ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Katie Armiger ケイティ・アーミガー - Fall into Me

2013-04-13 | カントリー(女性)
 インディ・レーベル所属ながら、2007年のデビュー以降、着実にアルバムをリリースし続ける女性シンガー、ケイティ・アーミガー。本作は2013年リリースの4作目。年齢はまだ若干22歳!その若さに似合わず、成熟したクリーン・ボイスを聴かせてくれる才能溢れる女性です。しかも本作では、全曲でソングライティングに加わっていることも注目でしょう。現在のメインストリームのカントリー界は、圧倒的に男性アーティストが優位の状況(ファンに女性の主婦層が多いから)。安定してヒット・レコードを出している女性アーティストといえば、テイラー、ミランダ、キャリー・・・くらいか。そういう状況だから、このケイティの今後の飛躍に大いに期待してしまいます。

 基本路線は、カントリー・ラジオのヒットをターゲットにしているポップ・カントリー。オープニング"He's Gonna Change"から意気のいいハンドクラッピングとラウドなギターで華やかに盛り上げます。"Better in a Black Dress"ではビートはさらにヘヴィで幻想的な曲想と相まってグッと重厚なミディアム・ナンバーに。アップテンポでお気に入りは"Stealing Hearts"。派手さは控えめながら、ウネるベースラインが印象的なR&B的ナンバー。ケイティの歌声も実にエモーショナルで力のあるところを見せてくれます。


 でもやっぱり彼女のクリーン・ボイスを堪能するなら、"Man I Thought You Were"のようなフォーキーなナンバーや、オーガニックなカントリー・チューン"Black and White"が絶品と思います。特に後者はスティール・ギターも良い響きで鳴って和みの世界に浸れますよ。ここらがカントリー・シンガーの面目躍如ですね。 パワー・バラードの"Okay Alone"では清らかさと力強さが同居した堂々たる歌いっぷり。先に挙げた大物女性陣が持っていない、彼女ならではの個性が感じられます。

 インディ・レーベルの性なのか、幾つかの曲での型にはまった安易なアレンジ、奥行きのない薄っぺらなサウンド、そして楽曲の弱さなど感じられて、トータルとしてのクオリティは標準レベルなのですが、それでもこのアルバムを聴く価値のあるものにしているのが、ケイティの澄み切った、美しい”ビッグ・ボイス”の素晴らしさです。彼女のタレントに見合ったプロダクション、そして何よりもヒット・ソングを待ち望みたいです。


 独自のコアなカントリー・シーンを持つ事で知られるテキサス州のヒューストン生まれ。歩く前から歌っていたという彼女は、早くから詩や歌の自作もこなす早熟な少女でした。14歳の時に、地元ラジオ局Radio93Qによるカントリー・シンガーのコンペティションに出場。ジュニア部門から勝ち上がり、最終的には全カテゴリーでの優勝をさらってしまったのです。この結果、ナッシュビルのプロデューサMark Oliveriusの元で2曲のデモ・レコーディングを行う権利を獲得、そこからトントン拍子にフル・アルバムの制作へと話が進んでいきました。レコーディングの間、ヒューストンとナッシュビルを行き来するハードな生活をこなした彼女ですが、デビュー・アルバムが完成した時はまだ高校2年生。しかしその歌声の完成度は、年齢をは超えたものでした。この2007年のデビュー作「Katie Armiger」以降、インディのCold River Recordsでコンスタントにアルバムをリリースし続け、着実にキャリアをステップアップし続けています。


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