ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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テイラー・スウィフト スピーク・ナウ・ワールド・ツアー・ライブ2011、CMAインサイド・レポート

2011-06-04 | Taylor Swift テイラー・スウィフト レビューまとめ
 2月の初来日ツアーが記憶に新しいテイラー・スウィフト。今年はアジア、ヨーロッパ、そしてカナダ、アメリカをほぼ1年がかりで駆け巡るツアーの年となっていますが、CMAがアジアとヨーロッパのワールド・ツアーについてテイラー本人やツアー・スタッフにインタビューしたインサイド・レポートを公表していますので、ご紹介します。筆者はCMAのボブ・ドーズチャック氏。ツアー・マネージメントに関する話題が中心で、今後テイラーに続いてアメリカから外に出て行こうとしている他のアーティスト達に有益なコメントが述べられています。テイラー自身も有名な”神戸の鉄板焼き”のことなど、日本についても大いに語ってくれており、興味深いです。

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 テイラー・スウィフトの現在の凄まじい人気には、二つの重要な洞察を与える事ができる。アーティストの活動全ての中心にファンがいること、そしてそのファンは地球のいたるところに存在する事である。

 これこそが、なぜテイラーのスピーク・ナウ・ワールドツアーが彼女にとって初めての地シンガポールで2月9日にキックオフし、その後3月30日までのアジアとヨーロッパで20日間の日程をこなした後、北米に戻り11月まで敢行されるという壮大なプランになったか、の鍵となっている。これはテイラーにとってこれまでで最も精力的な海外ツアーである。そしてこれは、21歳の彼女がとてつもなく広い範囲で獲得したファンの数が膨大である事を現している。

 「世界を旅するのって、大きな冒険の要素があるわ」とテイラー。「私はその冒険が大好きなの。日ごろの過ごしなれた領域から外へ出る事で多くの体験を得る事が出来るわね。それって私にとっていつも本当に大切な事なの。もちろん飛行機の旅は長く、時差に馴れるのはタフだけど、私にとって全てが純粋にエキサイティングなのよ」


 またそれは多くの部分で一つの挑戦でもある。アメリカ国内ツアーに対し海外ツアーは、多くの共通部分はあるものの、準備不足により多くの問題が起こるという点で異なる。しかしながら、海外への進出を狙うカントリー・アーティストは海外でのショーを行う為にアドバイスを求める事に、十分に取り組んでいないようである。

 スウィフトのマネージャーRobert Allenは、13Entertainmentの同僚達と、彼女のツアーや家庭、海外での活動をまとめ、監督する業務に従事している。イギリス生まれの彼は、いかにしてアーティストやスタッフを動かすか、そしてヨーロッパでの活動を調整するかを知っている。デフ・レパードのドラマーRick Allenの兄として、彼はグループのビジネスやツアーをマネージする事で基本を学んだ。これが、オジー・オズボーンを始めとするビッグネームとの仕事につながり、これらの活動を通じてアジアのコンサート会場に精通するようになった。

 Allenはスウィフトのコンサート開催地をアレンジする時点から今回のプロジェクトに加わった。彼女へのサポートが強力な地域を基本に、2010年の早くから仕事を開始した。「インターネットのパワーのおかげで、どこにいってもテイラーの出待ちをする多くのファンがいたよ」とAllen。「僕たちはレコードセールスをチェックし、活動の為の資金を準備する。シンガポールでの人気にはホントに驚いた。香港でも同様。そしてこの2年間で4度目となった日本へも行ったんだ。なぜなら、僕たちは特にこの日本のマーケットで活動したいからなんだ」

 一旦スケジュールが固まると、準備がスタートした。13Entertainmentは、最近ではメタリカのプロダクション・マネージャーとして3年間活動していたArthur Kemishの助けを借りて、物流上の問題を扱った。「メタリカは僕たちの行こうとしている以上のあらゆる場所でコンサートをしていた。彼は僕たちと自然にフィットしたんだ」とAllen。「彼が僕たちのプロダクション・マネージャーである事をプロモーターが知ったとたん、物事が穏やかに進むようになるんだよ。経験ある彼がコンサルタントとして我々のチームに加わってくれた事は幸運だった」


 予算はもう一つの問題点だ。「ヨーロッパのツアーはとても高くつく。だからコストを切り詰めなければいけない」とAllenは指摘する。「トラックの積荷はかなりタイトにパックしないといけない。アジアでは15日の期間で5つの国をツアーする。だから何を持って行けて、何が持って行けないかを知る必要があるんだ。この結果、現地のプロダクションをなるべく活用する事で、ショーの全てについて規模を縮小する事にしたんだ。この特別なツアーで僕たちが一つになっている事を披露するため、自分達のビデオをもって行く事にした。今ビデオはとても軽いから可能だったよ」

 「特にアジアでは少し演出の規模が小さかったわ」テイラーが付け加えた。「もっと大きなスクリーンやステージでやりたかったけれど、少しのスケールダウンだったから、不満はなかったわ。でも、アジアへのフライトはとても遠いから、演出やステージを考え直す事は絶対に必要ね」

 これらの懸念事項に取り組みながら、約45名のツアースタッフはそれぞれに等しく重要な準備を進めていた。パスポートやその他の書類の準備、予防接種、そしてアメリカ国内のツアーでは起こりえない問題に対する教育である。「僕たちは異なる文化を持つ違う国で仕事をする事になるから、それぞれのマーケットですべき事、すべきでない事に注意する必要があるんだ」とAllen。「僕たちはスタッフ達に、彼らを取り巻く文化に注意し、いかに現地の人達と交流し話しかけるかに慎重に取り組むように促した。これは僕たちにとってとても優先度が高い事だ。なぜなら僕たちは、アメリカの”外交官”であり、カントリー・ミュージックの”外交官”であり、そしてテイラー・スウィフトの”外交官”なんだからね」

 スウィフトには調子を上げる為の独自のやり方がある。「「私は全ての地域のレコード・レーベルとコンタクトして、できる限りの質問をするのが好きなの」と彼女は言う。「それぞれの国についてネットで調べて、そこで何をすべきかについて、できるだけ理解しようとするのよ。私は世界を体験したいの。全世界のアリーナを体験したいんじゃないのよね。気をつけないと、そうなりがちになるわ。スケジュールを組む時に、ちょっとした小旅行を入れてもらわないとね。特にヨーロッパでの幾つかのチョッとした小旅行で、これまで行きたいと思っていた場所に行くことが出来て、それはエキサイトした素晴らしい出来事の一つになったわ」


 こういう理由から、片や技術スタッフが会場や空港の近くに宿泊する事が多い一方で、テイラーやバンド・メンバーは文化施設や有名なレストランの近くに滞在している。ヨーロッパではバスでの仕出し食品を取る事は難しく、楽屋で食事を取る事が通常であるが、テイラーは持ち前の冒険心から積極的に外出し、訪問した国特有の何かユニークなモノを探す。「ほとんど私とバンドメンバーは出かけるようにしていて、少なくとも1回は素敵なローカルフードを体験するようにしているの。日本ではいつも鉄板焼きに行って、最も驚くべき神戸牛や素晴らしい料理を楽しんでいるわ。沢山の食べた事のない料理をいただく時は興奮するわ。初めてなんだからね」

 スウィフトはFearlessをリリース後、2009年のロンドンの海外デビュー以来、多くを学んできた。初心者の時、時差の克服についてアドバイスを受けた。「そこに着くと、昼間なのに眠たくなるのね。突然現地のタイムゾーンに身をおくことにになるから」と彼女は言う。「日本に着いた時、私は最後にベッドから出てから26時間起きつづけなければならなかった。馴れてからの滞在は気分良く過ごせたわ」

 言葉の壁を乗り越える努力も報われつつある。「国それぞれの言語に関わらず、笑顔と純粋な人の感情は世界共通だわ」彼女は言う。「私はそれぞれの国の人たちから感じる事が出来るし、皆も私から感じてくれている事を望むわ。でも日本に行った時、日本語をチョッと話すだけで、観客の皆と新たな次元の交流が出来る事を教わったの。観客に、自分達アーティストがここに来てエキサイトしている事、そして皆がライブを見に来てくれて感謝している事を知ってもらうよう努力する事は重要よ。それによって、アーティストがただそこにいるだけでなく、そこに皆と一緒に存在し、観客を見てハッピーな気分になっている姿を見せる事になるの」

 「そして、オープンに振舞うことね」彼女は言う。「気持ちを閉ざさない事。慣れ親しんだものと少し違うくらいで、怖がる事はないわ。私はかつて訪れた事のない国に旅して、あまり聴く機会のなかったカントリー・ミュージックを広める事が大好きになった。今それが私にとって大きな優先事項であり、できる限り拡げ、切り開く事を続けていきたいの」


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