(添付画像は 引用したYoutubeからのものです)
My Life After Scoliosis Surgery (with a video. me, walking)
http://www.youtube.com/watch?v=5KXTUF8hzcc
ユーチューブにも多くの側弯症患者さんのの手術に関する投稿ビデオを見ることが
できます。引用はそのなか一点、アジアのかたの手術がありましたのでご紹介させて
いただきました。この女性はフィリピンの方で、シンガポールで側弯症手術を受けた
ときのものを撮影されています。写真に交えて、病院内を歩行している動画が、生の
姿をよく現していると思い、引用させていただきました。ダブルカーブ(53度/37度)
年齢が不明なのですが、おそらく20歳を超えてからの手術なのではないかと想像
されました。
手術後二日目から歩行訓練を開始して、退院から普段の生活に戻ってからの様子が
とても生き生きとした感じが伝わってきて、この女性が手術をしてよかった ! と
いう思いを見てとることができます。
詳細がこのビデオのなかには記載がありませんので、これは想像のいきをでません
が、この女性の側弯症の経緯は、装具療法をしても効果がなかったか、あるいは
フィリピンという気候から想像しますと装具もすることなく次第にカーブが進行し
体幹の不均衡さに対して、もうこれ以上は耐えられない、という思いにかられて
手術をしてもらえる病院を探し、シンガポールでも有名な病院に至った。という
ことではないかと思います。
カーブが40度を超えたら要注意信号であり、50度を超えたら基本的には手術を勧める
というのが側弯症の基本的治療方針として、先生がたから説明が行われるはずです。
もちろん手術は、万能ではありません。手術に伴う合併症についても説明が行われます。
確率は非常に少ないですが、予期せぬ出来事が起こりうるリスクは、側弯症に限らず
「手術」においては、いかなる種類の手術であってもありえます。
リスクについて文献から引用しますと、
The most concerning risk with scoliosis surgery is paraplegia. It is very
rare (about 1 in 1,000 to 1 in 10,000 chance) but is a devastating
complication. To help manage this risk, the spinal cord can be monitored
during surgery through one of two methods:
「側弯症手術でもっとも発生して欲しくないリスクが脊椎神経の麻痺です。
これは発生頻度自体は、1/1000(0.1%)から1/10000(0.01%)と非常に少ないのですが
起こると非常にやっかいな合併症といえます。手術による麻痺発生を予防する為に
ふたつの方法がとられています」
Somatosensory Evoked Potentials (SSEP's). This test involves small
electrical impulses that are given in the legs and then read in the brain.
If there is the development of slowing of the signals during surgery this
can indicate compromise to the spinal cord or its blood supply. Another
way to monitor the cord is with Motor Evoked Potentials (MEP's), and often
both are used throughout a surgery.
Stagnara wake up test. This test involves waking the patient during
the surgery and asking them to move their feet. The patient does not feel
any pain during this procedure and will not remember it afterwards.
(術中モニタリングと呼ばれる方法なのですが、これについての説明はまた後日
別の機会にさせていただきます)
麻痺以外の合併症としては、血液ロスがあげられます。脊柱固定手術は数時間から
10時間以上にもわたる大手術のため、術中に消耗する血液が大量なものになります
そこでこれに対する対策として、手術前からの自家血を採血して保存しておく。
ということがおこなわれています。
それ以外としては、次のような合併症があげられます
*インスツルメンテーションの破損や骨からの脱転
* 感染 (1% 以下)
* 髄液漏出 (非常にまれ)
* 骨癒合不全(移植骨が接合しない) (1~5%)
* 手術後もカーブ進行 (矯正不良、矯正不足)
このような合併症が現実にありえます。
手術が全てを解決してくれる万能の神様ではありません。名医と呼ばれる医師も
神様ではありません。専門医として活躍しておられる先生がたもマンガのブラック
ジャックやゴッドハンドではありません。「手術」とはつねに不確実な世界と背中
合わせになっているものです。医療に携わる先生がたやコメディカルの皆さんは
その不確実なものが起こりえないように、手術を確実なものにコントロールする為
に全力を尽くされているのは、私がここで説明するまでもなく、皆さんがよく
ご理解されていることだと思います。
この世界に100%確実なものなどありえないのは、よくおわかりのことと思います。
医療だけは別だろう、なぜならそれが「医療」というものだろう。と、
もし、そのように考えている方がおられましたら、それはその方の勘違いです、と
申し上げなければなりません。
医療や医師を批判/非難する人たちの理屈は、つねに「医師は完璧」「医療は100%
確実」「手術は100%安全のはず」という「何何であるべき」という「べき論」の
うえに立脚した非難をくり返します。1%でも、あるいは0.1%でも不都合があるならば
それは「医療」とは呼べない。あるいは「こんな危険な医療」「こんな危険な手術」
が行われた、という話題が展開されることになるわけです。
私august03は、これまでも同様のことを述べてきました。手術は避けられるならば
避けたほうがベターです。避けられるためにできる努力は惜しまずにさられるべき
だと思います。
同時に、もはや手術が最良の治療方法だという結論がだされたならば、できるだけ
早く手術をすることが、「手術」による成果をより良いものにする。ということ
についても述べてきました。もちろん、それには、上記で掲げたリスクを十分に
検討し、ある意味では「覚悟」を決めて手術にのぞむ。ということになると思います。
ネットを散見していますと、いろいろな発言を見つけることができます。
これはどう考えても、また例の側湾整体が患者さんのフリをして、読んでいる人
を恐怖に落とすための発言だというのがいまだに現れます。
......発見した当時(中学3年)は64度だったのですが、どんどん悪化してしまい、
手術する頃(現在18歳)には102度になっていました。......
ありえないですね。何がありえないかといえば、
中学3年で64度まで進行していることにそれまで気付くことがなかった?
64度といえば、外見からもはっきりと目立つ角度にも関わらずですか?
その時点で手術をしなかった?
102度になる以前に手術をしなかった ?
102度という角度は、すでに脊柱バランスがくずれて骨盤の位置はずれています
さらには呼吸機能障害も発生しうる角度です
この発言者が何を考えているのかわかりませんが、医療の不確実性を述べるにして
も、
2000年代において、このような例示が本当にあったとするならば、ひとつには
診てもらうべき医師の選択ミスであり、そして同時に、自分の身体を他人の判断に
預けるという....それは同時に病気について勉強不足ということの裏返しでもあり
親御さんとこの子自身の.....なんとも表現のしようがない隔靴掻痒的判断ミスの
積み重ね。ということになるのでしょう。
手術を施行するのは医師ですが、しかし、手術それ事態は誰の為のものでもなく
手術を受ける「あなた」自身の為であるはず。
先にご紹介したビデオの女性も、そしてユーチューブに投稿した手術患者さんがた
は、自分の判断とその結果をポジティブに受け入れている。
しない後悔を引きずるよりも、した事の結果を踏まえて明日に立ち向かう。
そういう気持ちの発露がビデオの投稿という形になっているのだと思います。
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ブログ内の関連記事
側わんカーブ100度とは..... 実例紹介
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/0775401be7253e1894b9a3d9466a1a0a
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/0775401be7253e1894b9a3d9466a1a0a
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
My Life After Scoliosis Surgery (with a video. me, walking)
http://www.youtube.com/watch?v=5KXTUF8hzcc
ユーチューブにも多くの側弯症患者さんのの手術に関する投稿ビデオを見ることが
できます。引用はそのなか一点、アジアのかたの手術がありましたのでご紹介させて
いただきました。この女性はフィリピンの方で、シンガポールで側弯症手術を受けた
ときのものを撮影されています。写真に交えて、病院内を歩行している動画が、生の
姿をよく現していると思い、引用させていただきました。ダブルカーブ(53度/37度)
年齢が不明なのですが、おそらく20歳を超えてからの手術なのではないかと想像
されました。
手術後二日目から歩行訓練を開始して、退院から普段の生活に戻ってからの様子が
とても生き生きとした感じが伝わってきて、この女性が手術をしてよかった ! と
いう思いを見てとることができます。
詳細がこのビデオのなかには記載がありませんので、これは想像のいきをでません
が、この女性の側弯症の経緯は、装具療法をしても効果がなかったか、あるいは
フィリピンという気候から想像しますと装具もすることなく次第にカーブが進行し
体幹の不均衡さに対して、もうこれ以上は耐えられない、という思いにかられて
手術をしてもらえる病院を探し、シンガポールでも有名な病院に至った。という
ことではないかと思います。
カーブが40度を超えたら要注意信号であり、50度を超えたら基本的には手術を勧める
というのが側弯症の基本的治療方針として、先生がたから説明が行われるはずです。
もちろん手術は、万能ではありません。手術に伴う合併症についても説明が行われます。
確率は非常に少ないですが、予期せぬ出来事が起こりうるリスクは、側弯症に限らず
「手術」においては、いかなる種類の手術であってもありえます。
リスクについて文献から引用しますと、
The most concerning risk with scoliosis surgery is paraplegia. It is very
rare (about 1 in 1,000 to 1 in 10,000 chance) but is a devastating
complication. To help manage this risk, the spinal cord can be monitored
during surgery through one of two methods:
「側弯症手術でもっとも発生して欲しくないリスクが脊椎神経の麻痺です。
これは発生頻度自体は、1/1000(0.1%)から1/10000(0.01%)と非常に少ないのですが
起こると非常にやっかいな合併症といえます。手術による麻痺発生を予防する為に
ふたつの方法がとられています」
Somatosensory Evoked Potentials (SSEP's). This test involves small
electrical impulses that are given in the legs and then read in the brain.
If there is the development of slowing of the signals during surgery this
can indicate compromise to the spinal cord or its blood supply. Another
way to monitor the cord is with Motor Evoked Potentials (MEP's), and often
both are used throughout a surgery.
Stagnara wake up test. This test involves waking the patient during
the surgery and asking them to move their feet. The patient does not feel
any pain during this procedure and will not remember it afterwards.
(術中モニタリングと呼ばれる方法なのですが、これについての説明はまた後日
別の機会にさせていただきます)
麻痺以外の合併症としては、血液ロスがあげられます。脊柱固定手術は数時間から
10時間以上にもわたる大手術のため、術中に消耗する血液が大量なものになります
そこでこれに対する対策として、手術前からの自家血を採血して保存しておく。
ということがおこなわれています。
それ以外としては、次のような合併症があげられます
*インスツルメンテーションの破損や骨からの脱転
* 感染 (1% 以下)
* 髄液漏出 (非常にまれ)
* 骨癒合不全(移植骨が接合しない) (1~5%)
* 手術後もカーブ進行 (矯正不良、矯正不足)
このような合併症が現実にありえます。
手術が全てを解決してくれる万能の神様ではありません。名医と呼ばれる医師も
神様ではありません。専門医として活躍しておられる先生がたもマンガのブラック
ジャックやゴッドハンドではありません。「手術」とはつねに不確実な世界と背中
合わせになっているものです。医療に携わる先生がたやコメディカルの皆さんは
その不確実なものが起こりえないように、手術を確実なものにコントロールする為
に全力を尽くされているのは、私がここで説明するまでもなく、皆さんがよく
ご理解されていることだと思います。
この世界に100%確実なものなどありえないのは、よくおわかりのことと思います。
医療だけは別だろう、なぜならそれが「医療」というものだろう。と、
もし、そのように考えている方がおられましたら、それはその方の勘違いです、と
申し上げなければなりません。
医療や医師を批判/非難する人たちの理屈は、つねに「医師は完璧」「医療は100%
確実」「手術は100%安全のはず」という「何何であるべき」という「べき論」の
うえに立脚した非難をくり返します。1%でも、あるいは0.1%でも不都合があるならば
それは「医療」とは呼べない。あるいは「こんな危険な医療」「こんな危険な手術」
が行われた、という話題が展開されることになるわけです。
私august03は、これまでも同様のことを述べてきました。手術は避けられるならば
避けたほうがベターです。避けられるためにできる努力は惜しまずにさられるべき
だと思います。
同時に、もはや手術が最良の治療方法だという結論がだされたならば、できるだけ
早く手術をすることが、「手術」による成果をより良いものにする。ということ
についても述べてきました。もちろん、それには、上記で掲げたリスクを十分に
検討し、ある意味では「覚悟」を決めて手術にのぞむ。ということになると思います。
ネットを散見していますと、いろいろな発言を見つけることができます。
これはどう考えても、また例の側湾整体が患者さんのフリをして、読んでいる人
を恐怖に落とすための発言だというのがいまだに現れます。
......発見した当時(中学3年)は64度だったのですが、どんどん悪化してしまい、
手術する頃(現在18歳)には102度になっていました。......
ありえないですね。何がありえないかといえば、
中学3年で64度まで進行していることにそれまで気付くことがなかった?
64度といえば、外見からもはっきりと目立つ角度にも関わらずですか?
その時点で手術をしなかった?
102度になる以前に手術をしなかった ?
102度という角度は、すでに脊柱バランスがくずれて骨盤の位置はずれています
さらには呼吸機能障害も発生しうる角度です
この発言者が何を考えているのかわかりませんが、医療の不確実性を述べるにして
も、
2000年代において、このような例示が本当にあったとするならば、ひとつには
診てもらうべき医師の選択ミスであり、そして同時に、自分の身体を他人の判断に
預けるという....それは同時に病気について勉強不足ということの裏返しでもあり
親御さんとこの子自身の.....なんとも表現のしようがない隔靴掻痒的判断ミスの
積み重ね。ということになるのでしょう。
手術を施行するのは医師ですが、しかし、手術それ事態は誰の為のものでもなく
手術を受ける「あなた」自身の為であるはず。
先にご紹介したビデオの女性も、そしてユーチューブに投稿した手術患者さんがた
は、自分の判断とその結果をポジティブに受け入れている。
しない後悔を引きずるよりも、した事の結果を踏まえて明日に立ち向かう。
そういう気持ちの発露がビデオの投稿という形になっているのだと思います。
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ブログ内の関連記事
側わんカーブ100度とは..... 実例紹介
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/0775401be7253e1894b9a3d9466a1a0a
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/0775401be7253e1894b9a3d9466a1a0a
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
中学の体育の授業で『M子の背中はデコボコしていて、うま跳びしにくい』と同級生に気ずかれる程のでっぱりなのに、集団検診では異常なし。
整体では病院の悪口、それに『嫁入り前の体に傷跡残るの、お母さんはいいの?』と母に言い…。気付けばコブ角が35度くらいだったのが68度になってました。地元は田舎だしその頃パソコンないし…。でも今は手術の情報がたくさんありますね。中学時代にこのブログのような素敵なものに出会ってたかったです。
今は姪っ子を抱っこするのを目標に日々生活しています。
68度とわかった日の帰り道、真っ昼間なのに泣いて歩いてました。今、側わんで悩んでる方、家族の方にはこんな悲しい思いはしてほしくないです。色々調べたり話を聞いたりして後悔しない選択をしてほしいです。
すみません、自分の事をダラダラと書いてしまいました。
弱みに付け込む悪い人たちがいなくなる事を願って…。