今度は男性シンガー・ソングライター&ギタリストのご紹介です。彼は、往年のカントリースター、ジョージ・ジョーンズ、マール・ハガード、ジョージ・ストレイト、アラン・ジャクソンを継ぐ事を期待、約束されている若手(といっても30代)です。そのスタイルは一応は伝統的なホンキー・トンク・スタイルで、ルックスもテンガロン・ハットをかぶっていたりしていかにものいでたちです。若い人にはもちろん、古くからのファンの方々にも支持されています。かといって、決して古臭いカントリー&ウェスタンを歌っている訳ではありません。
この"Time well wasted"、オープニングはアップテンポの8ビートで、チャック・ベリー?というギターリフでスタートします。全体として、ギターをフィーチャーしたプリミティブで極上なポップ・ロック集という感じと言えば良いでしょうか(言葉で表現するのは難しいですね)。これは彼の4枚目のアルバムになりますが、これまでのベストとの評価。まず曲が粒ぞろいで駄作がありません。サウンドの奥行きもこれまででもっともリッチです。彼のクリアーなカントリー・ボイスは、あまり癖がないもので、聞きやすいと思います。バラードの方もしっとりと良い曲がたくさんです。
彼のギターですが、もちろんテレキャスター(ペイズリー柄!)によるソリッドなサウンドですが、適度にちょっぴりヘヴィーでコクのあるエフェクトがかかっており、これまでのトラディショナル・カントリーにない新しさです。早弾きも達者ですが、"Out in the Parkin' Lot"での間の多いフレーズもセンスが良いと思います。彼に影響を与えたギタリストとして、チェット・アトキンス、マール・トラヴィスなどカントリーギターでお決まりのレジェンドが挙げられるのですが、ロック・ギタリストでも好きな人がいるのでしょうね。
逆に、名ロック・ギタリストの多く、たとえばリッチー・ブラックモアを始め、ジミー・ペイジ、ピート・タウンゼントなどが、スコッティ・ムーア、ジェイムス・バートンというカントリーギタリストの影響を強調しているそうで、そういう面からもブラッドのギターはギターのロック・ファンの注目に十分値すると言えるのではないでしょうか??