★2021年の新作「Good Things」を取り上げました★
2013年、"19 You + Me"でデビューし、翌年のデビュー・アルバム 「Where
It All Began」からこれで3作目となる、2018年のアルバムです。"Tequila"
と"Speechless"の2曲のスロー・バラードが、2019年の春先になってもカン
トリー・シングル・チャートの上位をキープしてるという、大変な人気を誇
るデュオです。CMAアワードでは、対抗馬のめぐり合わせが悪く、デュオ
賞は取れてませんが、2019年のグラミーでは、"Tequila"で遂にDuo/Group
Performance賞を獲得しました。
プロフィールとしては、Dan Smyersは、ペンシルベニア州Wexford出身。
かつては、いくつかのポップ・パンク・バンド~ Transition等~に所属して
おり、カントリー一筋の人ではないようです。Shay Mooneyは、アーカン
ソー州Natural Dam出身。彼もR&Bを経験しており、ラップ・アーティス
トのT-PanによるレーベルNappy Boyのソロ・アーティストだった時期があ
ります。またShayは、かなり 以前にご紹介した女性カントリー・アーティス
トVeronica Ballestriniと活動していた時期もあるようで、YouTubeにオリジ
ナル曲をアップする等活動していました。
Dan SmyersとShay Mooney
二人は2012年の12月に、ナッシュビルで出会います。その音楽業界で二
人が注目されるのに時間はかかりませんでしたが、決め手になったのは、
カントリー・ポップの人気グループ、ラスカル・フラッツの目に留まった
ことでした。そのおかげでワーナー・ナッシュビルと契約出来たのです。
2013年のデビュー曲"19 You + Me"から早速カントリー・シングルでトッ
プ10ヒット。以降、デビュー・アルバム「Where It All Began」から
"Nothin' Like You"、続くセカンド・アルバム「Obsessed」からの"From
the Ground Up"、"How Not To"とトップ10ヒットを飛ばし続けてきまし
た。2枚のアルバムは、「Where It All Began」がカントリー1位、
「Obsessed」は2位でしたが、共にビルボード200でトップ10に入っ
ています。
この二人の音楽は、実に予定調和の極致で、トガッた感じが一切ないもの。
力んだパワー・ポップでもなく、ソフトで耳ざわりが良いのです。幅広い
リスナーの生活にすんなり溶け込んでいける、BGMプラスαの優しい音
作りです。そして、Shayによる等身大の誠実な歌声。決してグレイト!と
評価されそうにないけれども、その切なさ加減が不思議と心に引っかかり、
何度も聴いてもしつこくない歌声と音楽なのです。"Tequila"は荘厳なゴス
ペル・タッチの佳曲バラードですが、適度なスケール感で聴き手を圧倒す
るような事は有りません。
そもそもカントリー自体がポップで予定調和的とされますが、ダン+シャイ
ほどの音楽は他にないです。近年のヒット・カントリーは、結構R&B
的なグルーブ、リズムを導入するのがトレンドみたいですが、この「Dan +
Shay」での楽曲ではそれを隠し味のように織り込んで、カントリー・ポップの
伝統であるAOR的風情をキープしようとする意思が、この優しみある音楽に
秘められているようです。
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