最近、オワゾリールからバッハのチェンバロ協奏曲の新譜が出ていました。「J.S.バッハ チェンバロ協奏曲集第2,4,5,1番」(UCCD 1218)(オッターヴィオ・ダントーネ指揮&チェンバロ、アッカーデーミア・ビザンティーナ)(録音:2007年3月31-4月4日、ラヴェンナ)です。
バッハのチェンバロ協奏曲は、個人的にはピアノで演奏する方がチェンバロのパートが良く聞き取れて、演奏者の解釈の違いも良く分かり、聴き応えもあり、ピアノ版が好きでしたが、最近は小編成で、録音も良く、チェンバロの響きが伴奏に掻き消されてしまわない魅力的なCDが沢山出てきています。
このCDも各パート独りずつで構成された小さな弦楽アンサンブルとチェンバロという編成で、チェンバロを含め、各パートの音がクリアで、澄んで聞こえます。ダントーネの演奏は、とにかく丁寧で、キッチリとしています。最近録音されたチェンバロ協奏曲の演奏スピードは以前の録音より速くなっている傾向があるように思いますが、ダントーネの演奏はテンポがややゆっくりしており、スピード感や気迫にやや欠けるように思います。好みにもよると思いますが、何となく模範的な、教科書的な演奏で、個性的な演奏には感じませんでした。ただ、すっきりとした爽やかで明解な演奏です。収録曲の中では、最後の第1番の協奏曲がスピード感もあり、彫も深く、メリハリもあり、最も魅力的な演奏と思いました。