2012年の鮮烈なデビューからはや9年、ポップとのクロスオーバも
しつつメインストリーム・カントリーをトップ・クラスの人気で
引っ張り続けて来たフロリダ・ジョージア・ライン。彼らの純粋
なオリジナル・アルバムとしては5作目がリリースされました。そ
もそもカントリー・サウンドの定型を打ち破らんかという勢いで
ラップやヒップ・ホップビートにアメリカン・ロック・サウンド
を乗せて登場した彼らですが、前作「Can't Say I Ain't Country」で
はキレのあるホンキー・トンク風ロッキン・カントリーに立ち返り、
驚かされました。なので、今作はどんな方向に行くのか注目でした。
予告的なEP「6Pack」では、土の香りの漂うファンキー・ビートを
"Beer:30"などで取り入れてて、そのEPの曲は全て収録されていますが、
このアルバムのトータル・イメージは、「Can't Say I Ain't Country」
をさらに推し進めたような、心地よいミレニアル世代のリアル・カ
ントリー・ミュージックだと思いました。モーガン・ウォーレンの
「Dangerous: The Double Album」(とその後の残念な失言騒動・・・)
の後でもあり、さすが兄貴分(モーガンの"Up Down"で共演)なら
ではの安定感・安心感があるのです。
シングル・ヒット中のオープニング"Long Live"から緩やかなミデ
ィアムで、アルバムの印象を代表します。゛小さな町の人たちは
皆、夜明けから夕暮れまで、長く変わらない生き方をしてきたん
だ/(マール・)ハガードやハンク(・ウィリアムス)をお手本にし
て・・・゛しっかりレジェンドを称える様式に則り、南部の田舎町
での生活の誇りを歌います。ビートの効いた "I Love My Country"
や"Beer:30"が既発曲で、新曲がほとんどミディアムからスローな
曲想なのが、ことに穏やか感をもたらす要因かもしれません。
”Ain’t Worried Bout It”の歌詞にある、゛Key / Simple / Back to the/
Basics!゛の信条どおり、シンプルながらフックのあるメロディを
主体に、多くの曲でアコギやバンジョーのカントリー楽器をしっ
かり馴染ませたサウンドでまとめています。スローではそこにキ
ーボードを加えモダンなイメージを出すのは、従来通りです。お
気に入りは、マウンテン・ミュージック風な"Life Looks Good"と
か、コーラスがメロディアスな"Always Gonna Love You"あたりで
すが、一番ヒップ・ホップ・ビートの映えるレゲエの"New Truck"
のような新機軸も入れていて、コーラスの絡み合いやサンプリン
グの掛け声が楽しいです。
タイラー・ハバードはこのアルバムついて、単純にハッピーな気持ち
ではすまない感情を語っています。゛どんなアーティストでも全ての
アルバムにこう言うよね。「これは僕たちの最強のコレクションだ。
僕たちが成し遂げた最強のプロジェクトだ」とか。僕は、ある意味フ
ァースト・アルバム(「Here's to the Good Times」)を作った頃を思
い出したりしてノスタルジックな気持ちになった。でも進歩もしてる
んだよ。僕たちがどれだけ成長したかのショーケースなんだね゛
一方、ブライアン・ケリーは、゛今はいつもと違って困難な時期を過
ごしているし、イライラする事もあるけど、間違いなく信仰は神と僕
達家族の基盤の中に有るんだ。そして音楽は僕たちの人生を通じて大
きなはけ口であり、今回はこれまで以上に創造的になり音楽に集中で
きたよ゛と語ります。彼らの言葉から、良い感じに年齢を重ねてきた
ことが感じられますし、やはりアメリカ南部の人なんだと思います。
これからも長くカントリー界を支える存在であって貰いたいです。
それと、モーガンを何とかしてやって欲しいです・・・
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