●2015年リリース、「Jekyll + Hyde」のレビューはコチラで●
現在のカントリー・シーン、いや、アメリカン・ミュージック・シーンにおいて、アメリカ南部音楽を基軸としつつ、音楽的なカテゴライズを拒否するかのような幅広い万華鏡のような音楽性を披露してくれるザック・ブラウン・バンド。ブルーグラス~カントリー、そしてR&Bやファンクにレゲエ、さらにはハードエッジなロッキン・チューンまで、手堅くエネルギッシュな演奏で聴き手をとにかく楽しませる手腕にはいつも脱帽です。このメジャー移籍後のオリジナル第3作は、そのZBBの個性をより正常進化させた好盤。前作に対して、リズムや曲想はより幅広く、音の厚みはより豊かにアップグレードしています。ここら、メンバーを一人追加してサウンドを強化した効果もあるのでしょう。
まずはそのおどろおどろしいイラストのジャケットや、髭モジャでむさ苦しいメンバーの写真~いかにもかつてのワイルドなサザン・ロック・バンド然としたそれ~に目がいくのですが、彼らのジョークを間に受けてはいけません。ココで聴かれる音楽は、プロフェッショナル!という以外にない、緻密に構築されたアンサンブルとカッチリと引き締まったタイトなリズムセクションで、現代における職人的バンド・サウンドの極みとも言えるもの。さらに忘れてはいけないのが、たっぷりと聴かせる彼らならではのコーラス・ワーク。カリブ海を思わせるオープニング・チューン"Jump Right In "のクリーンで弾むサウンドで、早速、聞き手の心を躍らせてくれます。知的で、視野が広く、進取の気性に富んだ、誇り高き現代のサザン・メンです。
タイトル・チューン"Uncaged"は、ソリッドなリズムセクションが強力なロック・チューンですが、ココではテクニカルな変調子も入れて、タイトル通り”枠にはまらない”先進性を聞かせてくれます。スケールの大きいパフォーマンスは、カントリーの枠に留まらせてはいけません。変調子とか中盤の骨太なフレーズとか、ツェッペリンを思い出しました。"The Wind "は、カントリー・フィールド向けにリード・シングルとしてリリースされたアップテンポのストレート・カントリー。この手はもう独壇場で、イントロや要所で聴かれる各楽器のキーフレーズの交換が楽しい。ライブで盛り上がるんだろうな。"Island Song"は、これも彼ら得意のレゲエ。聴き手をカリブ海の彼方へ連れて行ってくれます。
ZBBの新たなイメージを見せてくれるのが、"Overnight "。これ、ソウル、それもスウィートなフィラデルフィア・ソウルのザック流解釈ね。ボーカルを取るザック・ブラウンのスムーズなクルーナーぶりが聴きどころになっています。洗練されたギターやホーンセクションが雰囲気。"Lance's Song"は嬉しいアコースティックなカントリー・バラード。滑らかなメロディと爽やかなコーラスが、カントリーならではの温かい空気を届けてくれます。これもZBBにはなくてはならないスタイルね。
とにかく、楽曲や演奏共々駄作というものがない安定感のあるアルバムです。しかも、彼ら自身の南部流バンドサウンドはしっかりキープしつつ、親しみやすさも忘れていない。基本路線は変わらないんだけど、確実のそのレンジを拡げていく、ZBBのたくましさを感じるアルバムです。何でそんなワイドレンジな彼らがこの時代にアメリカ南部で強い影響力を持つのかというと、とある本国のレビューで書いてたのですが、カントリーを演奏する場として伝統的に存在してきたホンキートンク・バーに加えて、スポーツ・バー(大きなディスプレイを設置しスポーツ中継を流す、パブやバー。今の世界の主流のスタイルでしょう)の存在が大きくなってることがあるようです。そのような文化的な変化、音楽を楽しむ場の変化をふまえて音楽のトレンドを捉える事は、とても興味深く重要な事だと思います。
●2015年リリース、「Jekyll + Hyde」のレビューはコチラで●
現在のカントリー・シーン、いや、アメリカン・ミュージック・シーンにおいて、アメリカ南部音楽を基軸としつつ、音楽的なカテゴライズを拒否するかのような幅広い万華鏡のような音楽性を披露してくれるザック・ブラウン・バンド。ブルーグラス~カントリー、そしてR&Bやファンクにレゲエ、さらにはハードエッジなロッキン・チューンまで、手堅くエネルギッシュな演奏で聴き手をとにかく楽しませる手腕にはいつも脱帽です。このメジャー移籍後のオリジナル第3作は、そのZBBの個性をより正常進化させた好盤。前作に対して、リズムや曲想はより幅広く、音の厚みはより豊かにアップグレードしています。ここら、メンバーを一人追加してサウンドを強化した効果もあるのでしょう。
まずはそのおどろおどろしいイラストのジャケットや、髭モジャでむさ苦しいメンバーの写真~いかにもかつてのワイルドなサザン・ロック・バンド然としたそれ~に目がいくのですが、彼らのジョークを間に受けてはいけません。ココで聴かれる音楽は、プロフェッショナル!という以外にない、緻密に構築されたアンサンブルとカッチリと引き締まったタイトなリズムセクションで、現代における職人的バンド・サウンドの極みとも言えるもの。さらに忘れてはいけないのが、たっぷりと聴かせる彼らならではのコーラス・ワーク。カリブ海を思わせるオープニング・チューン"Jump Right In "のクリーンで弾むサウンドで、早速、聞き手の心を躍らせてくれます。知的で、視野が広く、進取の気性に富んだ、誇り高き現代のサザン・メンです。
タイトル・チューン"Uncaged"は、ソリッドなリズムセクションが強力なロック・チューンですが、ココではテクニカルな変調子も入れて、タイトル通り”枠にはまらない”先進性を聞かせてくれます。スケールの大きいパフォーマンスは、カントリーの枠に留まらせてはいけません。変調子とか中盤の骨太なフレーズとか、ツェッペリンを思い出しました。"The Wind "は、カントリー・フィールド向けにリード・シングルとしてリリースされたアップテンポのストレート・カントリー。この手はもう独壇場で、イントロや要所で聴かれる各楽器のキーフレーズの交換が楽しい。ライブで盛り上がるんだろうな。"Island Song"は、これも彼ら得意のレゲエ。聴き手をカリブ海の彼方へ連れて行ってくれます。
ZBBの新たなイメージを見せてくれるのが、"Overnight "。これ、ソウル、それもスウィートなフィラデルフィア・ソウルのザック流解釈ね。ボーカルを取るザック・ブラウンのスムーズなクルーナーぶりが聴きどころになっています。洗練されたギターやホーンセクションが雰囲気。"Lance's Song"は嬉しいアコースティックなカントリー・バラード。滑らかなメロディと爽やかなコーラスが、カントリーならではの温かい空気を届けてくれます。これもZBBにはなくてはならないスタイルね。
とにかく、楽曲や演奏共々駄作というものがない安定感のあるアルバムです。しかも、彼ら自身の南部流バンドサウンドはしっかりキープしつつ、親しみやすさも忘れていない。基本路線は変わらないんだけど、確実のそのレンジを拡げていく、ZBBのたくましさを感じるアルバムです。何でそんなワイドレンジな彼らがこの時代にアメリカ南部で強い影響力を持つのかというと、とある本国のレビューで書いてたのですが、カントリーを演奏する場として伝統的に存在してきたホンキートンク・バーに加えて、スポーツ・バー(大きなディスプレイを設置しスポーツ中継を流す、パブやバー。今の世界の主流のスタイルでしょう)の存在が大きくなってることがあるようです。そのような文化的な変化、音楽を楽しむ場の変化をふまえて音楽のトレンドを捉える事は、とても興味深く重要な事だと思います。
●2015年リリース、「Jekyll + Hyde」のレビューはコチラで●
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