ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Kacey Musgraves ケイシー・マスグレイヴス - Pageant Material ~ケイシー自身が語るアルバムのこと~

2016-04-16 | Kacey Musgraves ケイシー・マスグレイヴス レビューまとめ

メジャー・デビューアルバム、「Same Trailer Different Park」が、2013年度のグラミー賞でカントリー・アルバム賞を獲得し、早くもメジャー・カントリー界を代表するアーティストとなったケイシー・マスグレイヴス。昨年2015年のこの2作目も、現代性をしっかり保ちつつも、本物感たっぷりのリアル・カントリー作品で、CMAアワードおよびグラミー賞の両方で、カントリー・アルバム賞にノミネートされました(共に受賞したのは、クリス・ステイプルトンの「Traveller」)。今回は、そのCMA(カントリーミュージック協会)が提供している彼女へのインタビュー記事(Holly Gleason氏取材)をベースに紹介したいと思います。


このアルバムで聴けるサウンドは、レコーディング時にスタジオでよく聴いていた、グレン・キャンベル、ロニー・ミルザップ、マーティ・ロビンスそしてチャーリー・リッチなどのクラシック・スター達へのオマージュと言えるトラディショナルなもの。コンサートのようなライブ感やユニークな響きを取り込むため、RCAレコードのスタジオAにネオンのサボテンを持ち込んだり、バンドメンバーにはティアラを用意し、その雰囲気の中、メキシカンな"High Time"や、つややかな"Late for the Party"らの作品に豊かさを浸透させています。


ファーストアルバムでは、袋小路のような信仰の偽善への殺伐とした視線("Merry Go 'Round")や、何かと2者択一を迫られる人生の中での自由な選択("Follow Your Arrow")などのメッセージが話題を呼びましたが、そのような鋭い人間観察に対する彼女の資質は、この作品でも、ゴシップ話が素早く蔓延していく様子を捕らえた"This Town"や、えこひいきを歌った"Good Ol' Boy's Club"で見られます。”たぶん私が女心を語る若い女性だから、誰かにパワーを与えているんでしょうね。それはハッキリした考えではないのかも知れないし、でもやはりそうなのかもしれない”ケイシーは言います。”私は、自分が"Follow Your Arrow"娘だとか、何か意見を持つ女性であるだけでなく、多くの面を持っていたいと思ってる。皆さんにアルバム全体を聴いてほしい。その全ての面を見て欲しいの”

”私はチョッピリ反権威的な面を確かに持ってるわ。でもこのアルバムには、以前から本当に愛してきた幾つかの心地よい瞬間があるのよ” 優しみ溢れるアコースティック曲の"Die Fun"では人生の素晴らしさを受け入れ、喜びを見つけていく哲学を追求します。また、"Pageant Material"は、とにかく面白おかしさこそが聴く人の心を引き付けます。”私は自分の楽曲のスタイルが変わったとは思ってないわ。たぶん少し成長したのよ。同じ人間から生み出されたもの、少し引出しが増えたようなただ一人の人間。前作と同じように、2作目でも同じアプローチをしたわ。私の考えがどこにあったかを表現する歌を求めたの。何も説教臭いものではなく。ただこれが私に影響を与えたもの、というだけなのよ”

アルバムのシークレットトラック"Are You Sure"("Fine"の後に収録)では、大御所ウィリー・ネルソンが歌と、あの有名なギターTrigger(スパニッシュ・ガット弦を付けたマーティンのアコギ)で共演しています。”彼の最初の作品の一つよ”ケイシーは言います。”私は彼がそれをプレイするのを聴いた事がなかった。でも、ある日私が提案して、彼は楽曲にふさわしいギターをプレイしてくれたの。私達はそれを完成させたわ。一つになったようだった”


ケイティ・ペリーと


「Pageant Material」がカントリー・アルバム・チャートでトップを獲得した後、ケイシーは、ケイティ・ペリー、ケニー・チェズニー、そして共同ヘッドライナーとして先述のウィリー・ネルソンやアリソン・クラウスとツアーを敢行しています。特に、ポップ・フィールドで、異色のマッチングであるケイティに対しては、”活き活きして、きらびやかだった。ただただ素晴らしい時をすごせたわ”と、感銘を受けたようです。”普段は接する機会のない、音楽の違う面を見ることが出来て楽しかった”同時に彼女自身の音楽の個性もPRできたツアーとなったようです。

最後に、ケイシーのポリシーを端的に表現した一言を。”私は最初から自由に音楽制作をし、自分のありたい姿でやってきたから、誰かのせいでためらった事はなかった。アーティストの為に用意される沢山のプランって、無難に手加減したようなアイテムが提示されるけど、後の結果はひどいものになるわ”



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