ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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Kacey Musgraves ケイシー・マスグレイヴス - "Blowin’ Smoke"

2013-06-22 | Kacey Musgraves ケイシー・マスグレイヴス レビューまとめ
2015年のセカンド、「Pageant Material」の記事はコチラで

  ミュージック・ビデオを徹底して追いかける方ではないんですけれど(10年前はDirecTVで熱心にCMT見てました!)も、少し前に米国の記事で、このケイシー・マスグレイブスのアルバム「Same Trailer Different Park」からのセカンド・シングル"Blowin’ Smoke"のメイキング・ビデオ記事に触れた事がキッカケで見てみたら、これがなかなかに”尖ってて”、すごく彼女らしさを感じたので、取り上げたいと思います。やっぱりビデオって面白いなって思った次第。

 この曲は、田舎のレストランで平凡で忙しい日々を過ごしながらも、いつかはこの生活を抜け出したいと夢見る(歌詞の冒頭、ランチとディナーの間の隙に、Kellyはベガス行きのバスで行ってしまう。。。)チョッと疲れた主人公とウェイトレス仲間について、ヘヴィーなギターをバックに実にクールに歌われます。でも今は、休憩中に煙草を吸って憂さを晴らすしかない彼女達。


 ビデオもその歌詞をほぼストレートに表現したものになっていて、アメリカの地方でよくあるフツーのレストランを舞台にして、ケイシーも女優達に混じってウェイトレスに扮し、そして休憩のシーンではスパスパと煙草を吸うのです。ハテ、かつてこんなに大っぴら煙草を吸った女性カントリー・アーティストっていたかな・・・?と見たとたん思いました。。もちろん日常生活で女性が煙草を吸うのは珍しくないですし、そういった生活を歌ったカントリー・ソングのビデオで、演じる女優が煙草を吸うケースはよくあるでしょう。しかし、アーティスト本人が吸う姿を見せることはほとんどなかったと思います。カントリー・ファンって結構、保守的な層が多いから、女性スターなら原則、品行方正に振舞うもの、というイメージがあるからね。今回少しだけ調べてみたら、吸うと噂されてる人の名は何人か出たけど、人前ではその姿は見せてないよう。最近ヒットを飛ばしてるスターではなかったけどね。

 無難なビデオにするなら、ケイシーとバンドの演奏シーンと俳優による演技シーンを分けて交互につなげるってのがよくやる方法なのでしょう。しかし、自身のカントリー・ソングを、理想的な教訓や物語に留めるのではなく、そこにより現実と本音を表現しようとするケイシーらしく、自分自身で描いたものを自ら演じるという、少し挑戦的な演出をしたところがとても興味深いです。


 さて、冒頭触れたメイキング・ビデオの記事もご紹介しましょう。通常ビデオ撮影には丸一日かけるものなのですが、忙しい彼女はなんと撮影の合間に"The Ellen DeGeneres Show"での"Blowin’ Smoke"のライブ演奏(これもYou Tube等で見れる)もこなしたんだそう。ケイシーはその日を振り返って言います”朝の6時に撮影地に着いて、まず正午まで撮影したの。その後、Ellenのスタジオに"Blowin’ Smoke"を歌うために移動した。ウェイトレスの制服を着たまま行ったのよ。ショーが終った後戻って、結局夜9時まで撮影をしたわ”でも、彼女には不満げな様子はありません”上手くいってとってもハッピーよ!”さすが旬のスター、前向きですね。

 先日出させていただいた「Same Trailer Different Park」のレビューの最後で、テイラー・スウィフトに対するケイシーの立ち位置を、かつてのビートルズに対するローリング・ストーンズのようだと書きました。このビデオを見ると、そんなに外れてないかなぁって思ってます。テイラーが「Red」で、カントリーとしてはビートルズの「リボルバー」くらいのとこまで行ってしまってる現在ですが、ケイシーには「ベガーズ・バンケット」あたりを狙って欲しいなぁ、なんて勝手な期待をしてます。


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