたのが上記①~③の写真。
これだけ証拠写真があるなら、弁明は無理だ・・・と思って陳謝の一手。
「お互い、若い者には苦労させられますなあ、アハハハハ!
うちの警官二人とも初めてのガサ入れで、きっと張り切ったんでしょう。
ただ、これだけの写真があると、放っておくわけにもいかないんでね・・・。
まあ、大事にはならないよう署内は私が何とかしますから、ご安心を」
「では何卒よろしくご配慮のほどをお願いします」
一件落着したが、仲間うちでは二つの言葉がしばらく流行語になった。
「そのまま・そのまま!」と「ヒラにご容赦を!」である。
以上、報告終わり。
「今日のビデオ」
オイルショックの頃の東京夜景。NHKロゴ入り音無し映像で1973年撮影。
風俗ショックの頃だ。風俗店はソープかトルコか、どう呼んだかは記憶にない。
[Rosey]