ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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ニコ・ムーン Niko Moon - Good Time [EP]

2021-04-03 | カントリー(男性)

 

リリースは1年以上前なのですが、今年3月にデビュー曲となるタ

イトル曲"Good Time"がビルボード・カントリーのエアプレイとシ

ングル両方で1位を獲得し、ホット100でも20位まで到達する(4月

3日付けでは49位)というスマッシュ・ヒットで注目を浴びている

ニコ・ムーンのEPです。この人、ザック・ブラウン・バンドのソン

グライターとして名前はよく見かけていましたが、満を持してアー

ティスト活動に乗り出したわけです。

 

 

プロフィールです。ザック・ブラウンの曲でのクレジットも最初

名乗っていた、Nicholas(Nic) Cowanが本名で、テキサスで生ま

れましたが、10才の頃にジョージア州に引っ越しています。お父

さんはトラック・ドライバーでしたが、ツアー・バンドのドラマ

ーに誘われるほどのミュージシャンでした。なので当然音楽には

早くからのめり込み、ジョン・プラインやパティ・グリフィンら

のフォーク~アメリカーナ系がお気に入りだったようです。高校

生の頃は花形ランナーで、そのおかげでアラバマ州のスタンフォ

ード大学に入学しますが、音楽への情熱がまさり退学・アトラン

タに向かうのです。

 

 

やがて、その地で活動していたザック・ブラウンと運命の出会い

果たします。二人は曲を書き始め、ザック・ブラウン・バンドのセ

カンド「You Get What You Give」での"Colder Weather"や"Keep

Me in Mind"辺りからNic Cowanのクレジットが見られるようにな

ります。その後ザックは、エレクリックなダンス音楽に興味を持

ち始め、ニコらを誘って(悪名高き?) Sir Roseveltを結成、2017

年の暮れにアルバムをリリースします。ニコが自分の活動を始め

る時期だと判断したのは、その後でした。RCAナッシュビルと契

約を結び、2019年に"Drunk Over You"と"Good Time"を発表。 前

者は130万回、後者にいたっては210万回のストリーミング再生を

稼ぎ、幸先のよいスタートを切ったのでした。

 

 

ポップ・カントリーで最近当たり前に聴かれるデジタル・ビー

には、正直ビミョーな印象を持ってきたのですが、あろうことか

それをさらに前面に押し出し、ポップで流行りのサブベース(重

低音のベースのことらしいです)をウネらせて、そこにオーガニ

ックなカントリーの(サンプリングされた)生サウンドを乗せる

という音創りには、結構ハマってしまいました。"Good Time"を

含む5曲は心地いいミディアム・テンポで押し通され、永年ソング

ライターとして培った馴染みよいメロディーと相俟って、結構病

つきになりました。まさにクールなカントリー。バンジョーも

っかり鳴ってるので、トラディショナリストに文句は言わせな

い、と言ったところでしょうか。

 

EPには入ってない新曲です。ハードなギターが入ります

 

ザック・ブラウンがSir Roseveltの前後からエレクトリックなダン

ス・サウンドに浸りだした頃、この上記のようにニコの名前が語

られたことから、ザックを妙な方向に導いた張本人かしら、など

と思ったりしてましたが、こうしてニコ単独の、デジタルでカン

トリーの真髄を表現しようとした音楽を聴くと、あれはザック自

身が突っ走った結果だったのだろうと思えてきます。ニコのこの

画期的なEP、5曲のスペースで徹底してワン&オンリーのスタイル

を世に問いましたが、さらにこの後やアルバムとなった時、どの

ようにこのオリジナル性の幅を拡げていくのか。楽しみに見守り

たいと思います。

 



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