ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Caroline Herring(キャロライン・ヘリング) 「Lantana」

2008-05-12 | カントリー(女性)
 仕事で東京行った時に、新宿のディクスク・ユニオン:トラディショナル館さんで見つけたCaroline Herringのサード・アルバムです。お勧め盤コメントがあった事もありますが、何より優しみのあるジャケットに好感を持ち購入しました。テキサス録音の、ブルーグラス感も垣間見れる、ルーツ志向のフォーキーなカントリー。これもカントリーの一つのスタイルです。Kathy Matteaの「Coal」に近いイメージで、Kathy盤を聴いた余韻があった事もこの手のアルバムに食指が働いた理由です。あの「O Brother, Where Art Thou?」の成功もあって、こういうルーツ・オリエンティッドな、メインストリームのヒット物とは一線をかすカントリー・ミュージックが、アメリカでは一つのジャンルとして確立しているということかな。 ギリアン・ウェルチ(Gillian Welch)のようなそこそこビッグな人もいますしね。アノ系統です。

 

 サウンドは、簡素で良心に溢れたもの。アコースティック・ギターがサウンドの中心で、バンジョーやフィドル、スティールらがさり気なく色を添えます。ドラムスは、カジノに入り浸って帰ってこない旦那を待つ、悲しい高校生妻を歌った"Heartbreak Tonight"と、"State of Grace"くらいでしか聴かれません。Carolineの歌声は、柔らかく陰影に溢れるコントラルト・ヴォイス。オープニングの "Stone Cold World"のドラマティックでディープなアコースティック・アンサンブルに乗ったその歌声、深みのある地声とコーラスでのファルセットの対比が見事で魅力的です。この曲も含め、ほとんどCaroline自身による楽曲は、 伝統的なかつてのフォーク・バラッドのようなメロディを持つものが多く、そのサウンド共々ジックリと聴き込むことが出来ます。古いゴスペルで有名なタイトルを持ってきた"Lay My Burden Down"(ソウル・スターラーズ盤"Groly,Glory"でのR.H.ハリスの名唱が忘れられない)、一方ミディアム・テンポで和やかに楽しめる"Fair and Tender Ladies"は同様に古いフォーク・ソング(カントリーでもよく取り上げられていたようで、ブラウンズ(The Browns)盤で聴いた事があります)と同名異曲で、このようにトラディショナルなテーマを活用して、オリジナルな作品を創造しているところに彼女の志を感じます。ボーカリストとしての個性は先のKathy Matteaほどではないですが、その声はやはり独特の深さと説得力に満ち溢れていて、結構やみつきになります。トータルのクオリティは平均点を軽くクリアしてると思います。いやいやKathyを引き合いに出すのは酷でした。やはりメインストリームで一時代を築いた人の個性は飛びぬけていますから。ともかくこのアルバム、晩酌しもって静かに疲れを癒したいときには良いです、私的には。

 

 生まれはミシシッピ州で、大学を卒業後、ブルーグラス・グループに所属しローカルのラジオ・ショーでギターとマンドリンをプレイしていました。その当時、 Gillian Welchと共演する機会もあったようです。1999年にテキサス州のオースティンに移動し、地元のBlue Corn Recordsとレコーディング契約を果たし、デビュー作「Twilight」がまずオースティンでヒット、地元のアワードでベスト・ニュー・アーティストを獲得するのです。広大なアメリカでは、こうした地域レベルのヒットというのが、ステップとして意義があるのですね。その後は、メディアの好意的な批評のおかげで少しづつテキサスの外、ボストンやデンバー、そしてニューヨークへと演奏活動の場を広げていくのです。それでも彼女はテキサスへの愛情を隠そうとはしません。やはりテキサスはカントリー・ミュージックにとって特別な場所なのです。

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1 コメント

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ロンドンでライブ聴きました。 (Shun)
2010-06-05 02:05:08
先週ロンドンにおりまして、幸運にも、5月26日の晩に、Cameden Town にあるフォーク・ライブハウス"Green Note"で、キャロライン・へリングのライブを聴くことができました。
小さなライブハウスですが、イギリスにも熱心なファンが居るようで、サインをもらう列が出来てました。
前半、後半、計2時間たっぷり歌ってくれました。癒されました。
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