以前には興味が殆どなかったヘンデルの音楽ですが、最近はボチボチ聞いています。バッハとヘンデルの音楽は根本的に違うと思うのですが、バッハがヘンデルの音楽をどう評価していたのか、以前から常々知りたいと思っています(何か文献でも残っているのでしょうか...)。バッハとヘンデルが会うチャンスは2回あったようですが、結局、生涯2人が会えなかったとされていますが、2人が会って音楽的交流があったら2人の音楽も少し変化していたのかなぁと想像しております。また、ヘンデルは、メサイアの興行が失敗したらドイツに帰るつもりだったようで、メサイアが失敗していたら、ヘンデルのその後のドイツでの音楽活動がどうなっていたのかも興味があります。
今回のCDは、「ヘンデル:オラトリオ「トビト」」(NAXOS:8.570113-4)(ヨアヒム・カルロス・マルティニ指揮、ユンゲ・カントライ フランクフルト・バロック管弦楽団(オリジナル楽器使用))(ライブ録音:2001年6月、エーベルバッハ修道院、ドイツ)です。この曲の詳細は、解説書に任せるとして(外国語なので)、副題に《素材の勝利!、偉大なるパッチワーク》とあります。カバーについている簡単な日本語解説を引用させて頂きますと、この曲は純粋なヘンデル作品ではありません。ヘンデルに仕えた写譜屋を父に持ち、自らもヘンデルに鍵盤楽器を師事したスミスという人物(John Christopher Smith (1712-1795))が、題材を聖書の世界に求め、ヘンデルのオペラ、オラトリオなどを継ぎはぎし、さらに自作も加えた、いわゆるパッチワーク的作品のようです。内容は「敬虔なユダヤ人で盲目のトビトが視力を回復し、息子のトビアスが無事にサラと結婚出来るまでの物語」だそうです。解説書の最後に、スミス氏が作曲した部分が記載された一覧がありますが(曲全体の3~4分の1位でしょうか)、それを見なければヘンデルが作曲した部分との違いが分からないほど違和感はありません。そのまま聞いていて自然とヘンデルの世界に入れ、楽しく聞けました。