~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

手術をするならいつが良いか (私見)

2009-10-26 00:37:25 | 側弯症手術について
私august03は医師ではありませんので、これはあくまでも私的見解です。そして私の
私的見解とは、つねに「側湾整体」の弊害を打開するための思念が背景にあることも
最初にもうしあげておきたいと思います。

このブログStep by stepでは、「思春期特発性側弯症」と「先天性側弯症」そして
「大人の側弯症」をとりあげています。それぞれの原因は異なるものであり、また
患者さんひとりひとりの状態が異なりますので、マニュアル的に決まっているわけ
ではありません。ただ、思春期特発性側弯症は、ひとつのメルクマーク(目安)は存在
し、世界中の脊椎、整形外科の先生がたはそのメルクマークをベースとして手術時期
を判断しておられます。.......詳細は、ブログ内に何度もでてきていますので、
ここでは割愛させていただきます。

今回、ここで述べさせていただくのは「思春期特発性側弯症」の手術のタイミング
についてです。なぜなら、思春期特発性側弯症がもっとも側湾整体にとって、
「おいしいビジネス」であり、そしてもっとも多くの患者さんがたがその側湾整体
の犠牲となっているからです。

側湾整体はいいます 「こんな若い時期に手術なんてすべきじゃないです」「この
まま整体を続けていけば効果はありますから」「娘さんを傷物にするつもりですか」
手術はそれがどのようなものであれ、怖いものです。怖いという気持ちのところに
あれこれと脅しをかけられたら、誰しもが尻込みしてしまいます。
さらに間の悪いことには、多くの場合、思春期特発性側弯症は自覚症状、とくに
痛みという感覚を自覚することがありません。これが手術にふみきれない大きな
要因になっているでしょう。もしこれが逆にものすごく痛みを感じているものなら
患者さんはためらうことなく、早く手術をしてこの痛みから開放して欲しい、と
要望するでしょう。

肉体的痛みを伴うことなく進行する病気であることが、この側弯症という病気が
側湾整体のような民間業者の餌食になる大きな背景です。

もし、主治医が手術を勧めてきたならば、......すでに手術適応としてのカーブの
大きさを超えており、今後さらに進む可能性が大きいと医学的に判断できる。
という条件でのことを前提として話をしているのですが.......その場合、もし
お子さんが、すでに成長期も終えているか、あるいはそれに近く、しかも平均的な
身長に到達しているのでしたら、私は、若いうちに手術をすることのほうが幾つか
の点で、患者さんにとってのメリットのほうが大きいと考えています。

 1. 身体の柔軟性が保たれており、手術による効果が得られやすい
 2. 若いほうが手術への耐力が大きい (体力がある、という意味ではなく
   こどものほうが回復力と適応力が大きい、という意味です)
 3. 骨癒合が得やすい
   これは手術本来の目的を成功させる、という意味で、非常に重要です
 4. 学生の時期のほうが手術を遂行するうえでの長い休みがとりやすい
 5. 学生の時期のほうが、「支えてくれる友人、仲間」が大勢いる
 6. 家族の側にも精神的、そして肉体的にも「体力」が十分にあるので
   支える側にとっても負担は軽くて済む

このような面から、若い時期に手術してしまうほうが、リスクと比較した場合
メリットがほうが多い。と私は考えます。

もちろん、手術にはつねにリスクが伴います。その点についてはカテゴリー「手術
による合併症」も参照していただきたいのですが、ここでも何点か申し上げなけれ
ばなりません。
ブログ内でも何度となく述べてきていることですが、手術のメリットだけを述べる
のも片手落ちであり、また同時に手術の怖さだけを述べるのも、無責任なことです
手術にはつねにリスクがあるのは当然です。それを隠すわけにはいきません。
でもことさらにそれを側湾整体のように強調して、患者さんを恐怖に陥れるのも
卑怯なやり口です。
ですから、手術を語る場合は、その両方を説明して、十分な理解が得られるように
しなければなりません。

 手術のリスクの第一は、「手術にはつねに不確実性が伴う」ということだと思います。何が起こるかわからない世界、それが手術というものであり、だからこそ
先生がたは不測の事態が発生しないように万全の体制を整えるわけです。
矛盾した言い方になりますが、手術にはつねにリスクがあり、そのリスクを回避し
低減するための努力がつねにはかられていることから、そのリスク(不測の事態)
というものの発生率はきわめてゼロに近い。しかし、それでもゼロではなく、そして
ゼロにはならないもの。それが「手術の不確実性」というものです。
「合併症」も似たような範疇のことですが、合併症には頻度は高いけど発生しても
重篤ではないものも含まれますので、私がここでいう「不確実性」とはやはり意味
あいのことなるものです。

もうひとつ忘れていけないことは、手術をするということは、その場で「完了」を
意味しない。ということです。手術によりインプラントを体内に埋め込む、という
ことは、ふだんは気にもかけずに生活していけるのですが、でも実は一生涯に
わたりこの「インプラント」と共に生きているのだ、ということを忘れるわけには
いきません。10年後、20年後もずっと体内に存在しているわけですから、それが
どういう状態であるのか、ということもしっかりと理解する必要がある事柄なのです。
それは例えば、女性にしてみれば、妊娠への不安、出産への心配という側面にも
繋がることになります。

すでにこれらについても多くの記事を書いてきたと思うのですが、皆さんにとって
の関心時であるこれらの状況をさらに説明することが皆さんにとってメリットが
あると思いますので、今後さらにこれらのことを掘り下げて情報をお送りしたいと
考えています。

(継続します)


☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?




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