結婚式を終えた。
たくさんの懐かしい人にあえて、とてもうれしかった。
いろんな人の祝福を受けて、感激した。
そして、「非日常の夢物語なんだな、結婚式というのは」
とも思った。
独身の友人たちが、後からくれたメールや手紙には、
「結婚願望はなかったけれど自分も結婚したくなった」
「幸せそうで、やっと心から祝福できた」
といった温かい文章が踊った。
夢物語はもちろん、悪くない。
その夢物語に酔った時間をもてることも、
多分人生のなかで大切なことだから。
ただ夢物語は、現実とは違う。
現実の物語は、夢のようにどこかからふってわいてくるものでなくて、
自分が紡いでいくしかないもの。
誰もが私に向かって言う「幸せ」という結婚とワンセットで使われるキーワードも、
現実に戻れば、その意味はあいまいになる。
生まれた土地を離れた。
人とかかわる大好きな仕事を離れた。
仕事ばかりの生活をしてきた私が、人の妻になり家庭に入った。
夫以外知っている人のいない場所で、
次はどこへいくのだろう、
私はどうなっていくのだろう、
と考える時間が多いのは、
いわゆる「幸せ」なこととはいえないかもしれない。
でも、いわゆる「幸せ」と言えないことのなかにこそ、
私は自分の選択を見る。
結婚して、いろんなものが手から抜け落ちた。
後悔はないけれど、確かにその事実は大きい。
そんななか実感するのは、
私は「幸せになるため」ではなく、
「前に進むために」結婚したのだということ。
前に進むために、まるで何かから卒業するみたいに、
私はここへ来た。
この選択が、私の前進の仕方だったということだ。
人は前に進むようにできている。
今が楽しくても、最高だと思っていても、
ずっとそのままではいられないことも心のどこかで知っている。
前進した先に、わかりやすい幸せがあるかどうかは、わからない。
わからないけれど、ともかく前に進む。
休むことも、振り返ることも、環境が変わるということも、
結局は前に進むことなのだ。
結婚式、新婚旅行が終わると、
その余韻に浸ることもないまま、夫には大量の仕事が待っていた。
夢物語は、終わった。
そうして、また、日常のいろんなことが通り過ぎていく。
この中に幸せを見出せる力をもつこと、
その幸せを大事に育んでいけること、
そして、そんな幸せを本当の幸せだと心から実感できる生き方を
していかなければ。