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高齢者(80歳以上)に対する脊椎手術

2016-04-23 23:55:08 | 大人の側弯症進行
XLIF手術法を説明するうえでは、従来の手術法と比較することで患者の皆さんには理解しやすくなると思いますので、従来法で行われた手術の概要を、国内文献を用いて記述してみることにします。


文献「高齢者(80歳以上)に対する脊椎手術の検討」東日本整形災害会誌20巻,2008年より
・対象と方法 
平成17年7月~平成19年3月、脊椎手術を行った80歳以上の26例を対象.内訳は男性3例,女性23例,年齢は80~93歳(平均84。0歳).
・疾患と術式
腰部脊柱管狭窄症21例は全例に後方除圧術,腰椎すべり症の2例に対してはpedicle screwを用いた後側法固定術,頚部脊髄症と腰部脊柱管狭窄症の合併例には頚椎椎弓形成術と腰椎後方除圧を同時に施行,脊髄腫瘍は1例で後方摘出術,破裂骨折の1例には後方固定術。
・結 果
 手術椎間数は平均2,9椎間(1~5椎問),平均手術時間は134.7分(80~320分),出血量は平均393.O ml(135~1726・ml)であった.変性疾患に限定すると,除圧術を施行した腰部脊柱管狭窄症21例では平均手術時間134.5分,出血量平均374.6ml, pedicle screw固定を併用した腰椎すべり症2例では手術時間260.0分,出血量988.0ml.

⇒ここでのポイントは、変性疾患での平均手術時間134.5分(2時間強)出血量平均374.6ml. またPedicle screw使用例では、平均手術時間260分(4時間強)出血量平均988.0ml (august03)

・術後合併症
術後は尿路感染症が8例(30.8%),一過性虚妄が6例(23。1%)に認められ,術後血腫による麻痺,および術後MRSA表層感染による再手術例が1例ずつ認められた.肺炎等呼吸器系の合併症は認められなかった.全体では13症例,50%に何らかの術後の合併症が認められた。表1.



症 例
 症例1:81歳女性,主訴は間欠難行,変形性膝関節症にて関節内注入を施行しており罹病期間は1年間であった.広範囲に狭窄症が認められ4椎問の拡大開窓術を施行した.術後4ヵ月現在膝痛のため歩行能力が上がらず改善率34.8%と成績不良である 図1
 症例2:86歳女性,主訴は左下肢痛であった.罹病期間10年,合併症は特に認められなかった.L3に2度のすべりを認めたためL3/4にPLFを施行した.術後1年6ヵ月たつが改善率は37.5%と結果不良である 図2

・結果
 罹病期間では1年以内の症例は改善率に有意差を認める結果となっており,神経症状出現後は早期に手術を行うほうが良い結果を生ずると考えられた.神経症状出現後,時間が経つことで脊髄神経が不可逆的な変化を起こす可能性もあり4)早期の手術が望ましいと思われる.術後の譜妄,尿路感染症の予防として早期に離床,歩行練習を行っている.現在除圧術は術後3日,固定術は術後10日より離床を始めているが,症例の全身状態を把握したうえでのさらなる早期離床も考慮される.



・まとめ
 罹病期間が1年以内に手術した症例は改善率に有意差を認める結果となった。

⇒ここでのポイントは、術前の罹病期間が1年以上を超えると成績は下がる。術後の譜妄,尿路感染症の予防として早期に離床,歩行練習をしたほうが良い。現在除圧術は術後3日,固定術は術後10日より歩行、運動をしている。(august03)

august03

2017年10月22日追記
メモ:❝データ❞というものは取扱が非常に難しいものです。特に医学データの場合は、人間がその対象である為に、個体差・個人差があり、また例えば「装具療法」と言ってもそこには装具のタイプ、装具の製作者の技術、家庭での装具の装着状態などに「差」があります。「体操療法」と言っても、その内容(方法・実施時間・ひとりでやるのか、指導の監視のもとでやるのか等)の「差」があります。対象となる患者さんにおいては、性別、年齢、初潮の有無、骨成熟度、初診時コブ角、回旋の強弱、側弯のタイプ、遺伝的リスクの有無、BMI等、それらのデータが全て網羅されているのか、何があり、何がないのか、というように、どこかに必ず十分とは言えない要素があるものです。しかし、それを突っ込みすぎては前進できなくなります。従いまして、いまここに入手できている❝データ❞を単純化した形で、コメントを書かせていただいておりますこと、ご了承下さい。データとは100%ではありません。しかしゼロでもなく、そこから「見えてくるものはある」という姿勢で書いております。


☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?




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