毎日、ヘンデルのオペラでは、ちょっと重たいので、気分転換で軽めのバッハが聞きたくなりました。DECCAから、「J・S・バッハ:ヴァイオリン協奏曲集」(UCCD-1235)(ヴァイオリン:ユリア・フィッシャー、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)(録音:2008年6月、ロンドン)が出ていました。カバー写真の魅惑的な微笑みにも魅せられてしまい、思わず買ってしまいました。
諏訪内晶子さんやムターさんの演奏と同じ延長線上にある、基本的には女性らしい演奏と思います。ヒラリ-・ハーンさんの踊るような、また弾けるような楽しさに若干欠けるのが残念ですが、バランスのとれた繊細な美しい演奏です。録音は通奏低音領域も良く聞き取れて、空間の広がりも感じさせますが、ロマン派的な雰囲気で、反響音がやや大きく、シャープさがややないように思います。これは個人的な好みの問題ですが、バッハの録音としては、もう少し乾燥した(?)、あまり手を入れていないクリアな録音がいいかなぁと思います。
ユリア・フィッシャーは、1983年のミュンヘン生まれで、3歳でピアノを初め、すぐにヴァイオリンに転向し、11歳でユーディ・メニューイン国際ヴァイオリン・コンクールに優勝しています。彼女はピアノの才能も抜群のようで、3回もピアノ・コンクールで優勝し、2008年にはピアニストとしてもデビューしています。
とにかく、バッハのヴァイオリン協奏曲は、理屈ぬきに楽しく聞けて、心が躍るような演奏が一番と思います。この点で、女性ヴァイオリニストの中ではハーンが一番と思いますが、このフィッシャーのヴァイオリン協奏曲も楽しく聞けました。